表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/123

38 冒険者ギルド・バルザック支部

翌日、朝一から宿を出立し、一同冒険者ギルドを目指し移動する


「私も他の都市のギルドに行くのは始めてなので

 少し緊張します!ちゃんと登録出来ると良いのですが」


「そうだな、」


早速昨夜、この都市の光と影を垣間見た彼女であったが

表に出さないように振舞っているのか、実際切り替えが早いのか

いつもの活発さを取り戻していた

その様子にゼロスは内心、僅かに安堵する


「はぅ...街によってギルドの雰囲気は大分違うと聞きます

 怖い人がいっぱいだったらどうしましょう...」


「大丈夫だ」


「ふん、何が”大丈夫だ”よ、目の前の少女一人守れない無能守護者!」


「ま、まぁ、プロメさん、それくらいで...^^;」


昨夜戻ってから、詳細を聞き出したプロメさんは烈火の如く怒り

夕食の後もゼロスさんを廊下に正座させ叱責し

私が朝目が覚めて廊下に出ると、それはまだ続いていました...(汗


「良くないわ!セルヴィちゃんに一生残る様な傷を負わせる所だったのよっ」


「すまなかった」


「ああもう!ゼロスさんも、もう良いですってば!

 それにほら!私はもう見ての通り元気ですから!」


やや二人の前に翔けて出ると、手を広げ元気一杯をアピールするセルヴィ


「もう...でも本当に無理しちゃ駄目よ?胸を借りたくなったら

 お姉さんのいつでも飛び込んでいらっしゃい!」


「わっ!ぷ、むむむ」


そのままぎゅーっと抱きしめられる

やや背の低いセルヴィの頭部はそのままプロメの胸元に収まる

どこか良い香りがする、古代の神器は匂いまで再現出来るのですね

等と考えていると以前の事務服とは異なり

胸元の材質が柔らかくなった事で

よりダイレクトに胸に隙間無く埋まる


(い、息がっ!)


必死に両手でギブアップを訴えるとようやく開放された


そうこうしている内に一行はこの町の冒険者ギルドに到着する

そのまま動ずる事無くゼロスは先頭に立ち入り口のスイングドアを潜る


入ると中は吹き抜けとなっており、奥には受付らしきカウンターと

その奥には受付職員と思われる事務服を着た30後半位であろうか

女性が頬杖をつきながらキセルを吹かし

横の壁には一面依頼と思われる、張り紙がびっしり張り出されている


その反対側の奥にはバーカウンターが設置されており

カウンター内には、褐色の肌を持ち、かなり鍛えているのだろう

ガタイの良い頬に大きな切り傷の痕を持つ

スキンヘッドの男がグラスを磨いている


周囲には木製の円状のテーブルと、それを囲む様に席が設置され

そのいくつかでは、飲み食いする冒険者らしき人影が見られる

他にも柱に背を預けもたれ掛かっている者

依頼書の張り出された掲示板前で相談しあう者達等

そうした者達が一斉に、入ってきたゼロス達に視線を向ける

その視線は余り友好的な物には感じられない


「あぅ...や、やっぱり王都のギルドとは全然雰囲気が違うのです...」


刺す様な視線を受け、セルヴィが回りに聞こえぬよう小声で呟く

彼女が始めて王都のギルドに三日月亭のおつかいで訪れた際は


ーーーーーーーーーー


「おや、君はここ始めてかい?お使いかな、受付はあの奥だよ」


入り口付近でキョロキョロと周囲を見回していると

近くに居た感じの良い青年冒険者が察し声をかけてくれた


「あ、ありがとうございます!」


「いいって、何か困った事があれば、俺に出来る事なら力になるぜ!」


青年冒険者は眩しい白い歯を見せ、親指を立てて送り出した


奥のカウンターに座るギルド職員と思われる女性に声をかけると


「いらっしゃい、今日はどうしましたか?」


やさしい口調とさわやかな笑顔で出迎えてくれた


ーーーーーーーーーー


その記憶とは何一つ一致しない風景が広がっていた


ゴトッ...ゴトッ...


ゼロスが周囲の視線を臆する事無く、置くに歩みを進め

重量感ある足音がギルドの木製の床を鳴らす

二人もその後に続く


「みねぇ面だな...ありゃ他所の冒険者か?」

「さぁ、だがあの剣、北の帝国の魔具...新型か?見たことねぇタイプだ」

「けっ、ご大層な鎧着てる割には綺麗な面してるぜ」

「見ろよあの後ろの女、すげぇ美人だぜぇ!」

「あの少女も中々...」

「うえぇ、お前ロリコンだったのかよ、」


次々に自分達の事であろう会話が

あちらこちらから僅かに耳に届く

一言で言えば、非常に感じが悪い


カウンター横に張られている依頼書を簡単に流し見すると


《行方不明者捜索》

《奴隷商隊の警護依頼》

《依頼内容は直接、高額報酬・要:腕利き》


等と物騒な内容の物が多いように見られる


「あんたらどこの冒険者だい、依頼を受けたいならまずギルド章を見せな」


カウンターの前まで来ると、受付の女性は見た目通りの口調でけだるそうに問う


「冒険者登録をしたい」


ゼロスがそう告げると、先程までざわめいていたギルド内から一瞬音が消える

そして


「「「「ぶっ!わははははっ」」」」


目の前の受付嬢を含め、その場に居た殆どの物が大声で嘲笑った


「はぁ?両手に華でいいご身分だぜ、道楽かぁ」

「登録だぁ、連れ込み宿と間違えたんじゃねぇの、わはははっ」

「大層な装備してるから何かと思えば、ただのボンボンかよ!」

「あー警戒して損したぜ、ルーキーどころかか登録前の素人だってよっ」


皆思い思いの侮蔑の意味を込めた言葉で詰り飛ばす

幸い、表面の見た目を変えているゼロスの装備が

神機である事に気付いている者は居ないようだった


すると、その中の一人が席を立ち、声をかけてきた


「おい姉ちゃん!そんなヒョロっちぃ奴とじゃなくて

 俺と組まないか?毎日良い思いさせてやるぜぇ?へっへっへ」


この街にはこういう輩が多いのか、昨夜聴いた様な言葉を吐きながら

男がプロメの肩に手をかけようとしたその時


「あ゛ばばばばばっ!!!」


男が突如体を激しく痙攣させ、僅かに体中から電を放ちその場に倒れた

倒れた髪はアフロ状に爆発し、口から煙を吐いている


「私、今とーっても機嫌が悪いの、汚い手で触れないで下さる?」


男が触れようとした肩付近を軽く払って見せる


「な、なんだありゃ...!?」

「雷属性の魔法か...?でも魔具を使った様子なんてなかったぞ!」

「ま、まさか...【雷帝】っ!!」

「馬鹿っ!四帝クラスの奴がこんな街来るかよっ」


周りのざわめきが増し、目が侮蔑から警戒へと変わる


「全く、入っただけでこれじゃ先が思いやられるわね」


肩を竦めてプロメが呟いた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