勝手にシンドBAD
間空きましてすみませぬ。
これからもぼちぼち細々とやってまいりますのでよろしゅう。
それでは、はりきってどうじょ(/・ω・)/
永遠という言葉はあるが、そんなものは存在しない。
などと、瘴気に侵されている年頃の少年少女たちのような物言いだが、実際現実はそんなものだと思う。
セルティちゃんの猛攻を何とかして捌いていたものの避け・逃げ専門、終いにゃコケコッコーな俺が可愛い女の子を攻撃を出来る筈なく、勝負は膠着していた。
いや、勝負というより公開羞恥プレイと言った方が適しているかもしれない。
俺はひたすら彼女の猛攻を避けるだけなのだから。
勝てば最低野郎。
負ければ貧弱野郎。
男性社会な冒険者業界で後者は避けたい所ではある。
折角、波風が落ち着いて来たと言うのに、舐められて誰かさんの時と同じように絡まれ続けるなんて御免被る。
しかし、はぁはぁ息切れしてる彼女を倒した所で卑怯卑劣鬼畜といくらでも罵詈雑言は俺の繊細なガラスのハートを踏み躙って行くことだろう。
正に打つ手なしなこの現状に一体どうすればいいか悩んでいた時だった。
「あ」
何のことはない、躓いた。
そして体勢が大いに崩れた。
そして、彼女はそれを見逃さなかった。
「てやぁぁぁぁぁぁ!」
まさかの事態にゆとりセンチュリーボーイが上手く対処できる筈なく、あっさりと俺は頭上に剣先を向けられたのだった。
「そこまでッ!」
グスタフさんの低く響くおじさんボイスはとてもクールでナイスガイだったと付け足しておく。
おい、同業者ども笑うな。
◇
「あっ、あ、りが、とうっ」
「い、いえこちらこそ。あの、失礼かもしれませんが大丈夫ですか?」
セルティたんは息が整わないらしい。
身体強化という奴はどうやらかなりの無茶を強いるようだ。
今の時点では何れ取りたいスキルリストからは外すことがシンド脳内閣議において可決された。
現代っ子はノーリスクハイリターンを求めるんですぜ?
はい。ゆとりですがなにか?
「あれは酷いぞ」
グスタフ氏ちょっと怖い。
スキンな頭に厳つい顔は鬼にバズーカー的なやつだと思う。
「面目ないです」
まぁ、自分が一番分かっている。
あれを魔物や野生の獣の前でやっていたら俺は土の美味しい栄養分になっていた筈だ。
ふと視線を足元に下ろす。
足が重い。それに熱を持っている。
最後の方はど根性的なエネルギーで持っていたが、あの場面でそのツケが来たのだ。
躓いた時、万全だったならすぐに体勢を立て直せた可能性は高い。
しかし、耐えられなかった。
つまり俺の精進が足らんかっただけの話だ。
こんなのガルボロのおっちゃんに知られたらまた地獄巡りだな。
「綺麗な嬢ちゃんに足躓かせて一本取られたァ?よし、逝くぞ」
何処に逝くって?
うん、ちゃんと鍛錬しよう。
やり方知らんけども。
「つか、この立ち会い、どういう意図なんでしょうか?」
ふと思った。
何故、拙者はこの様な催しに参加しているのか。
何も説明を受けていないことに今更ながら気付いてしまった。
流されやすいジャポーネ気質が見事に発揮されている気がする。
「ん、そう言えば言ってなかったか。おい、セルティ、どうだった?」
質問した筈なのに何故かセルティ氏に話が振られる。
あ、セルティさん職員さんから飲み物もらってる。いいなぁ、俺も喉渇いたんだよなぁ。
「ん、ん、ぷはぁっ!」
あー、俺も喉渇いたなぁ、すっごく何か飲みたい気分だなぁ。
「はい、シンドさんもどうぞ、お疲れ様でした」
美人な職員さんが飲み物の入った器を手渡してくれた。
綺麗だけど彼女の領土は更地だった。何がとは言わない。
「あざーっす」
なんかせがんだみたいで悪いね。
そいじゃあ、遠慮なく。
ゴクゴク・・・プハァァ!
この猛烈な酸味と後から来る苦みがたまんね、、、
「ぎゃあああああああああ!」
「運動の後はレモの実を絞ったこれが体に良いんですよ?」
気を遣って頂いてどうもありがとう。
だが、しかし、この味は如何なものかと思うぞ?
「ゲホッゲホッ、うぇえぇえぇ~」
とりあえず口の中を水で一掃したい。
「ルシアンダ、いくら気に入らないからと言って、そんな悪戯は好ましくないぞ」
この美人、ルシアンダというらしい。
綺麗な薔薇には棘がある、という典型例なのだろうか。
「えー、私はお疲れなお二人を思って差し入れしたんですよ?」
あぁ、笑顔だけど目が笑ってない。
こりゃ、クロだわ。
しかし、何故?
「すまんな。コイツはちょっとばかし贔屓が過ぎる奴でな」
うむ、つまり、ルシアンダさんはセルティさんのことを気に入っていたと。
そして、そんな彼女とガチでないとは言え、勝負していた俺が気に食わない、と。
「まぁ、セルティさんみたいな美人さんが怪我でもしたら嫌ですもんね」
「んなっ!」
「チッ」
顔を朱く染めるセルティさんぐうかわ。
乙女や~乙女がおる~
そして、美人受付嬢さんや、本性が表でこんにちわしてまっせ。
「セルティちゃん。お疲れだったわね。どう、これから慰労の女子会なんて?美味しいお店があるのよ。遅くなりそうなら私の部屋に泊まって行けば良いし・・・ぐふふ」
ああ、この人はそう言う人なのか。
何か納得。
「えっ、いや、今日は遠慮させていただこう。また次の機会に」
「そう?残念!でも約束よ?」
そう言ってルシアンダさんはルンルンアハーンと仕事に戻って行った。
なんか、俺よりキャラが立ってた気がする。
この世界は濃い人しかいないのだろうか。
「で、セルティ、コイツはどうだった?」
「はい、最初はふざけているのかと思いましたが、あの回避は下位冒険者の枠を超えていたと思います。性格に関しては何とも言えませんが、悪意は感じなかったので、悪い人物ではないように思えます」
ん?
これは俺の総評か?
なんか面接受けてその評価聞いてるみたいだ。照れ照れ。
「なら、どうだ?試しで良いんだ、な?」
「グスタフ殿がそこまで仰るのであれば、一度くらいは」
おい、お二方。
話を進めるのは良いが、話題の人物を置いてけぼりにするとは何事か。
拗ねて泣くぞ。
「と、いうことだ。シンド、お前にはこのセルティと臨時でパーティーを組んでもらう。いいな?」
いきなりなに?
どういうことやねん。
あのー、俺の意見とか一切訊かれてないんですけど、いや、文句ないです、はい。
「シンド殿」
セルティたんがこっちに来た。
うーむ、やはりふつくしい。
「はいな」
「これから少しの間になるだろうが、よろしく頼む」
うん、けど彼女はあまり乗り気って訳でもなさそうだ。
どういうことやねん。
シンド君、美女とぱーち―を組むことになりました。
彼女は ぱーち―を 抜けたそうに こちらを 見ている。
何が一体どうなっているのか、後でグスタフさんに訊いとかないとな。
あー、それにしても疲れた。
今日は早く寝よう。
金髪美女とぱ-ちーとか・・・・・・
このフラグ、どうやって折ってくれようか。。。




