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ラナ markⅢ  作者: ススキノ ミツキ
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第2話 冒険初心者の準備

・・数哉は明るい顔でラナを連れて部屋に戻った。家族と何気ない会話をして更に安心する。数哉の後ろの背景はステイ先の部屋としてラナが別の画像をパソコンへ送っていた。セーラー服を少し未来化した様な服装のラナも横に居るが映っていない。家族との会話が終わると数哉がラナに問い掛ける。


「そう言えば、ラナ。」


「はい、ご主人様。」


「ファンタジー世界って言ってたけど、ここどんな所なんだ?」


「大きく分けて38の国があり、エルラと総称される魔物達が世界中に存在します。踏破されてない遺跡や古代文明の施設も沢山あって、内部には宝物もザックザク!多くの冒険者達はそれを狙ってパーティーを組んでいる様です。」


「おぉ〜!ゲームっぽい!」


「但し、危険な魔物や罠も内部にあって沢山の人達が亡くなり戻っていません。幾つかの国は内部にある宝物を使って政治や軍事目的に使おうと、軍隊を派遣した事が幾度とある様ですが軍隊のダメージも大きく、現在はその殆どがを何でも屋として存在する冒険者ギルドに依頼している様です。」


 数哉は未知なる世界に対し、真剣な表情で喉を鳴らした。


ゴクッ。


「そうか・・。」


「はい。勿論、魔法も有ります。概念的な物では無く、科学で証明出来る物です。この世界にはオストラルと呼ばれる各種のエネルギーが充満していて、魔物等を退治する事で人はそのエネルギーを吸収し、細胞が強くなります。後は、取り込んだエネルギーがある一定以上になると外部と人体内部のエネルギーを使用し、魔法も使用可能です。ただ、このエネルギーを吸収出来るのは、この世界の住人の体質に依る物なので他の世界の者では吸収出来ません。」


「それじゃあ、俺は冒険出来無いだろ・・。」


「そんな事はございません。ご主人様に不可能な事は、ほぼ存在致しません。この私が居る限り・・・。」


グォン!グォン! 


 ラナの周りに惑星デアラールが転送された時に似たオーロラが煌めく!


「ラナ・・?」


「・・腕輪化。」


 ラナが腕輪化と唱えた瞬間、ラナは消えた。代わりに数哉の右腕には銀色の腕輪が装着されている。


『ご主人様、右腕を御覧になって下さい。』


 数哉の頭にラナの声が響いた。


「ん?・・これは?」


『私が腕輪化した姿です。』


「腕輪化って・・質量保存の法則を無視してないか?」


『ご主人様らしくありませんね。昔の数哉様でしたら世の理を覆す程の発明をしてやる!と申されておりましたが。』


「まぁな・・あれからも色んな事があったからさ。それより腕輪化したら何が出来るんだ?」


『はい。他の世界の人間には吸収出来無いオストラルエネルギーを私が変換して数哉様の細胞を強化する事が可能です。しかも、そのエネルギーを増幅も可能ですから1のエネルギーを最高20倍で吸収可能です。それ以上増幅する事も可能ですが数哉様の細胞が耐えられません。』


「つまり経験値チートってやつか、凄いな。」


『はい。後はこの世界の会話を私が補助致しますので、普通に会話も可能です。』


「そっか・・そりゃそうだよな。違う世界だから言語も違うか。」


『他にご要望はございますか?』


「そうだな・・冒険初心者の定番と言えば・・・まずは魔物を倒せる武器を買わないとな。」


『なるほど・・では、棍棒になさいますか?それとも他の世界に伝わる聖剣になさいますか?今直ぐご用意出来ます。』


「いや!おかしいって!棍棒は分かるけど冒険初心者が普通、聖剣持って無いし!と言うか出せるのか?」


『勿論です。本物でも模造品でも。模造品と言っても性能も姿形も完璧な物です。性能を超えて造る事も可能です。』


「性能超えて造れるのか!?」


『勿論です。但し、分析可能な物に限りますが。』


「・・何が勿論なのか分からないが、折角冒険するんだし何でも最初から手に入れるのは・・ちょっとな・・・。」


『そんなモノですか・・では、転送。』


ブオン!


 数哉の前の荒野の上に、アタッシュケースが5ケース現れた!


