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ラナ markⅢ  作者: ススキノ ミツキ
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第37話 マッドサイエンティスト

・・数哉はラグナルーガの遺跡を出た直後に地球へ戻った。そこは早朝の歌舞伎町の繁華街で、ビルの屋上である。白いTシャツとジーパンを履いた数哉が、とある年季の入ったビルを見ていた。


「それで、あのビルの地下に佐熊さんが居るのか?」


『はい。あの地下に恋人で助手である横野真南(よこのまなみ)と身を隠しております。UKAグループの非人道的な人体実験施設を爆破してUKAグループから追われている様です。』


「くく・・流石マッディ 1(ワン)だな。」


『それは何でしょうか?』


「ん?俺が佐熊教授に付けたアダ名だ。あの人は、よく無理な実験して実験室でボヤ騒ぎや爆発を起こしていたんだ。」


--『昔、数哉様も同じ様にしていた様な・・。』


「それで?二人は無事なのか?」


『いいえ。女性は無事ですが佐熊教授は、身体に甚大な損傷を受けて、自身で作ったロボットに頭部を移植した様です。』


「!?そのロボットは大丈夫なのか?」


『後、一年半で回路と脳の連結に支障が出て亡くなるでしょう。』


「新たな身体を用意して寿命を伸ばせるか?」


『勿論、可能です。能力や姿は如何致しましょうか?』


「そうだな。力はUKAグループから命を狙われる可能性も考えて成人男性の3倍程で、身体も普通の銃で撃たれても問題無い程度に。姿は以前の教授の姿をベースにしてくれ。五感も元の通りに頼む。」


『畏まりました。それでしたら、直ぐにご用意出来ます。結婚はしていない様子ですが、佐熊教授の遺伝子を持つ子供も出来る様にしておきます。』


「ああ。そうしてくれ。よし、訪問するか。」


 数哉は5階建ての屋上から、歌舞伎町の裏路地に飛び降りた。路地裏を出るとラナの話す地下に降りてシャッターの前に立つ。


--「ラナ?」


『はい。鍵を開けますので、腕輪を近付けて下さい。』


ガチャッ。


 小さな音が出て数哉はシャッターを上に引き上げる。ガラカラと大きな音が地下に響いた。飲み屋のスナックの様な扉の前に来た所で、扉が弾け飛び中から鉄の手がグワッと数哉へ伸びてくる!数哉はヒョイと身体を捻り躱した。部屋の中には、バネやコードが剥き出しのロボットに、無理矢理に人間の頭を付けた男が立っている。


「今度は、数哉に化けて来やがったか!?UKAめっ!メガトンパンチを受けて見ろっ!」


 鎖を巻き取り、右手を再び突き出した所で、数哉が親友に声を届け様と声を上げる。


「マッディ1!俺は本物だ。」


  強化人間と化した男が数哉を見据えながら、眉間の皺を和らげた顔に変わる。


「マッディ1?だと・・ハハハハ!懐かしいな。マッディ1はお前だろうよっ!変な薬を作っては、自身の身体に打とうとして周りに止められていた癖に。まぁ、それは良いとして・・どうやら本物みたいだな。まぁ、中に入ってくれ。」


 スナックのカウンターとテーブルもなく、大きな丸テーブルと椅子だけ有り、壁にロボットの重い身体を支える装置が付いていた。そこに佐熊教授は背中を預けて固定する。数哉が椅子に座ると奥の部屋から、話を聞いていた横野真南がコーヒーカップをお盆に載せて現れた。


