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魔装の冒険者~素材が採れねぇ、このスキル~  作者: うまひ餃子
始めま章
6/37

おっさんは大抵いい奴

 タイトルは偏見です。

 それでは、どうじょ(/・ω・)/




 ホーンラビットとの死闘の後、少し休憩を取ってから人がいそうな方へ向かって歩いている。

 休んでいる間に確認したのだが、角兎の短剣は興味深い性能を持っていた。


 【刺突】:突きの威力が僅かに上昇。クリティカル率も極々僅かながら上昇。


 鑑定に集中すると上のような説明が出て来た。

 これは主な素材であるホーンラビットの特性によるものだと思われる。

 軽く素振りもしてみたが、短剣という名の通り、軽く取り扱いやすさはある。

 しかし、これ一本で戦闘に臨むというのは無理がありそうに思えた。


 「にしても、自然だなぁ」


 この世界にビルなどと言った科学文明の象徴がある筈もない。

 そして道端に生えた草花も元居た世界で見たものとは異なるものも見られ、とても興味深い。


 「兎美味しい衣山ぁ~」


 小学生のころ作った替え歌が自然と口から流れ出る。

 童心に帰るとはこのことなのだろう。


 シンドの異世界ワクワク散歩。

 目に付くもの全てが新鮮に思えるから楽しくて仕方ない。

 これぞ正に異世界ルーキーブーストではなかろうか。


 

 しばらく歩いたが、魔物と呼ばれる存在が現れることはなかった。

 その間、時々、立ち止まっては草花を変換したりした。

 変換したものは勿論アイテムボックス行きである。

 そして、目的地に到着した。 


 「街というより村か」


 人がいる。

 現地の人だ。

 あっちこっちを覗いているとガタいの良いおっさんが歩いて来た。


 「おう、この村になんか用か?」


 獣皮のベストっぽいものを着て頬には一筋の古傷。

 盗賊さんですか?


 「あ、どうも。ついさっきここに着いたばかりでして。自分はシンドと言います」


 初対面の相手に対しての名乗りは大事です。

 例え相手が悪人面であろうとも。

 

 「シンド?随分変わった名前だな」


 変な名前らしい。

 おっさんは確実にこちらを訝しんでいる。

 出来ればここでは波風を立てたくないんだが。

 しょうがないか。

 

 「実は本名じゃないんです」


 「ほう。嘘をついたってのか?」


 目付きが険しくなった。

 怖すぎるぞ、おっさん。


 「いえ、その、気付いたら原っぱで倒れてまして。それで、どうやら記憶も思い出せなくてですね、とりあえず、自分で仮の名前でもつけとこうかと思って」


 ジッと見つめられる。

 真偽を確かめようとしているのだろう。

 俺としてはピクピクと動く彼の筋肉が気になって仕方がない。

 

 「嘘は言ってねぇみたいだな」


 はい。

 全部本当って訳でもないですけど。


 「悪かったな、俺はガルボロってんだ。よろしくな、シンド」


 こっちにも握手の文化ってあるんだな~っと思ってその手を握るといきなり物凄い力で握られた。


 「ぎゃあああああああ!」


 なんということでしょう、目の前のおっさんはニヤケ面して悦に入ってやがる。

 何を考えてやがるこの極悪人面ァァ!


 「不用心に手を出す辺り、お前は本当に記憶なさそうだな」


 どうやらまだ完全には信じていなかったらしい。

 にしても酷すぎる。


 「まぁ、勉強になったろ?簡単に人を信じちゃならねぇって」


 何事も無かったかのように振る舞うその図太さ、腹立たしい。

 でも、噛み付いたところで見た目世紀末なこのおっさんをどうにか出来る自信はない。

 俺は異世界ルーキーなのだ。今は、雌伏の時よ。


 「そうそう、その目よ。ククク」


 笑っていられるのも今の内だ、バカめ!

 俺がその内凄腕冒険者になった時に頭下げさせてやる。

 精々そのちっぽけな満足感に酔いしれるが良いさ、今はな。


 「ほう、面白いこと言うじゃねぇか」


 あれ、今の声に出てた?