『開けてみて下さい。』


 数哉は言われたまま一つのケースを開ける。そこには大量の紙幣らしい札束がぎっしりと詰められていた。


「え?これってもしかしてお金か?」


『はい。この世界のお金で5億ディル。日本円にして6億円程用意致しました。好きな装備をお買い上げ下さい。』


「・・又、造ったとか言わないよな。」


『ピンポ〜ン!』


「偽造じゃん!ダメダメ!」


『本物と同じですが駄目ですか・・。』


「そう!こういうのも仕事して稼ぐから楽しいんだよ。」


--引き篭もりの俺が言うのもオカシイけどな。


『分かりました。では、如何致しましょう。』


・・アタッシュケースが消える。


「そうだな・・お金も無い事だし、ある程度切れる鉄剣を出して貰おうか。」


『畏まりました・・転送。』


ブオン。


 数哉の目の前に刃渡り70cmのミドルソードが地面に横たわり現れた。


「これこれ!俺の冒険は、この普通のストレート両刃の鉄剣からだな。・・でもかなり重い!まぁ鉄だし、仕方無いか。出来れば地味で頑丈な鞘も出してくれないか?」


『はい・・転送・・どうぞ。』


 ベルト付きの鞘が先程と同様に現れ、数哉はそれを拾い上げて持っていた剣を鞘に納めてみた。


カチン!


「おぉ〜!良い音がする!」


『次は鎧で宜しかったでしょうか?』


「そうだな。初心者だし、革の鎧じゃちょっと頼りないから鉄の鎧で頼む。」


『それではコチラになります・・転送!』


ブオン!


 鉄のスリムな西洋鎧に似た鎧が現れ、数哉は早速目の前の鎧を着けようとする。


「ん!んん〜!!・・重くて持ち上がらない・・・。」


『申し訳ございません。かなり剣と共に軽量化しているのですが、これ以上軽くすると強度が・・。』


「そうか・・仕方無いな。引き篭もりだった俺には無理か。」


『ゲームで言うレベルアップが必要かと。』


「具体的にどのくらい強くなれば良いんだ?」


『そうですね・・この世界の子供をレベル1とすると今のご主人様のレベルは3で・・レベル15前後から使用している者が多い様です。』


「全然、駄目だな・・。鉄剣は?」


『姿形、重さと性能によりますがレベル7程からです。』


「・・俺自身のレベルで倒せるエルラって居るのか?」


『います。』


「もしかしてスライム?」


『いいえ。地球で言うナマケモノみたいなエルラです。名前はモルグ。滅多に見ないエルラで、弱い魔物にしては結構なオストラルエネルギーを有している上に1週間は全く動きませんから、その間斬り続ければ何とかなるかと。』


「斬り続けるのか・・まぁ、頑張ってみるかな。何処に居るんだ?」


『この家の裏の木にぶら下がっています。』


「用意周到だな・・。」


『勿論です。』


「・・まぁいいか。」


 数哉は家の裏に回る。数哉の家は広大な荒野の真っ只中にポツンと建っていたが寄り添う様に一本だけ高さ三メートルぐらいの木が育っていた。木には沢山の林檎の様な赤い果実が実っていて幹はおよそ直径10cmで多く枝分かれしている。その中の一本に頭はワニの口を短くして身体はナマケモノの身体に鱗肌の一匹のエルラが鋭い爪を幹に掛けぶら下がっていた。


「ちょっと怖いな。」


『大丈夫です。次に動くのは、およそ六日後。それまではピクリとも動きません、目以外。』


「え?目は動くのか?」


『はい。瞼を開けて、見るだけですが。』


「斬る所を見られるのか?良く動かないな。」


『その代わり六日後までに倒せないと、ガブリと襲ってきます。』


「ガブリと・・さっさと始めよう。」


 数哉は鉄剣を鞘から出して振りかぶる!


「よっ!」


ゴッ!


 数哉の鉄剣は何とか当たるが斬れるには至らず跳ね返された。モルグの眼が数哉に向けられる!


ギロリ!