「まぁまぁ!大きくなったわね!数哉君!」


 かなり大きな胸に白衣を身に付けたアラサーのメガネ女子がそう話した。


「お久しぶりです。横野さん、そして佐熊教授も。」


「おいおい。本当に数哉か?何時(いつ)ものタメ口はどうした?」


「27 歳も年上の教授にタメ口はおかしいでしょう。昔の俺はおかしかったので。」


「ハハハハッ。まぁ、無事で何よりだ。」


「佐熊教授は無事では、なさそうですね。」


「ん?この身体も気に入っているのだがな。まともな食べ物を食べられないのと、真南が抱けないのが唯一の弱点だ。いや、唯二の弱点だな。」


「教授!子供の前で変な事言わないで下さい!」


「ハハハハッ!すまん!すまん!」


「・・佐熊教授。その身体は後、何年持つと思っていますか?」


 佐熊は平然としているが、横野真南の表情が曇る。


「まぁ、良くて一年ぐらいだろうな。」


「そうですか。理解されているのですね。だったら俺に教授の今日1日だけ下さい。」


「ん?どういう事だ?」


--本当の事は言えないしな・・。


「・・俺は、佐熊教授の身体を元の姿に戻せます。完全な人間には難しいですが。」


 横野真南が、その話に食い気味で立ち上がり話す。


「本当なのっ!?」


「はい、本当です。」


 横野真南が数哉の両手を力強く握って、頭を下げて涙を流す。その両手は震えていた・・。


「・・お願いっ!!教授を助けて頂戴っ!お願いっ!お願いしますっ!うぅ・・。」


・・佐熊教授が泣いている助手を気まずそうに見ながら話す。


「数哉。今の科学と医学では無理だろう?その話、可能なのか?」


「間違い有りません。俺が科学の事で、嘘を話した事がありますか?出来ないなら話をした事がありません。五感も全て戻る筈です。」


「・・参ったな。覚悟を決めていたのに。」


「佐熊教授の遺伝子を持つ人造人間の身体ですから、横野さんとの子供も持つ事が出来ますよ。」


「ほう!真南が又抱けるのか!?」


「教授っ!もう!」


 横野真南の顔が涙で目も赤く腫れているためか、頬もほんのり赤く見えた。


「後、寿命の設定はどうしますか?」


「そうだな・・。」


 佐熊教授は横野真南の顔を、真剣に見ている。


「真南よりは先に死にたいから、あと20年ぐらいに設定してくれ。真南が居なくなると考えると、どうやって生きていけば良いのか分からん。今回の事で、まぁ身に染みてな。」


 横野真南が、気軽に話す佐熊の発言を取り消した。


「ちょっと待って!せっかく長く生きられる様になったのだから、私の寿命ぐらい生きれる様に設定して頂戴!」


「分かりました。女性の一般的な平均寿命プラス教授と横野さんの年の差を足しておきます。」


「おいおい、俺の寿命なのにお前が決めてるのか?」


「こっ!れっ!はっ!決定事項ですっ!」


「お、おう・・。」


「そうだっ!筋肉ムキムキに出来るかっ?チ○コもデカくしてくれっ!」


 それも数哉が応える前に、横野真南に否定される。


「数哉君っ!くれぐれも、教授の変な要望は聞かない事。元の身体に戻して頂戴!」


「分かりました。ただ、力だけは普通の人より強くしておきます。UKAに狙われている様ですから。」


「・・そうね。」


「ちなみにメガトンパンチって言うパンチが飛ぶ機能、入ります?」


「「いるっ!(要りませんっ!!)」」


 佐熊教授と横野真南の声が重なった。


「それでは、無い方向で。」


ガクッ。


 佐熊教授が、かなり気を落としている。


--俺は、格好良いと思うのだがな・・。


--「メガトンパンチは駄目みたいだから、唯一の弱点の頭を守る仮面、兼ヘルメットみたいな物を作ってくれるか?それと、教授が使えそうな武器も頼む。」


『畏まりました。前にレリクスの遺跡で拾った物が有りますので、それらしき武器も用意しておきます。』


--「頼んだ。それで、どうすれば良い?」


『この場で処置致します。処理班と身体が一時間後に到着しますので心の準備だけして貰えればと。』


--「もしかして、横野さんの目の前で佐熊さんの首を切り離すつもりか?」


『?何か問題でも?』


--「・・二人には寝て貰おう。」


『畏まりました。今から、睡眠ガスを出しますので、数哉様はフェムトテクノロジーの人口皮膚でマスクを作って頂けますか?数哉様には効かない筈ですが、かなり強い速効性のガスを出します。』


--「分かった。」


 数哉の口に、皮膚から生える様にマスクが現れた。二人が驚くより早く、数哉は声を出す。


「それでは、二人共寝ていて下さい。起きたら佐熊教授の身体は、元の身体に戻っています。後、横野さんも手術中心配するのも大変でしょうから安心して眠っていて下さい。」


『睡眠ガス・・転送。』


 あっという間に部屋は白く曇り、横野真南が倒れようとするのを数哉は支えて、近くにあるソファーに寝かした。佐熊教授はロボットの身体に頭を支えられていて、ゆっくりと目を閉じる。


--「どのくらい時間は掛かる?」


『夕方4時頃には、問題なく終わっているでしょう。』


--「だったら、それまで一つ問題解決しにイギリスへ行くか。」


『セレーナの所ですね。』


「ああ。約束を全然守ってないと言って、毎日怒って連絡して来ていたからな。佐熊教授と横野さんの安全も頼んだぞ。」


『既に、ボディーガードを配置しております。』


「よし、今セレーナは何をしている?」


『タクシーで空港へ向かっている様です。』


「空港?何処に行くつもりだ?」


『お待ち下さい・・日本へのチケットを買っています。』


「?俺は日本にいないと言った筈だが?」


『数哉様が、日本には冒険の後で(たま)に帰っていると話をされたからでしょうか。』


「たまたま、家族を救いに帰っただけなんだがな。」


『数哉様。』


「どうした?」


『セレーナの父親の運転手が、自宅から何時(いつも)は持っていない銃を持って出て、セレーナの家に車で向かっている様です。セレーナの父親に付けたボディーガードに処理させましょうか?』


