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魔装の冒険者~素材が採れねぇ、このスキル~  作者: うまひ餃子
新米冒険者頑張りま章
35/37

メンドイ奴ら~リターンズ~

 今日は金曜日!

 皆さん、頑張りませう!

 それでは、どうじょ(/・ω・)/




 予定していた場所に着いた俺たち冒険者一行は色々と確認や準備に追われていた。

 そんな中


 「見つけたよ、セルティさん」


 見つかった。

 よりにもよって一番会いたくなかった奴に。


 「(セルティさん、ここは耐えましょう)」


 これから激しい戦いが予想される中で、好ましくない人物の呑気な声。

 これ程堪忍袋を過分に刺激するものは無いだろう。

 案の定、彼女の顔からは感情が消えている。

 目が笑っていないのだ。


 「わざわざ、このような所にまで押しかけてきて一体どういう用件だろうか?」


 その言葉にも熱いアングリーハートが乗っている気がする。

 マジでアンセムの野郎消えてくれよ。

 こっちの心臓が持たん。


 「何よ、その言い方!アンセムが折角気に掛けて来てあげたのに!」


 そこは威張る所ではない。

 恩着せがましく来てやって、一体誰が喜んでいると思っているのか。

 怒鳴りたい。心の底から叫びたい。

 ん?


 「そう言えばスゥさんがいませんが、どうしたんです?」


 唯一の良心である彼女がいない。

 

 「スゥは後方支援に回ったのよ!それぐらいすぐわかるでしょ!バカなの!?」


 あ、そっか。

 簡易聖符だったか、そんなもん作れるんだったら、戦闘より救助向きだわな。

 普通に考えりゃ単純な話だった。

 それにしてもヒステリックな人はモテませんぜ、嬢ちゃん?

 まぁ、俺はアンタがモテようが一生独り身であろうが興味ないけど。


 「カシィと言ったか。初めて会った時から思っていたが、その横柄な口振りは改めるべきではないか?」


 「何よ!私は本当の事を言ったまでよ!ね、アンセム!」


 「あ、ああ。でもさ、カシィ、もうちょっとお淑やかな君の方が僕は良いと思うよ」


 「そう?それじゃあ、私頑張る!アンタ、アンセムに感謝しなさい」


 もうヤダ、この人たち。この即興コントは一体何処から思い付くの?

 案外、スゥさんも面倒見切れなくて後方支援に逃げたのではないだろうか。

 というかそんな気がしてならない。


 「・・・・・・」


 あ、沈黙のセルティモードだ。

 これはアカンぞ。ガチなやつだ。


 「まぁまぁ、カシィそれぐらいにして。セルティさんやっぱり僕らと組まないか?相手はゴブリンの群れだし、女性にはかなりキツイと思うんだけど」


 俺のことはどうやら目に入っていないらしい。

 ここまで徹底しているとホント清々しいわ。

 そして相変わらず、何にも分かってないのな。


 「ククク」


 「・・・何が可笑しいんだい?」


 いかんいかんつい笑ってしまった。

 目付きが怖いぞ、優男。


 「いえ、特に何も」


 「何もないのに笑う訳ないだろう!」


 何この人。

 セルティさんへの接し方とは大違い。

 女尊男卑がここまで極まっていると凄いわ。


 「そこまで仰るのなら仕方ないですね。では、貴方の言っていることがあまりに見当違いが過ぎて可笑しかったので、つい。御無礼をいたしました」


 「ッ、k「ちょっと、アンタ!アンセムになんてこと言うのよ!」


 アンセムが何か言い掛けた所にヒステリック・カシィが割り込んで来る。

 チッ、おかげで、野郎のブチ切れ見れなかったじゃねえか。

 大物ぶった野郎が態度を豹変させる。

 これほど滑稽な見世物はないというのに。


 「いえね、失礼を承知でお伺いしますが、貴方がたは恐らく下位冒険者ですよね?」


 「そうよ、私は五級でアンセムは三級よ!」


 自慢気に鼻息荒く仁王立ちするカシィ。

 アンセムの顔も何処か誇らしげだ。


 「なるほど、その若さで素晴らしいと言えるのでしょうね。しかしながら、セルティさんは中位冒険者です。この意味お分かりになりますよね?」


 二人の表情が一瞬で変わる。

 やはり知らなかったようだ。

 つか下調べしたんならそれぐらい知っていてもおかしくないと思うのは、俺の考え過ぎだろうか。


 「つまり、貴方がたが彼女を心配する必要はないのです。彼女は中位冒険者で貴方がたは下位冒険者、そもそも彼女を心配する立場にないのです」


 アンセムの顔が悔しさに歪む。

 負けるな青年。男は転んで強くなるんだ。

 とりあえず、心の中でそんなエールを送っておく。


 そして、カシィの顔はこれまた酷い。

 なまはげもかくやと言わんばかりの形相で、俺とセルティさんを睨んでくるのだ。

 君はもうちょっと感情の制御を努力して欲しいな、とシンド君は切に思うのである。


 結局、黙り込んだまま彼らは去って行った。

 あーいむうぃなー!


 「セルティさん、勝手に情報教えてごめんなさい」


 了解とらずに言ったのはキチンと謝っておくべきだろう。


 「いや、あそこまで言ってもらえて清々したぞ。こちらこそ矢面に立たせて済まなかった」


 お辞儀合戦となりかけたが、何とか事なきを得る。

 それにしても、面倒臭かった。


 「ちょっとあの二人については対策を練っておいた方がいいかもしれませんね」


 「そうだな、後々何らかの問題に発展しないとも限らないしな」


 彼ら二人が自分たちの愚行を顧みて改められるのなら、それに越したことはないのだが、恐らくそれは天地がひっくり返るレベルで有り得ない。

 スゥさんに付きっきりで監督させるというのもなくはないが、そんなことをしたら恐らく彼女はストレスで胃潰瘍を起こすかもしれない。

 解決策は浮かんでこない。この場では一旦棚上げとするか。時間は有限だからな。


 「うし、それじゃその件はこれが片付いてからにしましょう」


 「そうだな、じゃあ」


 「じゃあ、儂の用件じゃな」


 振り向くとそこには何時の間にか幼女がいた。


 「帰れ」


 「ムキャーッ」


 セルティさん、そんな目を輝かせないの。

 この人も面倒以外の何者でもないんだから。


 ホントもうヤダ。

 ゴリアテさんカモーン!


 そう都合よく来るわけがなかった。

 俺とセルティさんはこの後も幼女の相手を続けながら準備に勤しんだ。



 

 相手の都合を考えない人というのは何処にでもいるものです。

 話飛びますが、七夕でしたね。

 願い事は何が良いかなぁ。

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