「うわァ!ビックリした!こっち見たぞ!」


『それは、そうですね。ご主人様でも何もされていないのに叩かれると怒ると思われますが。』


--倒し辛い・・。


「それにしても硬い!少ししか傷が入って無いけど斬れるのか?これ?」


『斬れます。ご主人様さえ頑張れば4日後に倒せる予定です。』


「4日後まで斬り続けないとダメなのか・・。」


『・・もし良ろしければ一撃で倒せる手段も有るのですが・・。』


「いや!嫌って言う訳じゃ無いんだ!引き篭もりだった自分に可能かな?ってな。可能で無くとも、やれる所まで頑張ってみたいと思ってる!冒険を楽しむには困難も必要さ!・・だろ。」


『流石!ご主人様です!』


「因みにラナだったら、このエルラを簡単に倒せるのか?」


『勿論です、埃を払うよりも簡単です。』


「埃・・。」


 アンドロイドのラナと比べるのは、どうか?と思うが同じ年頃にしか見えなかったラナに簡単と言われ、数哉は少し落ち込んだ様子を見せる。ラナは慌てて話した!


『申し訳ございません!・・私では300万年は掛るかと!!』


--謙遜が過ぎると余計に凹むんだけどな・・。


「・・そっか。」


『そうです!』


--取り敢えず頑張ろ・・。


ゴッ!ガッ!ゴッ!ゴッ!ゴッ!・・・・・・ゴッ!ガッ!ガッ!


・・何度も剣でモルグに斬り付ける!


「ぐ・・手が・・・。」


 数哉は無心にひたすら斬り続けた為に、手にマメが出来てそこから血が滲み出ていた。


『申し訳ございません!気付かず!直ぐに治します!』


「待ってくれ!ラナ!出来るだけ自身の力で何とかしたいんだ。」


『しかし、その手ではもう振れないのでは・・。』


「今まで怠けてきたからさ・・コイツじゃないけど。これからも、俺が頼まない限り1人でやらせて欲しい。」


『そうですか・・しかし私にも限界がございます。ご主人様の命に拘るような事があれば御命令に従えません。あと手を見て下さいますか?』


「ん?」


 数哉の手の平の上に、白い液体の入ったコップが現れる!


「うわ!とと!・・これは?」


『・・この世界の冒険初心者が良く飲んでいる痛み止めです。これぐらいは御奉仕させて下さい。』


「ありがとう・・頂くよ。」


ゴクゴクゴク。


--{但し、そのコップには他にも別の惑星にある新陳代謝を超〜!!向上させる貴重な薬も入ってますが・・申し訳ございません・・。}


「ふ〜・・良し!何だか!!頑張れる気がしてきたぞ!」


ガン!ゴン!ガン!・・・・!


・・・夕方となり太陽に似た恒星ラゾートルも徐々に姿を暗まそうとしている。ラゾートルとはレリクスの住人が名付けた名前で光を照らす女神と言う意味らしい。


『・・ご主人様、そろそろ。』


「ハァ!ハァ!ハァ!そうだな!お腹も空いたし今日は、ここ迄にしよう。」


『はい・・実体化。』


 数哉の眼前がオーロラに煌めく中、ラナが現れた。


「何かご要望は御座いますか?」


「・・そうだな、本当は食材も自分で調達したい所だけど今は仕方無いな。この世界の冒険初心者が結構食べてる肉料理って何?」


「そうですね・・基本、調達した物を何でも焼いたり煮て食べているみたいです。町や都市で食べる時には、レリクスの何処でも良く捕れるワローと言う安価なエルラ料理を食べているみたいですね。姿は地球のカバに似ています。大きさは成熟してもカバの二分の一程しか成長しません。身は淡白な肉質で川に生息している為か臭いが少しある様です。その為、香草と共に料理して食べられる事が多いみたいですね。」


「じゃあ、それに挑戦してみようか?」


「はい、御自分で捌かれますか?」


「そっか・・それも冒険者の基本だよな。出来るかどうか分からないけどやってみるか。」


「分かりました・・転送。」


 数哉の前に首を落としたワローが現れる。


「血は抜いておきました。捌ける包丁や道具、手袋はここに。」


 ラナはいつの間にか用意していた丈夫な手袋を数哉に差し出した。


「サンキュ。」


 数哉が包丁を構え突き刺し、食べれそうな部分を皮毎剥ぎ落としていく。その横にラナが低いテーブルを出してそこへ切った食材を並べていった。


ズ!スススス〜。


--うげっ!慣れるか?・・これ。


20分程掛けて、剥ぎ落とし残ったのは骨に付いた肉と内臓である。


「・・・大体、剥ぎ終わったな?」


「はい、お見事です。後は、私に任せてご主人様はゆっくりと部屋でお寛ぎ下さい。」


「いや・・身体も汚れてるし、先に風呂に入りたいな。」


「そうですか・・では、家の向こう側に梯子が有りますので登って見て下さい。」


「ん?ああ。」


--上に風呂でもあるのか?


