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20 新たなるそして変わらぬ役目

<補助電源接続を確認>


<多目的兵装バッテリーによるエネルギー供給開始>


<システム再起動>


<自己診断プログラム開始...完了>


<オーバーロードに伴う損傷認めず>


<Dリアクターは現在稼働停止中>


<再始動にはメインフレームの補助制御を要する>


<補助電源による通常稼動時間:推定約720時間>


閉じた瞼の中で次々と文字が表示される


瞳を開けると、そこには先程助けた少女の顔が有った


ゆっくりと起き上がり周囲の状況を確認する


敵性アデス反応...無し

 音紋・熱源センサー共に周囲数百m圏内に小動物以外の反応無し

 小動物...危険は無さそうだな)


一通りセンサー各種の情報に目を通すと

続いて目視による周囲の把握を行う


(ここは...降下時の地形情報と方位からすると

 脱出方向から見て都市から南西100㎞程の森林地帯か

 加速の余波で相当な距離離れてしまった様だな...)


(自分の意識もハッキリしている

 特に記憶圧縮による弊害は今の所確認出来ない)


自分自身の意識を改めて再確認するが

特に現状問題を認識出来なかった


(もう意識は戻って居る様だが少女は大丈夫か?)


彼女を見つめ心拍・体温等を確認するが

やや心拍が早めである事以外特に異常は見当たらない

心拍は緊張による物であろう


(良かった、無事回復している様だ

 彼女が手動で補助電源を繋げてくれたのか?)


「*$@!、$&@*!、&$%(*」


此方を見ていた少女が慌てて声を発そうとしているが

言葉になっていないが表情からある程度読み取れる

非常に感情豊かな子の様だ


一呼吸空けてから再び


「!_*$&^(*# #&^%@*&^(」


今度は明確に何かの言葉を発した様だが

都市で見かけた初老の男同様全く聞き取れない

すぐ様今の音声データを翻訳ソフトにて解析に掛けるが


該当無し


少なくともスーツ内の言語データバンクには前回眠りについた時点の

世界の全ての言語情報が記録されていたはずだった


続けて少女が再び言葉を発する


「助け@$&*(、ありがとう$@*+!#」


(ッ!...今のは日本語か...?)


聞きなれない言葉の中に僅かに日本語が含まれていた様に聞こえた


「&$@*)!&*@&#@」


もう一度彼女が言葉を発するが

今度は何も理解出来る言葉は含まれて居なかった


(スーツ内の翻訳機能では無理か...

 メインフレームと接続出来れば解析も可能だろうが...

 思考同期操作、プロメテウスから送信されたデータを開示せよ)



<データ開示>


<対象救出後の次期作戦プランの提案>

-------------------

--------------

----------------

------

---------------

---------


文章と共に様々なデータが表示される


(これは...24世紀後半に放棄された地下マイクロウェーブ送信施設か

 降下時の観測情報からエネルギー反応が確認されている...

 まだ稼働している可能性は十分にあるという事か)


(現在地からは寧ろ好都合な位置だな、徒歩で約5日か

 しかし...彼女をここに放置するのは危険過ぎる)


再び正面の少女に焦点を合わすと

何やら少女は赤らめ目を反らしては戻しを繰り返している


(何処かまだ痛む所でもあるのだろうか...?)


疑問に思っていると再び少女をが何かを伝え様と

大きく手を動かし話しかけて来た


相変わらず殆どの言葉は解らなかったが

自分を指さしながら


「セルヴィ」


と発している、恐らく少女の名前だ

その後、こちらに手の平を向け何か言葉を発する

流れからすると名前を聞きたいのだろう


「俺はラストガーディアンズ所属 コールサインLG03だ」


何処まで通じるかは分からないが

少女は必死に伝え様としている以上

誠意をもって返すのが道理であろう


「ゼロ... ゼロス...#%@&*(^*@」


少女は此方が伝えたコールサインの一部を必死に復唱している


(伝わった...か?)


「%&#@(*@!^$!@($**っ」


再び少女が活気を取り戻し話しかけてくる

しかし申し訳ないが理解する事が出来ない


再び少女は項垂れる

がっかりさせてしまった様だ


(やはりこの少女をここに置いていく事は危険だ

 着ている衣類や救助した際の状況を鑑みるに

 恐らく戦闘要員では無い、無力な少女と思われる)


(外見だけ見ると十代中頃と見えるが

 サイバネティックス処置を受けた形跡も無い

 恐らく見た目通りの年齢と見ていいだろう

 この様な場所に放置した場合単独での生存は厳しいか...)


(担いでいくか?

 いや、可能な限り自由意志を尊重した方が良いだろう)


立ち上がり少女に手を差し伸べる

可能な限り驚かさない様、恐怖心を与えぬようゆっくりと


(伝わってくれ...)


最初、その手を見つめて目をパチクリしていた少女だったが

程なくしてその小さな手を差し出し立ち上がった


そしてゆっくりと目標方向に歩いて見せると

少し遅れて少女も同伴の意を示しついてきてくれた


(よし、しかし少女は行軍訓練等を受けては居ないだろう

 不整地の中を数日歩くとなれば厳しいな

 バッテリー残量にはまだ十分余裕があるか

 行程に数日+した方が良いだろう)


常に少女の位置反応に注意を払いながら進行プランを検討して行く

同時に移動しながら周囲の環境も細かく観測していく


(植物の種は従来の物と同じ様だが、その樹勢環境は非常に豊かだ

 これ程の環境を維持していたのは23世紀初頭までだっただろう

 加えて大気の純度も非常に高い、環境は間違いなく回復している)


また同時に先ほど観測した小動物の熱源データも解析する


(これは...ライブラリ参照

 絶滅した種ばかりじゃないか...)


木々の隙間から上空には星々の海が広がっていた


(星が...見えるのか...)


最後に地上から空が見えたのは何度前の出撃めざめまでだっただろうか


(ここは地球なのは間違い無い

 だが俺の知っている地球とは余りにも違う

 現状を理解するにはまだ情報が足りな過ぎる...)


不要な考えを切り替える


(ここが地球で、まだ守るべき人類が居る

 ならば俺が成すべき事は何も変わらない。)


ー人類を守れー


迷う事は何も無い

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