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生と死の歯車  作者: 神猫 翼輝
異世界への転生
7/7

魔術師の家

今回も短めです。

ーーあれから一時間程が経っただろうか。

既に日は沈み始めていて、夕日が街をオレンジ色に染めていた。

「ここが、私の家よ。」

大通りを抜け、町の端のほうに来た俺らの目の前には、レンガ造りの立派な家が建っていた。

周りを見渡しても他に大きな家はない。

ここまで大きく立派な家はこの辺ではここだけだ。

「へー………こりゃまた………立派な家だな。」

俺は感嘆の声を漏らす。

「ふんっ。そりゃそうよ。おとーーーいえ、父上の努力で建てた立派な家なんだから。」

「ん?もしかしてお前の家、お金持ち?」

「ええ………そうよ。父上が魔法の研究で偉大な功績を残してね。莫大な量の懸賞金をもらったのよ。」

「へーー魔法の研究ってお金入るのか。」

功績さえ残せれば(・・・・・・・・)ね。ただ、偉業を成し遂げるには、同時に莫大な量の研究費がかかるものよ。実際、父も若い頃は、一日一食パン半分ぐらいで生活していたそうよ。」

(……………うわぁ。よくそれで生きていけるなぁ。普通なら死ぬわ。)

アメリアの父、超人説。

これを確信し、俺はただただ先人の偉大な生き様に、絶句していた。

「………さぁ、入っていいわよ。」

アメリアが家に招き入れる。

その声に俺は我を取り戻し、「お邪魔します。」と挨拶をしつつ、ついに謎のツンデレ超絶美少女魔術師、アメリアの家に足を踏み入れた。

「おおおおおお!!!」

玄関に入ってまず俺が上げたのは感嘆と驚きの声だ。

外観からでも広いのは充分分かるが、いざ入ってみると想像を遥かに絶する程の広さに加え、快適でとてもきれいな空間が目の前に広がっていた。

決して少なくない物はよく整理されていて、この家は心落ち着く夢のマイホームそのものだった。

「すげぇ………。こんなに広くて快適な家見たことねぇ。」

声を震わせながら俺は素直に感想を述べた。

「母はとてもきれい好きで、いつも家の掃除をとても念入りにやっていたわ。

それを引き継いで(・・・・・)、私も家にいるときはいつもやってるわ。

まぁ、最近は仕事が忙しすぎてできてないところも多々あるのだけれど。」

「へぇ………流石女子だな。俺には全く理解できないぜ!」

「褒めてるのかけなしてるのか分かんないわ!」

アメリアが吠える。

ーーははっ。可愛いなぁ。

俺は心の底からそう思う。

そんなやり取りをしながら、俺は次にリビングに上がった。

そこには、大きめのソファー二つと、真ん中に大きめのテーブルが一つ。

上には、おしゃれなシャンデリアが灯りをともしていた。」

ソファーがあったことも驚きだが、やはり相変わらずの広さと、清潔さ。心が安らぐ空間を、見事なまでに作り上げていた。

「…………いいな。この家。」

素直に心の底から感動していた。

たかだか家にここまでの感動を覚えたのは、生まれて初めてかもしれない。

この家を一目見れば、きっと誰もがこの家に住んでみたいと思うだろう。

そのぐらいには、物凄く素晴らしい家だった。

(………せっかく異世界へ来たんだ。俺もお金ためて、こんな家に住んでみたいなぁ………)

夢がまた一つ、増えた。

「………いいわよ、座って。疲れたでしょう。

そう言ってソファーを指さした。

「おっ!サンキュ!………はぁーーー!気持ちいいなぁ!」

ソファーに座ると同時に俺はとても柔らかい感触を感じていた。

ただ座っているだけなのに、自然と心が安らぐ気持ちよさを感じられる、素晴らしいソファーだ。

正直こんなもの、現実世界でも見たことない。

ーー一体どんな素材が使われているのだろうか。

と、そこでアメリアが口を開く。

「そうでしょう。今からご飯作るからそこでくつろいでいていいわよ。

ああ、なんなら、家を見て回ってもいいわよ。

でも、物を壊さないようにね。」

ーーこいつ、ツンデレなのに、めちゃくちゃ気が利く。

素直に尊敬した。

「分かった。ありがとな。」

そういって、俺は席を立つ。

さて、まずはこの家を見て回ろう。

そのとき、ふと俺の頭に一つの疑問が浮かんだ。

実際は特になんてことのないことだった。

だが、この後すぐ、俺は後悔するのだ。

ーー自分の配慮が足りなさ過ぎて、お互いの関係に不和を築いてしまった、と。

そんな後悔の元となった俺の疑問から、話を続けよう。


「なぁ、そういや、親御さんは?」


ピタリ。とアメリアは動きを止める。

その場に沈黙が訪れ、一気に空気は氷点下へと下がる。

ふいに、ポロッと、アメリアは涙を零した。

(………え?まさか、今の質問まずかった?)

俺は割と鈍くて気の利かない空気の読めないやつなので、もしかして、今マジで余計なこと聞いたかなと、不安を感じ始めていた。

ーー空気が、重たい。

相変わらずアメリアは泣き続けている。

ーーあぁ。まさか、

俺が答えにたどり着くギリギリ前だった。


「………死んだ」


と、凄く悲痛な声で、声を絞り出すように答えた。

「……………そうか。悪いこと聞いたな。ごめん。」

申し訳なさで心がいっぱいになりながらも俺は頭を下げた。

「………家を見てる。」

そういってその場から逃げるように(・・・・・)、相手の返事を待たずに、リビングを出た。

ーーだから、俺には聞こえてなかった。


「…………私の(・・)、バカ。」




























続きが思いつかなくなったので、しばらく休載します。

その代わり、別の作品が思いついたのでそちらをぜひご覧ください!

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