「いや、俺がやる。そいつの車の後部座席に転送してくれ。少し転送に失敗しても、どうせ潰す奴らだしな。」


『畏まりました・・転送。』


・・数哉の姿が消えて、イギリスのマークの運転する車に数哉が突然現れる。訓練しているマークは違和感を感じてバックミラーで後部座席を見た。腕組みしている数哉が、マークに英語で語り掛ける。



「マーク、銃を持って何処に行くつもりだ?」


 マークは急に現れた数哉に、少し驚く表情を見せるが、暗殺のプロらしくスーツの中に右手を入れハンドガンを素早く引き出す。市街地にも関わらず、無言で後ろに居る数哉に銃を向けた。引き金が引かれる前に、数哉がマークの運転席を右足で軽く蹴り押す。


「ほっ。」


バゴッ!


 数哉の気の抜けた蹴りに反して、マークは座席もろとも、フロントガラスを割って座席と分離して宙を待った。数哉も車の天井を吹き飛ばし宙を飛び、身体でフロントガラスを突き破った血を流し気絶しているマークの頭を掴み、道路を無人で進む車のボンネットの前に飛び降りて叩き付ける。


バンッ!


--このぐらいなら、死なないだろう。


 その後、クルリと空中回転して軽やかに走る車の前に降りると、軽く斜め後方に右足を出して道路を踏みつけた。道路は陥没して、持っている車体の箇所が凹むが、車は軋みながら音を立てて止まる。周囲の人達は、あまりの現実的ではない光景に放心状態だ。マークが慣性の法則でボンネット滑り台を伝い、数哉の方へ飛んで来る。数哉は右手で気絶しているマークの頭を掴み止めた。


--「ラナ。」


『はい。』


--「こいつの脳を重度の認知症にしてくれ。二度と人を殺せない様にだ。」


--UKAグループ・・覚悟しておけ。これが始まりだ。徹底的に潰してやるからな・・。


 マークの身体は、誰が見ても満身創痍で治ったとしても人を殺せる様な身体ではなさそうだが、数哉はラナに命令を下した。


『了解致しました。そのまま腕輪を近付けておいて下さい。・・完了です。』


--「よし、これでこっちは良いだろう。追加の暗殺者が来たら直ぐに報告してくれ。」


『畏まりました。』


--「あとは、セレーナが空港に到着する前に転送してくれ。空港に、偶々出会った感じでいこう。」


『今回の画像処理は、どう致しましょうか?』


「そう言えば顔を変えるのを忘れていたな。」


--「俺の姿と顔の両方を変えておいてくれ。」


『畏まりました。数哉様の姿を捉えたスマートフォン5機と街頭ビデオカメラ2台の処理をしておきます。』


--「頼んだ。」


『それでは、転送致します。』


・・数哉がヒースロー空港の個室トイレから出て来る。誰もいなかった筈のトイレから男性が出て来て、初老の男性が幽霊かと驚いて入れ歯を飛ばしそうになっている。数哉は何食わぬ顔で、そのまま出た。


・・数哉はセレーナを待つ為に、空港ロビーの壁に背中を預ける。暇をもてあまし空港に行き交う人達を観察していた。すると約70m先の混雑して行き交う人達の中の、冷房が効いていて快適な空港を汗だくで歩く50肥満代女性の肩掛けバッグから、財布を抜き取る右腕にタトゥーの入った、いかにも悪そうな20代男性を数哉は見てしまった。


--見逃せないな。


 力を制御出来なかった頃と違い、人込みの中を避けず素早く緩急を付けて走り抜け、財布を右手に持つ男の腕を掴んだ。 男は、振り払おうとするが数哉の力は強く動かない。ポケットに忍ばせていた折り畳みナイフを出すと、数哉の胸へ突いてくる!


「離しやがれ!」


ビュン!


パシッ!


 数哉は左手の甲を相手に向けて人差し指と中指で刃渡り12cmのナイフを挟んで止めた。近くの女性がナイフを見て悲鳴を上げる。


「キャァア~~!ナイフよ!皆!ナイフを持っている男が居るわ!アジア人が襲われてる!」


--マズイな・・密入国しているのに。映画風に収めるか?小さいナイフだが、誤魔化せるか?


