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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

フラグブレイカー

彼がいなければ僕も転生できる、かもしれない。

使い古されたネタとテキトーな屁理屈ですいません。

寒いギャグの短編です。

 人がトラックに跳ね飛ばされて転移・転生するとしよう。

 その時にかかる衝撃はいったいいかほどのものであろうか。

 実際に具体的な数置がある近似例があるので少し簡易的にしてみてみよう。

 それによると普通自動車1.25tが時速140kmで走って1.21ジゴワットの電流を浴びる必要があるのだ。

 では 質量×速度=運動量という法則から、同じ運動量で転生するとした場合を考えてみよう。

 この運動量は総重量5tのトラックに競輪自転車並みの35kmで追突されたときと同等、あるいは時速3500km(マッハ2.83)で走る50kgの人間が壁に激突したに等しい運動量ではないだろうか。この上で雷を全身で受け止めなければならないのだ。

 たった一人の勇者を呼ぶために身動きができない生贄が大量に必要なる事は、運動量の法則からでも説明できるのかもしれない。

 更にこの後ワープして、生き残る確率、神や女神に出会う確率、能力をもらってよい環境にたどり着く確率を考えると、常人にはとても無理だということがわかるであろう。

 このように特別な因子を持つ人間の影響力はこの世界でも計り知れないものである。だが海外旅行の噂でもよく耳にするように日本人は騙されやすいのだ。「君はあんまり影響ない」とか「事象を改変するから大丈夫」という言葉に騙される被害者が後を絶たないのである。最近は騙されない人間も出始めたが、恐ろしい事に被害者が後戻りできぬよう命を絶たれるケースも増加の傾向にあった。

 ただでさえ人口減少に悩まされているこの国は、全ての勢力が結集し増加するこの原因の解決に乗り出すのであった。

 

 ヒデオは明け方の歩道を歩いていた。コンビニバイトの夜勤がようやく終わりやっと帰宅ができるのだ。

リーマンショックや様々な外的要因で未だに就職ができずチャンスも転がってこないままの日々。ヒデオは這いつくばるように生きていた。途中自動販売機で買ったコーヒーを片手に信号に差し掛かった。そして一人信号待ちをするヒデオに居眠り運転をするトラックが突っ込んだのであった。

 だがトラックにひき飛ばされる人影は一人分ではなく二人分であったのだ。

 片方はヒデオであった。運よく民家のガレージに突っ込み、シャッターが崩れることで衝撃が吸収され生きのびることができた。

 そしてもう一人はコンクリートの壁に直撃しめり込んだ。フラグブレイカーだ!

 フラグブレイカーはコンクリートから体を引き抜くと意識が朦朧とするヒデオに声をかけた。「今、救急車を呼んだところだ。安心したまえ。」意識が落ちる前にヒデオの目にうつったのは覆面の下で笑うマッチョの姿だった。

 

 説明しよう。フラグブレイカーは度重なる転生・転移型拉致事件を解決するべく政府が用意した特殊工作員である。フラグブレイカーの体重は90kg。生身でマッハ6までの衝撃に耐えうるために必要な肉体と、更に亜空間に迷い込んでも生還できる特殊能力を持つのだ。異世界転移にあこがれ修行して能力を身に着けたわけではない。

 今回の場合は耐衝撃スーツを装備し全重量120kgまで増加。トラックから受け取る運動量をヒデオと同時に受け取ることにより分散させ異世界転生を見事に阻止したのである。ヒデオは明日からもこの世界で生き続けることが出来るであろう。

 フラグブレイカーは微笑んだ。また一人、異界の神から救うことができたのだ。

 自分が助かるため、もしくは気に入ったためというだけで異世界召喚する身勝手な神が許せなかったのだ。

 知り合いの転移に巻き込まれたのはいいが自分だけ神に会えずに自力で戻ってきてがっかりしたとか、後に知り合いがハーレムを作ってこの世界に戻ってきてくやしかったとかではないのだ。

 その後丑三つ時に樹海で藁人形に釘を打っていたら、ヘリから降りてきた美人さんに「あなたの力が必要なのだ。」と言われてほいほい仕事を引き受けたわけでもない!

 

監視班に現場引継ぎの連絡を取ると、フラグブレイカーは第三者に目撃される前に現場から待避した。

 

 こうして今日も日本の労働人口・・・平和は守られたのである。

 頑張れフラグブレイカー! 負けるなフラグブレイカー!


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