 数哉は梯子を登っていく。すると、上がって直ぐに小さな脱衣所があり、横には屋上一面に広がる露天風呂が設置されていた。先程まで出ていなかった湯気も立ち上がっている。


「凄いな・・露天風呂か。」


 露天風呂の脱衣所にはタオルとバスタオル、ボディジャンプー等の全てが揃っていた。それを数哉は持ってタオルを腰に巻き、風呂の横にある桶で身体に掛ける。現在の外気温度は19℃で服を脱ぐと寒い。掛け湯に身体が驚き、少し震えた。


ブルッ!


「おぉ〜!気持ち良い!」


「ご主人様、お背中流し致します。」 


 声の方へ振り向くと数哉の直ぐ後ろにタオルで前を隠したラナが立っている。その他は裸である為にボディラインもハッキリと見えた。白く肌理細かな肌が和也の目に飛び込んでくる。


「え!何で居るんだ!?料理作ってるんじゃ!」


 数哉は再びラナを見ない様に前を向いて、股間を守るように右手を置いた。


「イベントに間に合う様に急いで作りましたので。」


「・・イベントって?」


「ご主人様とお風呂へ一緒に入れる一大イベントです。」


「勝手に変なイベント作らないでくれ!出来れば1人でゆっくりと入りたいし!それにまだ五分ぐらいしか経ってないけど本当に出来たのか?肉の生とかヤメてくれよ。」


「大丈夫です。完璧に仕上がっております。」


「そう・・でもラナは後から入ってくれるか?」


「駄目ですか・・?」


「ダメ!」


「がっかりです・・気が変われば仰って下さい。」


・・気配が無くなり数哉は恐る恐る後ろを振り向くとラナは居ない。


「ふ〜・・ビックリした。」 


 身体を洗い終わり、風呂に浸かる。湯船はツルツルの石で出来ていて丁度座れる深さになっていた。湯船の端に凭れそのまま空を見上げると夕焼け空は星空に変わりつつある。


--綺麗だな・・東京と違って、沢山の星が見えるし。


・・数哉は精神的な疲れも癒され、ラナが出してくれていた替えの下着と服に着替えた。下に降りると家の傍にシンプルなテーブルが設置され、美味しそうなワロー料理が7品並べてある。一品は温かなスープで、その他は焼いた物、煮た物と工夫を凝らされた料理である。超一流のシェフが作ったのでは?と思える程の見た目も鮮やかな料理であった。勿論、栄養バランスも数哉が分からない様に野菜が加えられ整えられている。その横でラナはメイド姿で立ち、数哉を待っていた。


「ご主人様!お食事のご用意が整っております。」


「凄い!これ全部ラナが作ったのか?」


「勿論です。ご主人様を喜ばせる大事な役割を他の者に託すなど勿体なくて出来ませんから!」


 ラナは笑顔で数哉にそう話す。


「食べて良いか?」


「勿論!そこへお座り願えますか?本当はこんな貧相なテーブルや椅子など、ご主人様に相応しくありませんが豪華なテーブルだと落ち着かないと仰る様な気がしてコチラを用意致しました。申し訳ございません。」


「いや、ラナの言う通り豪華なのは要らない。気付かってくれて有難うな。」


 ラナは数哉に褒められてニヤケ顔に変え、モジモジしている。


「そんなぁ〜!この程度で褒められるなんて!・・困りますぅ。」


 ラナは力強く手をグーにした!


「次回のお食事はテーブルと椅子をもっとボロッ!ボロに!致します!座ると壊れる程です!」


「・・いや、今のテーブルと椅子で頼む。」


「そうですか?」


--そうですよね、私の失態です!やはり数哉様に、この様な安物のテーブルは似合いません!いずれ、修正しなくては・・。


 数哉はテーブルに座ると、まずスープを飲んでみる。


--え!?美味しい!


「凄く美味しいよ!これ!」


「有難うございます!」


 数哉は焼いたワローをナイフとフォークで切って口に放り込む!溢れ出る肉汁と香草が効いた濃厚なソースが絡み合い、口内に幸せを充満させた!


