説明はちゃんと聞くべし
作者は説明書を読まないタイプです。
つまり、よく物を壊すタイプということです(´;ω;`)
それでは、どうじょ(/・ω・)/
「それじゃあ、説明する。まず、冒険者は冒険者登録した冒険者ギルドの所属になる。これに大した意味はないから気にしなくて良い。で、登録したギルドのある国、お前の場合はここアヴィス王国内なら自由に移動が出来る。が、国外に出る場合は国内のギルドで手続きをしてから行くこと。ここまでで質問はあるか?」
おお、なんか役所っぽいな。
戸籍の管理とか通じるものがある気がする。
「あの、もし、手続きをせずに国外へ出るとどうなるんですか?」
「ああ、単にその方が所在の確認がとりやすくて職員が助かるというだけだ。特に罰則などは普通の冒険者にはない」
あ、さいでっか。
「それでも、そういうのを怠る奴らは不思議なもので、どう頑張っても冒険者級位が一定以上にはならない、気を付けな」
いきなり顔を近づけて小声で囁いて来た。
いい声してんな~と思いながらも、その忠告を吟味する。
冒険者きゅーいってのは恐らく冒険者の等級、分かりやすく言えば《ランク》のことだろう。
つまり、ホウ・レン・ソウがしっかりできない奴は出世できないってことですかね。シビアだ。
「それでも、驚異的に強かったり、何か特殊技能持ちの場合はその限りでもないがな」
技能者、資格保持者優遇とかまんま現代じゃねぇか。
優れた者が優遇されるというのはやはり異世界でも変わらないようだ。
「次は、お前はこの街を拠点にするつもりか?」
「えっと、どれくらいかは決まってないんですけど、とりあえずはこの街で仕事をして行こうかと思っています」
「そうか、なら、この建物の設備について説明してやる、ついて来い」
ふと見ると受付には椅子が置かれていた。
恐らく受付の職員用なのだろうが、このスキンさんもといグスタフさんはどうやらこれを使うことなくずっと立っていたらしい。座れば、幾らか威圧感が減って人が来るのでは?と思わなくもなかったがそれを口にすることはない。
のこのことついて行くとかなり大きい木板が壁に張り付いていた。
そして、その木板には所々に紙が貼られていた。
「ここに貼られているのが冒険者の仕事だ。気に入ったのがあればここから取って受付に持って来い」
おお、今度はハ〇ワ的なあれですか。
にしても数が少ないけど、これはもう残り物だけってことなのだろうか。
「察しの通り、ここにあるのは残りものだ。良い依頼が欲しいなら朝早くからの争奪戦に参加することだ」
うげ、それは面倒な。
厳しい現実にルーキーちょっとがっかり。
「まぁ、常時出してる依頼も有りはするが、報酬はゴブリンの魔石みたいなもんだ」
ゴブリンの魔石?
「ああ、見返りが少ないってことだ。まぁ、ギルドとしては大いに助かるから、そっちの方も暇がある時は受けてくれ、受付で言ってくれれば紹介するからよ」
ああ、雀の涙ってことか。
「了解です。それで、依頼の種類について詳しくお願いしても?」
「いいぞ、基本は討伐、採取、護衛だな。討伐は魔物、盗賊、犯罪者が対象だ。が、登録したてのルーキーにはこの仕事はさせない決まりだ。くれぐれも、な」
イエスサー!
了解であります!
「で、採取だが、素材の採取が目的だ。野草や魔物の素材を採って来るんだが、勿論、今の冒険者級位じゃ魔物素材を採って来る依頼は受けられないからな?」
「うっす」
「そして、護衛依頼だが、これもある一定の級位に届かない限り受けることは出来ない。今のお前には関係ないから省くぞ」
今までで聞いた感じ、ルーキーに対してとても手厚い保護を取っている気がする。
案外しっかりした組織の様だ。まぁ、しっかりしてなかったら困るのだが。
「主にこれらの依頼は自ら選ぶことが出来る。が、依頼にはそれぞれ級位が設定され冒険者級位に応じたものしか認めない。ただ、街の住人から出される手伝いの依頼なんかは級位関係なく受けられるものが多いからこれも覚えておけ」
ふむふむ。
「それと、依頼を取り合って冒険者同士で争ったりするなよ。冒険者同士での争いは事情は汲むが両者罰則が与える場合が多いからな」
喧嘩両成敗って勘弁だろ、おい。
もし、絡まれてぶっ飛ばされたとしても、そのやられた方までお裁きってことだろ?