「samurai's hidden purpose(サムライ奥義) japanese"シンケンシラハドリ"」


「「「「「「オオ~~~!」」」」」」


「ジャパニーズサムライッ!」


 個々に、空港の外国人達が感想を言いあっている。


「・・映画かしら?」


「流石!日本人だっ!」


「日本人でも無理だろう、あれは。」


「ムリジャネェゼッ!カラ~テっ!ジュ~ド!ニンジャ!デ、フゥゥ~~!」


 数人の英国人はカタコトの日本語で、興奮し話している。


--・・以外と誤魔化せるものだな。しかし、日本の文化は外国人に、ねじ曲げられて伝わってないか?まだ、現代に侍が居ると思ってるのか?


 両手を抑えられた男が、ジャンプして数哉にドロップキックを入れ様とするが、数哉は両手を放して身体を傾けて避ける。空振りした男は、ドスンと派手に床に落ちて苦痛に呻いていた。加減を出来る様になった数哉が、誰にも分からない速さで踵で腹を軽く蹴って、男が気絶する。数哉は、(わざ)とらしくカタコトの英語で叫んだ。


「この男っ!女性物の財布を持っているぞ!もしかして!スリじゃないのかぁぁ~~!スリじゃないのかぁ~~~!」


 財布を盗まれた女性が、それに気付いて走り出した。


「それっ!私の財布~~!」


 数哉は、これで問題無いとばかりにスッと立ち去る。ロビーを出た所でタクシーから降りるセレーナを確認した。数哉は自然な様子でセレーナに近寄って行く。


--セレーナの家迄は、タクシーで3万円は掛かるな?


--「ラナ。今、イギリス紙幣を持って無いから、足を用意出来ないか?」


『何本の足でしょうか?切り落として転送致します。足は太めと、ほ』


--「・・切り落とすな。誰かの足だけココに送られたら、只のホラーだしパニックになる。」


--確かに不思議な言葉だよな。


--「さっきの言葉は撤回だ。お金を払わなくても良いタクシーを用意して欲しい。くれぐれもリムジンとかの高級車でない車で頼んだぞ。不自然なタクシーを用意するとセレーナに何か言われそうだからな。あと、タクシー乗場ではなく駐車場の方へ頼む。」


『了解しました・・用意完了です。しかし、アラルナンから、遺跡にあった(きん)を大量に貰った筈ですが?』


--「そうだったな。レリクスの(きん)の価値は装飾品の塗料としての価値しかなく微妙で、師匠から貰った(きん)は地球の現在の価値で70億円程だったか。その金を使って、あらゆる国の通貨をある程度用意しておいてくれ。これから、世界中のUKAグループを潰して廻るのに必要だろうからな。」


--家でも建てる時に塗料として使うか?と言われて、少しだけと応えたのに70億円か・・。一気に出すと(きん)の相場が少し落ちそうだな。


『畏まりました。宜しければ、それを元手にお金も増やしておきますが?』


--「任せる。」


『畏まりました。』


 長いフライトに備えて、ロング髪を下ろし白いワンピースを着たセレーナが空港ロビーに入る手前であった。数哉は偶然出会った感じの笑顔で手を振る。セレーナは、それに気付いて固まった笑顔で近付いて来た。


ブゥン!


 セレーナが笑顔のまま、スーツケースを数哉へ当てようと振り回す。数哉は焦る様子もなく最小限の動きで、それを躱していった。


「・・セレーナ、落ち着け。」


「嘘つき!嘘つき!嘘つき!」


ブゥン!ブゥン!ブゥン!


「1ヶ月に一回は会いに来るって約束したのに!」


「それは、謝っただろう。俺も、忙しかったんだ。」


「約束したのに!」


ブゥン!


--ふむ・・困ったな。このままだと、他の人を巻き込むか。


バシッ!


 数哉はスーツケースを左手で軽々と、止める。セレーナは急に止まったスーツケースに、バランスを崩されて前に倒れ掛けた。数哉は支える為に、素早く移動してセレーナの前に立つ。セレーナは数哉に抱き着く形になり、固く数哉の身体を握り締めた。数哉が抱き着くセレーナに声を掛ける。


