チンピラとの遭遇
今回は短めです。
それは俺が高台を後にしようとしたときだ。
男三人組がニヤニヤしながらこちらへ来て、
「おい、兄ちゃん。ちょっとツラ貸せや。」
と絡んできた。
「…………はい?」
俺は答える。
(………ヤベぇ。チンピラか?三対一じゃ勝ち目薄いしなぁ………)
ーーとりあえず、答えを間違えるな。
戦闘になったら勝ち目は無い。
「はい?じゃねえよはい?じゃ。分かってんだろ。
痛い目見たくなきゃ出すもん出せや。」
ーーチ〇コでも出してやろうか。
そしたら、こいつら逃げんじゃね?
と、内心思ったが、痛い目見そうなのでやめておいた。
「はぁ………俺、無一文なんですよ。だから、今持ってんのは使えないお金(札)と携帯、小説………だけですね。こん中でいいですかね?」
「おぉ?見たこと無えもんばっかじゃねえか。てめぇどこの出だ?
(あーーー。めんどくせぇな。)
ーーこの世界の出じゃねぇからなぁ。
でも、違う世界から来たなんて信じてもらえないだろうしなぁ。
いや、仕方ない。ここは素直に話そう。
「ん、と。信じてもらえないと思うんですけど、俺、もともとこの世界とは違う世界に住んでて、それでさっきこっちに来たんですよね。
だから、どこ出身って言われると………“異世界”、ですかね。」
「あぁ?てめぇ何言ってやがる?そんな話あるわけねぇだろ。」
ーーやはり信じてもらえないか。
「そう言われても………この世界のこと何も知らないので、
こうとしか答えられないんですよね。」
「うるせぇ。いいよ、じゃあ。
とりあえず、これ全部貰うわ。」
「ーーえ。全部はちょっと………」
「んだよ。痛ぇ目にあいてえのか?」
勝ち目があるならそれもありだろう。
だが、三対一。勝ち目はなし。
逆らえばボコられる。
(はぁ…………ついてねぇな。まぁ、仕方ないか。)
早くも観念して、
「………分かりました。全部あげますよ。」
ーーーあぁ。ラノベの新巻………
実際一番重要なラノベを惜しみながらも、所持品を差し出すことにした。
ちなみに携帯は電波が来ていない。
せいぜい使えるのは写真と時間だけだ。そんなに惜しくない。
だが、ラノベを差し出したことにより、この世界で暇になることが確定したのだ。
ーー非常につらい。
「へへ………。じゃ、貰うぜ。」
(まぁ…………無事にこの場を抜けられるならいっか。)
その時だった。
「そこまでよ、悪党。」
まるで鈴のように美しく、太く、奇麗な声だった。
「なんだぁ!?」
チンピラ共が反応する。
「私はアメリア=アステール。魔術師よ。
あなたたちの悪事、私が許さないわ!」
そう言ってアメリアという少女は、俺の隣へと降りてきた。