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じゃあ、どこに触れますか?


「付き合います。明日でいいですよね?」


「え、マジで……?」


「はい。丁度観たい映画があったんです。だから付き合います」


「あ、そっちの意味だよね……ベタすぎて俺自身が引いた。と、とにかく10時くらいにショート飛ばすから、そこから待ち合わせ決めようか?」


「ここじゃダメですか?」


「それは勘弁を」


 どうしてこんな会話の流れになったのかというと、二人きりになる時間があったから。私が働いているこのお店では、ホールと厨房とかホール二人だけとか、とにかく変則的な休憩を取らされている。特に今日は暇すぎたせいか、厨房の人と休憩を取ることになってしまったのだけれど。


 いつもいつもオーダーを受けているケーキさんこと、圭希さんと休憩時間が合った。特に意識するでもなく、休憩室に一緒に入ることになった。室内は簡易的なテーブルとイスが置いてあって、そこに二人それぞれで適当に座っていた。特に話すことも無かったのに、何故か落ち着かない様子を見せながら、ケーキさんが声をかけてきた。


「深瀬、俺と付き合わないか?」


「……というと?」


「気になりすぎて仕方がないっていうか、どこか遊びに行って仕事以外でも仲良くしたいんだよ」


「いいですよ。付き合います」


 そんな流れで、圭希さんと休みの日に会うことになった。美也ちゃんはもし圭希を狙っているなら、許さないとか言っていたけれど、全然狙ってなくてどちらかというと、暇を私で潰してくれるならってことで返事をしただけ。


 事前にSMSで連絡を取って、決めた待ち合わせ場所は映画館併設のコンビニ。圭希さんはバイト先では絶対やばいと言って譲らなかった。私の予想だと、美也ちゃんと付き合っているもしくは、他の誰かとそういう関係。だから焦るそぶりを私に見せていると思っている。

 

「深瀬。待ったか?」


「全然」


「いや、待ってただろ。俺より早く来てたんだから」


「それもそうですね。そんなことより、入りません?」


「だな」


 こういう時、はっきりいって経験豊富そうな圭希さんから館内に引っ張ってくれそうな気がしたけれど、そうではなかった。本当に単純に私だけが映画を早く観たかったから、私が彼の手に触れてそのまま館内へ引っ張ってしまった。それだけのことだったのに、どうやら好意的な勘違いをさせたみたいだった。


 映画はよりにもよって、ラブシーンまで行かなくてもキス以上のそれ未満。それに近いシーンがあったりして、その内容についても映画を見終わった後で話題に触れて来た。


「深瀬。どんな恋を望んでいるか聞いていいか?」


「普通です」


「ああいうシーンも普通って思えるのか?」


「程度によりますけど、驚かないです」


「――じゃあ、触れていいか?」


 ストレートに聞いて来る辺り、遊んでる人なんだなぁと感じたものの、仕事中とかでも嫌な感じはしない人だったから、こっちもストレートに言ってみることにした。


「どこに触れたいですか?」

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