「美味し!!これ!本当に何処でも捕れるワロー料理!?こんなにも美味しい物を冒険初心者の人が食べてるのか?」


「申し訳ございません・・ご主人様に喜んで頂こうと。」


「これ、やっぱりワローじゃ無いんだな・・。」


「いえ!そうではありません!こちらに並んだ料理は全てワロー肉の料理です!ただ、あらゆる惑星の美味しく食べられる技法を用いて作りましたので、数哉様が望みの冒険初心者が食べている味とは程遠いかと・・申し訳ございません。」


「そっか、でも凄く美味しいから嬉しいよ!」


 ラナの顔が曇りから晴れに変わる。


「本当ですか!?」


「本当に。それにレリクスのワロー料理は何処かの町に行けば食べれるだろうから、今は美味しいに越した事は無いかな。」


「分かりました!毎日美味しい料理を作ります!」


 ラナも食べられるのか数哉が聞くと、食べても食べなくても大丈夫との返答であった。一人で食べても寂しいからと、数哉はラナを誘い楽しい食事を満喫する。


・・・約30分程、料理を堪能した後に部屋に戻った。どういう仕組みなのか地球で見ていた部屋のテレビも普通に映る。エアコンも見当たらないのに空調が効いて25度に保たれていた。心地よい状況にテレビを見ていた数哉は眠たくなる。


「ふわぁぁ〜!・・眠たくなって来たな。外の片付けをしているラナには悪いけど先に寝かせて貰おう。」


 数哉はテレビを消してベッドに横たわった。すると部屋の扉が開かれ、シャンプーの良い香りが漂ってくる。


ガチャリ。


 そこへ現れたのは、長い濡れた髪をタオルで拭きながら入って来るラナであった。ラナは大きめのバスタオルを身体に巻いてタオルの端を左胸元に巻き込み止めた状態で入って来る。スラリと伸びた綺麗な足も露わに、胸の谷間が見える色っぽい姿であった。数哉は身構え、上半身を起こす。


「数哉様、お待たせ致しました。初めてですのでお願い致します。」


ポッ。


「何を!?」


「○ックスです。」


ポッ。


 ラナはその姿で両手の平で頬を挟み、照れていた。


「いや!しないから!」


「この超美少女である私の色っぽい姿を見てもしないと!?まさか!既に○ナニーを20回された後ですか!?」


「してないよ!この短い時間で20回って、どれだけ精力超人なんだよ!」


「・・と言う事は、は!まさかご主人様はホモ!?失敗です!!急いで身体を超美少年に改造しなくては!」


「するな!普通に女性が好きだから!!」


「ならば何故・・?」


 数哉は頭をポリポリとかきながら話す。


「・・そりゃ、俺も男だから女性に興味あるし、そんな格好されたらドキドキするけどさ。俺、ずっと引き篭もりだったろ。女性に免疫も無いし・・いや!でも少しずつ慣れなきゃなとは思ってる。まだ若いしさ、いつか彼女が出来たら良いかなってな。」


--これはマズいです!こんな事では、いつ私に寵愛を頂けるか!?・・無理矢理にも慣れて頂きませんと・・ハーレム計画発動です!あらゆる美女に言い寄られれば、幾らご主人様と言えども直ぐに慣れる筈!そして私もその中に・・そうだ!精力も超向上させる薬を食事に入れて何人でも何回でも○ッチが出来る様に身体改造もして頂いて!・・・。


「・・そうですか、分かりました!」


ニコッ。


 計画を練りながらラナは数哉に笑い掛ける。


ゾクリ!


「あれ?何か悪寒が・・?」


「それはいけません!・・コスチュームチェンジ。」


 ラナの周りを、オーロラが包んで服装が看護師服に変わった。


「直ぐに温かな飲み物とお薬を!」


「いや大丈夫、寒くは無いから。ラナは何処で寝る?」


「お許し頂ければ横で添い寝させて頂きたいのですが・・。」


「う〜ん、寝られるかな?変な事をしたら駄目だからな。」


「・・畏まりました・・コスチュームチェンジ。」


 ラナは再びオーロラに包まれ、上品な白いネグリジェ姿に変わる。


「おやすみ、ラナ。」


「おやすみなさいませ、ご主人様。」

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