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27 宇宙戦艦は世話女房?

再び私達は新たな仲間を加え

一路アール村を目指し馬車に揺られています


プロメさんというこの女性はゼロスさんと同じ

エンシェント達の時代から来た『方』...では無く

ご本人曰く神機の一種の様な存在のだそうですが


高度に進歩した技術は奇跡と区別が付かないと言います

私にはどこからどこ見ても知的な大人のお姉さんという印象です


女性として対抗できる要素が一つも見当たりませんっ...(涙


と、そんな事よりもプロメさんが現れてから

何と!ゼロスさんとも普通にお話しできるようになったのです!


でもいざお話できるようになると、何から話して良い物か...

馬車の荷台でちょっと気まずく向かい合っている次第です


プロメさんはと言うと馬車の前方部の席で

御者をして頂いているフレイアさんの隣に座り

色々牽引魔具についての話に華を咲かせている様です


フレイアさんの方は彼女の事を地上に降りた神様と思っているらしく

ちょっと仰々しい感じですがプロメさんは意に介していない様です

流石は大人のお姉さんという感じの余裕を感じます!


私も頑張って見るのです!


「あ、あのっ!」


思い切って話しかけてみるも、彼は一切反応を返しません


「改めて、ゼロスさん...でいいんですよね...?」


すると今度は此方に視線が向き目があいました

何だか今までと何も変わってない様な気がします


すると


「すまない、今この何日かの間の君が話してくれた事や

 君達の会話を再確認していた、脳の思考速度は強化されているが

 俺は彼女プロメの様に一瞬で認識する事は出来ない

 少しだけ待ってほしい」


「あっ、はいっ全然かまいません!」


突然物凄く流暢にお話しされるのでびっくりしましたっ!!

所々さらっととんでも無い様な事を仰っていましたが

ゼロスさんの能力やプロメさんを見ればそれも頷けます

やっぱりエンシェントの技術力は私達の想像を遥かに超えるのです...


それから半刻程、遺跡を出立して丁度一刻程が経過した位だったでしょうか

前部でフレイヤさんとお話ししていたプロメさんが


「貴女達、お昼はまだ食べてないんじゃない?

 この辺りで一度休憩にしましょう」


とのお声により馬車を止め昼食の準備を始めます

どうやらプロメさんは私がゼロスさんと会ってからの事を

全てご存知の様で今朝からの行動も把握されてるみたいです

凄い...フレイアさんが神様だと思っちゃうのも無理はありません


「あの、来る時には言いそびれてしまったのですが

 簡単な調理道具と調味料や保存食が荷台に積んでありますので

 もしお急ぎで無ければそちらはどうでしょうか?

 ただ私お恥ずかしながらお料理の方は少々不得手でございまして...」


「あら良いじゃない、大丈夫よ

 食事の時間を削ってまで強行軍している訳では無いもの

 ただ私も料理の方はちょっと...」


「あ、それなら私やりますよ!

 一応兄弟子の元でもずっと私が料理担当でしたので

 ちょっとは自身あるつもりです!」


フレイアさんの好意により今回は野営を続けてから

初めて料理を作る事になりました

腕の見せ所なのです!


「おぉー、結構色々ありますね!

 干し肉や保存の効く根菜類が多め...と

 調味料も一通り揃ってますしこれならスープが良さそうですね!

 栄養も満点でおいしく食べれそうです」


「お任せしてしまって申し訳ございません...

 何かお手伝い出来ることは御座いませんか?」


「じゃあフレイアさんは根菜の水洗いをお願い出来ますか?

 お水は大事に、最小限で大丈夫です!」


「わかりましたわ」


二人はテキパキと準備を始め

鍋を入れる食材の下ごしらえを始めようとした時の事


「あ、あのっ、プロメさんはやっぱりお食事は...?」


「ええ、ごめんなさい、私には食べ物を摂取する事は出来ないの

 気持ちだけでも嬉しいわ、ありがとう」


「いえいえ、やっぱりゼロスさんと同じなんですね...」


「ん?彼は食べれるわよ?」


「え?」


周囲の警戒をしていたと思われるゼロスが二人の視線に気付く


「...俺は大丈夫だ」


「経口摂取して取り込んだ有機物は

 ナノマシンが100%分解してエネルギーに変換してくれるわよ?

 核燃料1個分何て変換効率ではないけどね」


「それは解っている、後半は何の話だ」


「あら知らない?20世紀後半の有名な映画作品よ」


「知らん、兎に角エネルギーの補給なら

 リアクターが稼働している限り必要ないだろう」


「あーもう全く!貴方って人はっ!」


プロメさんがおもむろにゼロスさんの背後に回り背中を押し出すと

相当な重量を持つであろう神機鎧を纏う彼が1歩づつ前に押し出されました

もしかしてああ見えてプロメさん実は凄い力持ちなのでは...


「お、おいっ...」


「良いからそこに座る!」


そのまますごすごと鍋の横の丁度良い岩へと腰を下させられる


「俺は周囲の警戒を...」


「貴方がやってる範囲の索敵は常時私もやってるわよ

 良いから貴方はそこで彼女達と食事を取りなさい」


「しかし...」


「しかしもかかしも無い!

 保護・護衛対象との円滑な人間関係構築も任務よ」


「ぅむぅ...」


あのゼロスさんが完全に押されています...

一体プロメさんとはどういうご関係なのでしょう...

ちょっとだけ面倒見の良い奥さんみたいです、ふふっ


しかしゼロスさんが食事をする事が出来るのならっ


「任せて下さい!今まではお世話になりっぱなしでしたから

 腕に寄りをかけて美味しい料理を作りますよ!」


「あ、ああ、ありがとう...」


この数時間の間で今まで見た事が無かった

ゼロスさんの色々な表情を見れている気がします


ーーー 一時間程して ーーー



「さぁ、お待たせしました!完成です!」


鉄鍋の中で半透明茶色のスープがぐつぐつと

大きめに切られた数種類の野菜と共に煮立ち

湯気と共に何とも言えぬ食欲そそる匂いが周囲に立ち込める


順番に鍋に入ったスープを木製の器へと注ぎ

同じく木製のスプーンを添え二人へと渡して行く


「とても良い匂いです...頂きます」


受け取ったフレイアが器から香りを確認した後

そっとスープを掬い口元へ運ぶ


「まぁこれは...本当に大したお手並みで御座います

 私巡礼の旅を始めてからこれ程お料理を頂いたのは初めてですわ」


「そんな、でも気に入ってもらえたなら嬉しいです!」


お世辞も有るのかもしれないが、二口三口と口へ運ぶ姿から

気に入ってくれたのは本当である様で嬉しくなる


鍋を挟んで反対側に腰掛けるゼロスへと視線を向けると

彼もまた丁度スプーンに手を掛けている所だった


「...頂こう...」


静かにそう言うとゆっくりと一口、口に含む


すると一瞬瞼が上がり、スプーンを口から離し

僅かに口を開けたまま固まってしまった


「もしかして...口に合わなかったですか...?」


数秒の間が空き、不安そうに見つめるセルヴィ


「...いや、そんなことは無い」


動作一つ一つはゆっくりと

ただ止まる事なく彼はスープを口に運び続けた


「良かった!もしよかったらお代わりも出来ますからね!」


「ああ、貰おう」


フレイア同様、世辞だけでは無い様子に安堵し喜ぶ

ただ最初スープを口を付けた際、彼が一瞬見せた顔は

セルヴィには何処か泣いている様にも見えた

実際に涙は出ていた訳ではなかったが


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