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82 遺跡中枢を目指して

遺跡内の通路を4人の冒険者達が進む


「二人とも昨夜はゆっくり眠れたかしら?」


プロメが昨日通った遺跡内の道を

再び先導して進みながら問いかける


「あぅ...正直あんまり落ち着きませんでした...

 あんなふわふわで、それも天蓋付きのベットなんて

 物語でしか聞いた事無かった物で...

 私もヴァレラさんと同じ様にソファーで寝れば良かったです...」


「睡眠は自分に慣れた環境の方が効果的よ

 一種の自己暗示もあるしね

 ご飯は別だけど、」


そう言うとヴァレラは手元に抱えた紙袋から

鳥類の揚げ物を取り出し、頬張る


「朝一、朝食も頂かずに屋敷を出る事に反対しなかったのは

 それが目当てだったんですね...」


ジト目でセルヴィがヴァレラを見る


「何よぅ、人を食い意地の権化みたいに...

 昨日から気になってたんだもの、いいでしょっ

 ちゃんと腹7分に抑えてるんだから

 何ならあんたも一つ食べる?」


「い、いえ私は朝から揚げ物はちょっと...

 お気持ちだけ頂きます、」


「もう、そんなナヨい事言ってると

 何時まで経っても、大きくならないわよ?」


「ぎ、牛乳は積極的に飲んでるので

 その内大きくなります!

 そ、それを言うなら、その、ヴァレラさんだって

 余り無いじゃないですかっ!

 ...私より有りますけど...」


「アタシは良いの、動き辛くなるだけだもの

 でもあんたは、大きく成りたいんでしょ?」


「ぐぬぬぬっ!」


舌戦はセルヴィの敗北で終わった


「ふふっ、二人とも問題なさそうね、

 さっ、そろそろ付くわよ、おふざけはその辺にね」


その光景を微笑みを持って見守っていたプロメが声をかける

そして間もなく、見覚えのある金属性のドアと、人影が視界に入る


「ん、何だ?またあんた等か、

 何度頼まれても許可の無い者は通せないぞ」


近場に後退で休める宿直室でもあるのだろう

昨日と同じ衛兵がこちらの姿を見るなり結論を述べる


「確認してくれ」


ゼロスがおもむろに1枚の書状を取り出すと、衛兵に手渡した

まだ日が昇って間もない朝早くに、貴族の男が手配した物だった


他にも遺跡に入場する際も、

先に知らせを受けていたのだろう

待ち受けていた検査所の衛兵等によって

特別待遇という形で別口から優先入場させて貰えるなど

既に色々と根回しをしてくれていた様で

あの貴族に対する認識を改めても良いのかもしれないと

一行は皆思い始めていた


「ん?...ぇ...あ、こ、これは確かに、国の許可状...最高権限だって...!?

 それもたった一日で...あんた等一体何者なんだ...?」


書状を受け取った衛兵の顔が驚きの色に染まってゆく


「それは企業秘密だ、それで、問題はないか?」


「あ、ああ、すまなかったな

 名のある冒険者だったとは知らずに...

 だが、そうであっても、これが俺達の仕事なんでな」


そう言うと衛兵が書状をゼロスへと返す


「謝る必要は無い

 職務に忠実故の行動だった事は理解する」


「そう言って貰えると助かるよ

 この先は安全宣言が出された、通常の区画とは異なるエリアだ

 まだ稼働中のトラップや遺跡の防御システムが残っているかもしれない

 十分気を付けてくれ」


「了解した、感謝する。」


半開きの金属製の分厚いドアを潜ると

同じように細長い通路が続いていた

そのまま通路をひたすすむ


すぐに通路は途切れ、広大な空間へと出る事となった


「あ、あれは!」


セルヴィが驚きながら壁の方に指を指すと

壁には一面十数台に上る、先の亜人の村で戦った神機

M101戦車が壁から伸びた柱に拘束される様に

ズラリと並べられていた


「なるほど、ここは地上と直通の重車輌格納庫ね

 今は地上との巨大エレベーターは機能を停止している様だけど。」


天井見上げながらプロメが状況を分析する

続いて壁際に並ぶ戦車群に目を移す


「そしてあの貴族はここからM101を発掘したのね」


係留される戦車群の中に3か所

車体を固定する為のガントリーロックが

半ば強引に破壊され、外された形跡を残し

空白となっているスペースが確認出来た


「まぁいいわ、こんなポンコツに今は様は無いわ

 この奥に中枢に通づるメインシャフトが有るはずよ」


ガツン...ガツン...


コツ...コツ...