「落ち着け。周りに当たる。」


 セレーナは抱き着いた形で数哉の声を聞いて怒りが収まって来たのか、数哉に話した。


「次からは、約束を守って・・。」


「ああ。なるべくな。俺も忙しいんだ。」


「駄目っ!だったら、もう離さないから!数哉の仕事に私も付いていくわ!」


 セレーナは腕に力を込めて、数哉に密着した身体を更に押し付けた。


「・・すっぽかした分は今月、後二回会いにくる。急にセレーナがイギリスを離れたら、ヘンリーさんが悲しむだろう。」


「・・それは、そうだけど。」


「今回も、ヘンリーさんに話してから日本に行こうとしたんだろうな?」


「・・え~と、置き手紙で。」


「まったく。」


 数哉は、セレーナの両肩を持って押し離す。


「だって!私一人で日本に行くってお父さんに言ったら反対されるもの。」


「ヘンリーさんから着信来ているだろうから、今から戻るって連絡しろ。日本へのチケット代で損した分は俺が出す。」


「そんなの、良いわよ。お父さんからのお小遣いが、かなり溜まっているもの。」


「いや、それは使わないでくれ。俺の責任だしな。俺が払う。」


「だから、良いって。あまり使う事が無かったから私の貯金、1万ポンドぐらいあるもの。その代わり、アルバイトは禁止されているけどね。高校生にもなって私ぐらいよ、アルバイトを禁止されてるの。」


--美奈さんの件もあって心配なんだろうな。


「・・分かった。だが、帰りのタクシー代は、出させてくれ。」


「良いわよ。でも、ココまでいくら掛かったか分かって言ってるの?」


「200ポンドぐらいだろう?」


「そう。分かってるのなら良いわ。数哉も結構稼いでいるのね。訳の分からない遺跡発掘とやらで。」


「まぁな。」


『お話し中に申し訳御座いませんが、イギリスの紙幣で1000万円程を用意出来た事を報告させて頂きます。』


「でも・・遺跡の物って、その国の物じゃないの?」


「・・俺のビジネスパートナーが異常な程のお金持ちでな。遺跡で発掘した物を色々とくれるから、結構稼いでいる。」


「そうなんだ。じゃあ、任せるわね。」


「ああ。」


 数哉とセレーナがロビーを出て駐車場に行く途中で若い男性が道を塞いだ。驚き固まったセレーナの前に警戒した数哉が出る。


「何か用か?」


「オウ!イソギ!スマナイデゴザル!ココニ、サインガホシイ!デスッ!」


 数哉は英語で話したが、白いTシャツを着た若い男性は、呪いを掛けそうなカタコトの日本語で話し掛けてきた。


「サイン?」


「ハイ!ココニカンジデ、サムライトカイテホシイ。」


「そコ~ニ?」


 数哉も、こにアクセントを付けた可笑しなカタコトの日本語を話した。何故なら彼の指差すシャツに侍と書くと、既に書かれている漢字と足されて茄子侍(なすざむらい)と成るからだ。差し出す油性ペンを仕方なく受け取った数哉は、茄子の下に大きく侍と書き足した。男性は喜び、胸の前に合掌する。


「アリガト、ゴザル。」


--なすざむらい?・・何かの流行りか?


 数哉が複雑な表情で駐車場へ歩きだす。セレーナは数哉に声を掛けた。


「数哉は又、昔みたいに何か発明でもして有名になったの?」


「違う。日本人の事を、サムライに見える特殊な人みたいだな。」


「それで、(さむらい)って書いたのね。」


「読めたのか?」


「フフン、勉強したの。日本語は少しなら話せる程度になったのよ。数哉の12カ国語が話せるのには及ばないけどね。」


・・人間にしか見えないアンドロイド運転手のタクシーに乗り、セレーナに今までの生活を聞かれたが、数哉はレリクスでの事は話せない。それで、主に妹の話をするとセレーナは困惑していた。