 「今、暇だし、ちょっとばかし鍛えてやる。いくぞ、未来の凄腕冒険者シンド様」


 あるぇぇぇ~~

 なして、こうなった?

 因みにこの後めちゃくちゃセッ(ry


 ※折檻です


 ◇



 「ゼーッ、ゼーッ、オェェ~ッ!」


 「やっぱり甘ちゃんだな、そんなんじゃ、冒険者になる前におっちんじまうぞ。ほら、起きろ!」


 何故か出会ったばっかりである強面のおっさんに扱かれ始めて十日ほど経った。

 寝泊りはガルボロのおっさん宅。因みにおっさんは妻子持ちだった。

 奥さんは金髪ボインな美女ルセナさん、子は男の子のガルセナ君が一人だ。

 ガルセナ君の名前の由来は当然ガルボロとルセナから来ている。ケッ

 ルセナさんはお淑やかで、ガルセナ君は大人しいけどとても愛嬌のある子でシンド氏はおっさんに嫉妬の炎を燃やしている。


 流石に世話になってばかりは気不味いので、家事だったり、ルセナさんの内職の手伝いをやっているが正直戦力には程遠いのが現状だ。

 ガルセナ君は記憶にある童話をオマージュして話すのだが、意外と気に入ってくれているようだ。

 しかし、登場人物の名前が思い出せない。犬、猿、雉をお供に連れて鬼をしばきに行ったのって誰でしたっけ?


 「がんばって」


 応援してくれているガルセナ君に「ありがとう」と言ってなんとか起き上がる。

 見栄というのは案外力になるものだと最近実感している所存である。

 しかし、それを見ているおっさんが今度は露骨に不機嫌になる。

 どうやら大事な息子が俺を応援するのが気に食わないらしい。


 「おとうさんも、がんばって」


 「おう!ほら、シンドちゃっちゃとやるぞ!」


 現金なものだ。

 こっちは疲労困憊を二周半ぐらい通り過ぎているというのに、おっさんには息の乱れ一つない。

 ホント体力お化け以外の何者でもない。


 そんな強面お化けに何故会ったばかりの自分の面倒を看てくれるのか聞いてみたが、返って来たのは「放っておくと、すぐ死んでそうだから」という身も蓋もない率直なご意見だった。

 ただ、ルセナさんによると冒険者だった頃から、若い後輩を見掛けると俺みたく扱いていたらしい。


 そう、なんと、おっさんは冒険者だったのである。

 まぁ、体の捌き方とか常人じゃないもんな、と今更ながら気付くシンド氏。

 そのことについて尋ねると、「気付くのが遅すぎる、やはりお前はアホだ」と拳骨を喰らう始末。

 因みにルセナさん曰く結構な冒険者だったらしいのだが、当のガルボロはあまり当時のことを語ろうとはしない。

 しかし、酒に酔った時にポツリとこう呟いていた。


 「冒険者なんて、進んでなるようなもんじゃねぇよ」


 それが彼の経験から得た本音だったのだろう。

 そんなおっさんが俺の為に態々面倒を看てくれている。

 場の空気に中てられた俺はそこで自分のスキルについておっさんに零した。

 何だかんだ言いながら面倒看てくれるおっさんに本当の事を言いたかったのかもしれない。

 そしたら思いっ切り頭を打っ叩かれた。


 「スキルってのは冒険者にとっての命綱だ。それを自分から晒すアホがいるかっ!」


 扱きの間もぶっ飛ばされて来たけれど、度合いが違った。

 凄く怖かった。鬼気迫る顔というものを初めて見た気がしたものだ。

 チョットちびったのは内緒だぞ?


 だけれども、それもあってか距離自体は縮まったように思える。

 しかし、殴られた恨みは忘れない。それがシンドクオリティー。


 そんなこんなで扱かれながらの居候生活が大体二十日を過ぎた頃、おっさんが誘ってきた。


 「実戦にいくぞ」



 異世界ルーキー、実戦に参ります。




  


 逞しいおっさんと線の細い青年の濃厚な槍獲りを逞しく想像してしまった方がいらっしゃったらお詫び申し上げます。

 ぐふふ( ´艸`)

 優しい世界、、、裏山C

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