広い格納庫無いに重い金属の足音と

少女達の足音が響き木霊する


横に並ぶ戦車群を横目に倉庫の一番奥まで来ると

遥か天井まで広がる巨人用の為にでも作られたのかと思わせる程

巨大な鋼鉄のドアがそびえ立つ


プロメがその巨大な扉のすぐ横の足元に設置されている

コンソールの元へ歩み寄るとゆっくりと手を翳す、やがて



ウィイイイイン...ゴゴゴゴゴゴゴ


黄色の回転灯が光始め

轟音と軽い振動と共に巨大な扉が左右へと広がり始める


「メインシャフトの資材搬入用エレベーターはまだ機能しているわね

 良かったわ、これで真っ直ぐ中枢ブロックまで下りる事が出来るわ」


そう言うとプロメが先に歩みを進め、皆後に続く

そして全員が扉の先の空間へと立ち入ると


ゴウン!...ゴォォォ...


「わっ...!」


一瞬足元が揺れたと思うと、周囲の壁がせり上がり始め

セルヴィが小さく悲鳴を上げる

彼女はその後すぐに、壁がせり上がっているのではなく

自分の立つこの床自体が下方向へと効果している事を理解した


止めどなく複雑な機械仕掛けを有する壁が永遠と上へと昇っていく

もう自分達が元居た所が見えなくなるほど、頭上には先が見えぬ程だ

僅かに奥の方に黄色の光の点滅が確認出来る


階層にするともう十、いや何十、間違いなく既に

バセリアで観測されている最深到達階層を超えているだろう


「深いわね...私が居たシェルターの3倍...いやもっとか

 これ程の施設を地中深くに建造する何て

 恐れ入るわ...」


ヴァレラも同じく壁と頭上を交互に見比べて口にする

やはりゼロス達の時代の技術はヴァレラから見ても

圧倒的な差があるのだと改めてセルヴィは認識する


やがて周囲の壁が途切れ再び広大な空間が広がる

まだその空間の床に到達するには高さがあり

思わず身を竦めてしまう程だった


程なく、自分達を乗せた床はゆっくりとその空間に着床する


セルヴィがエレベーターから1歩足を踏み出そうとしたその時


「待て!!」


「ひゃいっ!」


ゼロスが大声で静止を掛け

セルヴィはビクリと一瞬体を震わせて踏み出しかけた足を下げる


「トラップだ...」


バキンッ!!


そう言うとゼロスが手近にあった金属製の手すりの一部を引きちぎり

前方の床に放って見せた、次の瞬間


チュイン!!!!  カランカラン...


突如横の壁から一筋の細い閃光が放たれると

手すりの一部を弾き飛ばした


弾き飛ばされた手すりを見ると、

真っ赤に溶かされた小指程の穴が開いている


「これは動体感知型のトラップね

 他にもここから確認出来る範囲だけで

 金属探知型、赤外線感知型

 無数にトラップが張り巡らされてるわね

 でもどれもデータ連動していない原始的な物ばかり

 解除するとすれば全て個別に作業する必要があるわ」


周囲をぐるりと見まわしながらプロメが告げる


「ふむ、一つ一つ解体して進んで居たら日が暮れるな

 プロメ、そちらへのシールドエネルギーを確保しつつ

 通常出力でのフォトンレーザーの使用は可能か?」


「バーニア、並びに駆動系へのエネルギー供給を制限

 その場で静止した状態であれば可能よ」


「了解した、目標に対し一斉照射した場合

 この施設に深刻な被害、又は誘爆等の危険性はあるか」


「正確な射撃であれば98.88%の確率で問題はないわ」


「了解した、

 全トラップ目標をそちらの観測位置と連動

 マルチロックオン」


「連動完了、対象目標48」


「二人とも、少し下がっていてくれ」


プロメと幾つか確認作業をしたのち、ゼロスが

セルヴィとヴァレラに警告を促し

その場に両足を開き、両腕を前に突き出して構え

姿は普段の鎧風の擬態を解除し

ゼロス本来の全身に光走る強化スーツの姿となった


「ちょ、あいつ何だかんだ論理的に見えて

 実はあの女傭兵隊長と同じ位脳筋なんじゃないの!?」


ヴァレラがこれから起こる事に想像がついたのか

慌ててセルヴィの腕を掴みエレベーター後部の壁際まで下がる


ガシャガシャ!!


すると構えた両腕、肩の装甲の一部が一斉開放され、そして


パゥッ!!!


眩い光と共に、先程のトラップの閃光とは比較にならぬ程

力強く鮮やかな蒼白い閃光が48本放たれた


その閃光はまるで意思を持って居るのかの如く

それぞれ全く違う場所に弧を描き、次々と突き刺さって行く


その何処か現実離れした、幻想的な美しさを持つ光景に

これで初めてでは無いが、セルヴィは見入ってしまう


やがて閃光が突き刺さった先で次々と小規模の爆発が巻き起こり

一つの爆風となって一行に吹き付け

プロメが二人の前に爆風から守る様に立ち塞がる


やがて粉塵が晴れると、壁、床、天井、至る所に

黒く焦げた穴が開き、その中で何かの機械が火花を散らしながら

その機能を停止させていた

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