「・・それって、大丈夫なの?芸能界って危ないプロデューサーが居たりして。」


「変な奴も居るかも知れないが、何処の業種にでも居るだろう。」


「まぁね。数哉も、そう言われたら変だし。」


「変か?・・姿、形、匂い、五感系か?それとも道徳観、哲学・・ふむ。」


「フフ、そう言う所が変なの。」


--嫌いじゃないけどね、フフ。


「そうだ!ヘンリーさんに電話しろ。」


「あっ!・・え~と、最悪っ。」


「どうしたんだ?」


「ダッドからの着信で全て埋まってるし、メールも一杯来てるの。」


「心配なんだろう。」


 セレーナは渋々とスマホを取り出して、ヘンリーに電話をかける。掛けた瞬間にヘンリーの大きな声が聞こえた。


「セレーナっ!?無事なのか!?」


「お父さん・・声が大き過ぎ。無事に決まってるじゃない。日本の治安の良さは知ってるでしょ。」


「今はもう、日本なのか?」


「ううん。こっちの空港で、バッタリと数哉に会っちゃって。今、家に帰ってる。」


「そうか・・良かった。」


「そんなに心配しないでも大丈夫なのに。私、もう大人よ。」


「・・すまない。」


 セレーナが電話を切った後、数哉は美奈を失くしたヘンリーのやるせない気持ちを横から代弁する。


「そんな事言うな。ヘンリーさんの気持ちが分からない訳ではないだろう?」


「分かってるよ。でも、このまま日本で言う箱入り娘のままは嫌なの。私だって、皆みたいに自由に生きてみたいのに。」


「・・そうだな。出来る限り早くそうして貰うつもりだ。」


--美奈さんを生き返らせてな・・。


「どういう事?」


「いや。え~と、何処か旅行に行くなら一回ぐらい俺も同行しようかな?と。」


「それ良いっ!数哉と旅行ね!」


「ああ。今は、忙しいから俺の仕事が片付いてからな。」


--美奈さんが生き帰ってから、皆で行こう。 日本に招待して日本食を食べ尽くすのも良いな。


 何故か、セレーナの頬が何故か火照っている・・。


・・一方その頃、UKAグループの保有するビルの5階で、ヘンリーについて話されていた。100平米の広い部屋はbarになっており、高級酒を飲む15人の男女が、それぞれのテーブルに座っている。その中の片目に皮の眼帯を着けた27 歳の男が全員に届く様に声を出した。


「聞いたか!?ファーストの奴ら!一般人のヘンリー暗殺失敗して、18人全員でヘンリーの家に向かってるらしいぞ?」


 男の一番近くに座って赤ワインを飲むボディコン姿の金髪女が右手の指先を第一間接から外して、咥えた煙草に火を着ける。


ボッ・・。


「フフフ・・これで失敗すればイギリス支部のファーストメンバーは殺して総入れ替えね。」


 眼帯の男が、それを聞いてニヤケ顔に変わった。


「おいおい。お前の彼氏がファーストに所属してるってのに、そんな事を言って良いのか?」


 女性の涼やかの表情は変わらず話す。


「フフフ・・私の夜のオモチャが壊れるだけ。オモチャなんて何処にでも有るわよ。」


 男と他数人は、それを聞いて面白く無さそうであった。


「まぁ、良い。あいつらが失敗すれば、次はセカンドの俺達が行くだけだ。」


「失敗するかしら?ファーストの連中、必死だからロケットランチャーまで持って行ってたわよ。軍隊の1小隊でも相手出来なさそうな感じだけど。」


「ちっ!(たま)には俺達の遊び場所を作りやがれ!皆!?どうだ?俺と一緒に見物しねぇか?」


「・・・。」


 女も誰も反応しない。


「そうかよっ!だったら俺だけ見てくらぁ!ロケットランチャーで家が吹っ飛ぶのを期待してな!よりビールが美味しくならぁ!」


 言葉を吐き捨てた眼帯の男はビール瓶を持ったまま席を立つと、エレベーターで降りて行く・・。


・・・セレーナの家に着いた数哉は、無事に戻ったセレーナを抱き締めたいが重く思われそうで葛藤しているヘンリーを見ていた。


「おかえり、セレーナ。」


「そして、カズヤが来てくれて嬉しく思うよ。」


 セレーナにヘンリーの思いを届ける為に数哉は話す。


「こちらこそ、すみません。俺がセレーナとの約束を守れなかったから、ヘンリーさんに心配を掛けてしまって。」


 ヘンリーの為、セレーナに遠回しに諭そうとした数哉だが伝わらず、セレーナが自身の細い腰に左手の甲を当て、横に並ぶ数哉に右手の人差し指を向けた。


「本当よ!約束しておいて守らないなんて!」


 数哉は気まずそうな右手で自身の後頭部を触りながらセレーナを見る。


「悪かったって。」


「まあまあ、カズヤも仕事が放せなかったのだろう。セレーナも仕事をするようになれば気持ちが分かる筈だ。」


 ヘンリーが助け船をだすが、セレーナの気持ちは収まらない。


「言っておくけど、ダッド!カズヤが次に約束を破ったら世界中を移動してるらしいカズヤにずっと付いて行くって決めたから!」


 ヘンリーが焦り、数哉へ話す。


「カズヤ!約束は守るべきだと思うぞ!仕事が忙しい時は私に言ってくれ!仕事に見合った人員をジェット機をチャーターしてでも連れていくから!」


 数哉が軽く目を閉じた後に、目を開けてヘンリーに応えた。


「ヘンリーさん、大丈夫です。仕事の峠は越えたので、次からは約束を守れますから。」


 ヘンリーはそれを聞いて、動転していた気持ちを収めている。


「そ・・そうか。良かった。あと、カズヤ。今日は、もっと大量のディナーを用意しようとしているから待っていてくれ。昼は食べたんだろう?」


 現在の時間は、2時過ぎだ。


--色々あって食べれてないが、大量の夕食があるなら良いか。


「食べたので大丈夫です。あと、毎回大量の夕食を作って貰うのは、お金が掛かるので普通の量で十分です。」


・・足りない分は、自分でレリクスで獲った食材を料理すれば良いだけだ。


「良いんだ、良いんだ。こっちが勝手に作りたいから作っているだけだからな。月に何度でも来てくれ。私もセレーナも喜んで迎えるから。」


 それを聞いたセレーナも荷物を使用人に渡して、数哉の右腕を両手で掴み頷いている。


「分かりました。ご厚意に甘えます。」


・・数哉を屋敷に迎え入れ様とした時、ラナから警告が入った。


『数哉様。』


--「どうした?」


『気付くのが遅くなり、申し訳ございません。この敷地内へ後数分で、武装した18人が入り込みます。』


--「UKA関係か?」


『その可能性は高そうです。普通の乗用車を装おっていますが、車内には大量の機関銃とロケットランチャー、手榴弾も装備しています。』


--「ロケットランチャーは何基ある?」


『1基です。』


 セレーナが立ち止まった数哉に声を掛ける。


「どうしたの?カズヤ。早く入りましょうよ。」


--困ったな。何て言えば良いか?


ドゴ~ン!


 その時、屋敷まで到達する轟音が鳴り響き空気が震えた。ヘンリーが振り返る。


「どうしたんだ!?」


 セレーナも少し怯えた表情で振り返った。


「何なの?」


 執事が血相を変えて屋敷から出てくる。


「大変です!旦那様!」


「どうした!?」


「正門近くで庭の剪定していた者から電話で、門が爆発で吹き飛ばされて、車が五台凄い勢いで入って来たらしいのです!危険です!早く逃げましょう!」


--本当の姿を隠している場合じゃないな。


--「ラナ!」


『はい!』


--「戦闘用アンドロイドを屋敷の人数分、ここに転送しろ。屋敷の人達全員に付けてくれ!」


『畏まりました・・転送。』


 数哉の前に迷彩服を着たアンドロイド20人が現れる。その手には全長2mの銀色の四角盾と右腕の甲からは50cm程のレーザーブレードが出ている。


「キャァッ!」


「な!?」


「!?」


 セレーナとヘンリー、そして執事がそれぞれ驚いた。数哉が落ち着かせようとフォローする。


「大丈夫です!俺の部下達です!」


 数哉はアンドロイド達に命令を下す。


「それぞれ屋敷の人をマンツーマンで付いて守ってくれ!武装した奴らは俺の獲物だ!俺が倒す!屋敷の人達が危険な場合を除いて、手をだすな!」


 数哉が命令を下すと、アンドロイド達はコクリと頷いて、加速装置でもある様に、それぞれ違う方向へ走り出した。ヘンリーが数哉が何か知っていると思い、数哉へ非難するかの様に問い質す!


「カズヤ!一体どういう事なんだ!何か知っているのか!?」


「・・侵入して来た奴らは、恐らく美奈さんを殺した連中の仲間です。」


「何だって!」


 セレーナは、その話の衝撃で、何かを話したいが声が出せずに口を抑えている。数哉がヘンリーとセレーナを見ずに、目の前に現れた車達を見ながら話した。


「後で説明します。俺の部下の後ろに隠れていて下さい。」


「危険だ!カズヤ!奴らは銃も持っているぞ!」


 屋敷の塀の前に段差がある為に、五台の車はそこで止まり、13人の短機関銃を持った男と4人の短機関銃を持つ女、そして一番身体の大きなロケットランチャーを持つ男が出て来る。全員、獲物を見つけたと盾に隠れているヘンリーを見ていた。盾を持つアンドロイドを見て、ニヤケ顔で散開する。両側から攻めれば守れないと判断したのだ。ロケットランチャーを持つ男は、まだ自身の番ではないと動かない。


 ヘンリーの前に居た筈の数哉が消える。別に転送された訳ではないが、速すぎて目で追えないのであった。


「カズ!?」


 ドスッ!ドスッ!・・・ドサッドサッドサ。


 ヘンリーが驚いて数哉を呼ぼうとした時には、加減が出来る様になった数哉に殴られ蹴られたファーストの隊員達は空を舞い気絶した身体の山を作っていく。反対側に居た者達も数秒後には飛んで行った。これは不味いと感じたロケットランチャーを持つ男がヘンリーに向けて躊躇せずに打ち放つ。火を後方へ放ちながら飛んで行くロケット弾の前に、数哉が現れた。顔の横で無造作に右手で掴むと、身体を1回転させてロケットランチャーの男の足元目掛けて解き放つ。ロケットランチャーを持った男が驚きを隠せない。


「ばかなっ!?素手で!」


ゴォ~~・・ドカンッ!


 ファーストの身体の山と、ロケットランチャーの男は暴風と土煙に吹き飛ばされた。土煙が収まって来ると見えてきた者達がいる。


「これだから!ファーストは使えねぇんだよ!ほら!お前動くな!こいつが死ぬぞ!困るだろう!ヘンリーの娘!」


 そう叫んだセカンドの眼帯男の前には、口と手を縛られた怯えて震えるエリーの姿があった。セレーナは思わず盾から顔をだした。


「エリ~!」


 エリ~の後ろでナイフを背中に突き付けている男が、恍惚の表情で心配したセレーナを見ている。


「おお~!ダメだ!その顔、最高だ!!我慢出来ねぇわ!まぁ、良いか。人質居なくても俺なら勝てるしな~。」


ズブリ。


 苦しそうな表情に変わったエリーの口から血が溢れ出す。人が苦しむ事で喜んでいる男は、ナイフを背中から突き立てていた。


「うぅ・・。」


 セレーナが涙を流してアンドロイドの前に出ようとするが、アンドロイドがセレーナの安全の為に、それを止める。セレーナが右手を前に突き出した。


「エリ~~~!!」


「お願い!!これ以上!私の大切な人を奪わないでぇ~~~~!!」


 セレーナがショックで気を失い倒れる。アンドロイドが、それを片手で支え、ヘンリーが涙を流すセレーナを抱き締め支えた。


「セレーナ!」


 数哉の表情が家族を害されそうになった時と同様に、眼帯の男を睨みつける!静かに・・力強くラナに命令を出した。


--「ラナ、奴の後ろへ転送だ。」


『はい・・転送。』


 数哉は転送されて直ぐに、その男の両腕を握り締めた。男が急に現れた腕に驚くが、オリンピック選手の2倍近くの身体能力を持つ腕は一切動く気配がない。男は再び驚いた。


「何っ!?」


 数哉がナイフを持った腕を一瞬で握り潰していく。


バキ!バキ!ギュギュ!


 人間の腕が潰れる音とは思えない音を出して潰れていった。男は苦痛の声を吐き出す。


「ぐあぁぁ~!」


 男は大声を出しながら、エリーと数哉の間からすり抜けていた。数哉に掴まれていた両腕を切り放して、7mも離れている。エリーが倒れ込むのを数哉は支えて、ゆっくり身体を下ろした。男は特に問題無いとニヤケ顔で話す。


「なんてなっ!・・小僧、中々やるが終わりだ。」


バチバチ!バチバチ!


 その瞬間!数哉の持っている取り外された両腕から、10万voltの電圧と強烈な電流が数哉を襲った!数哉の身体を通して地面に流れだす!男が勝ち誇った様に笑い出した。


「かはははははっ!どうだ!?巨象も倒すスタンガンは!UKAグループが作った特殊なスタンガンはな!電圧だけじゃなく電流も強力で、どんな身体でも黒焦げにしてくれる仕様だ!俺達セカンドは科学で強化している超越した人間なんだよっ!」


 ヘンリーが、それを聞いてセレーナの身体を抱き抱えながら心配そうに声を掛ける。


「カズヤッ!」


 カミナリにも耐えられる数哉は、何が凄いのかと両腕を更に握り潰してエリーに当たらないように、少し離れた床に捨てた。その後、男に向かって吐き捨てる様に声をぶつけた。


「俺はっ!お前達な様な者でも今まで殺さなかった!それはなっ!俺の大切な人が!命の大切さ!人としての必要な事を!愛情を持って、教えてくれたからだっ!だが分かった・・貴様らは人間ではない。滅してもいい物だとなっ!ラァ!」


ギュン!バコッ!


 数哉は一瞬で男に近づくとアッパーを食らわした。普通の人間であれば頭が破裂する程の威力だったがセカンドとして強化された男は顎を歪めながら空に15メートル程浮き上がる。数哉は、そこまでジャンプして出来る限り苦しむ様に加減してパンチとキックを繰り出した。


ゴゴゴ!パンッ・・・・・・・・パパパパパン!


「ゲッ!グオ!が!も!グオ!・・・・・ゲゲゲ!」


 数哉は男の身体が千切れ飛んでいっても、気にせずに数百発当てた後に、エリーの治療していない事を思い出して、最後に男を(かかと)落としで地面に叩き落とした。


ズド~ン!


 着地した数哉は力尽きた男に一瞥もくれず、エリーの下へ移動する。


--「ラナッ!」


『直ぐに治します!』


 エリーに数哉は右手を近付けた。エリーは柔らかな光に覆われ、出血多量で失神した身体へ血を戻し、損傷した箇所を治すと青白くなった顔色は赤みを、増して正常に戻っていく。

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