「安心しろ、ちゃんと事情は汲む。基本手を出さなければ罰をもらうことはない。耐えろ」
俺は殴られる側なんですね?
ハイ、ワカリマシタゼンショシマス。
「次だ」
そう言って歩き出すグスタフさん。
そして次に着いた場所は
「ここは魔物や野草のような素材を持ち込む所だ。討伐や採取の依頼が終了したらまずは受付をしてからここに来い。それで受付で渡された書類をここで依頼の品と一緒に出せ。依頼内容との照合が終わったら返された紙を持って同じ受付に並ぶ。受理されれば依頼完了だ」
見事に分業でお役所仕事。
まぁ、でも、杜撰なのよりかはマシだよな。
「依頼関係なく素材や使わない武具や魔法具の買取もしている。入用な時は使うといい」
了解。
「それじゃあ戻るぞ」
受付に戻って来て説明再開。
「冒険者には級位があるのは先程から話していると思うが、新入りは例外なく十級からの始まりになる。そこから依頼をこなして行き、級位を上げていくんだ」
ランクとか燃える。
「級位は十~一までで、数が少なくなるほどその実力も高いものとなる」
おお~
「そして、その級位には更に上中下いずれかの位階が付けられる」
へ?
「例えば下位五級と下位六級ならば下位五級の方が、下位五級と上位六級ならば上位六級の方がそれぞれ立場は上だ」
頭が?でぐ~るぐる~
「つまり、基本は位階で大まかな実力を判断し、更に級位でそれを細かく分けるということだ」
な、なるほどぉぉ?
「まぁ、自然と慣れるだろうから考え過ぎるな。とりあえず、シンド、お前はまず下位十級から上がることを念頭に置いておけ」
はっ!
了解であります!
何にしろ最下位スタートと言うことに変わりはないし、特に問題はないか。
「それで、さっきも言ったが冒険者同士での争い事は原則禁止だ。この意味が分かるか?」
「はい、裏では何やろうと構わねぇよ、ってことですね?」
バゴッ!
いってぇぇぇぇぇ!
「違う。身の振り方には気を付けろということだ。突っかかって来る輩は往なし、危険な輩とは距離を置け。そして、止むない場合は頭を下げて命を請え。それが長くやってくコツだ」
わっかりやしたあぁぁ、痛ぁぁぁ
周囲の視線が更に痛い。
「それじゃあ、これを書け」
そう言ってインクに使った羽ペンと用紙がスッと出て来た。
記入事項は名、年齢、性別、そして一番下には署名用の空白。
サササッと記入。
今気づいたが文字の意味が分かるな。
そして書ける。
【異世界言語翻訳】のおかげだろうな。
みっちーさん感謝です。
「よし、書けたな」
書いた瞬間奪われた。
中々荒々しい。
「これ頼む」
「分かりました」
更にその用紙を女性職員さんに渡して、女性職員さんは何処かに行ってしまった。
少しすると何かを持って戻って来た美人さん。
「どうぞ」
「おう、ありがとな」
そしてグスタフ名誉筋肉爵にそれが渡され、こちらにやって来た。
「これがお前の冒険者カードだ」
そう言って手渡されたのは一枚のカード、と言っても、現代の様なちょっと曲げたら折れてしまいそうなものではなく、最早板かなにかの様な強度であった。
「丈夫ではあるが、決して壊れないものじゃない。大切に扱え。あと、無くしたら、級位降格及び再発行料支払いが基本だからな。任務遂行中の破損や紛失に関しては事情が説明出来れば大抵の場合は再発行料だけで済むが、勿論安くはない。気に留めておけ」
ヒィィィ
大切に使わせていただきます。
「これでお前も冒険者の端くれだ。ウチのギルドに恥を掻かさないよう努めろ」
うぃーす。
「で、依頼はどうする。早速受けるか?」
「今日は止めときます。明日来ようかと思うんですけど、グスタフさんって明日います?」
「いるが、俺で良いのか?」
いや、口調はアレだけど懇切丁寧に説明してくれたし。
それに
「綺麗所は待ち時間長そうなんで」
「フン、違いないな」
お互いに笑う。
ああ、やっぱり俺はツイてる。
ガルボロのおっさんにマーシーさん、そしてこのグスタフさん。
会う人会う人に恵まれてる。
「んじゃ、明日はお願いします。失礼します」
「・・・おう」
そのまま冒険者ギルドを後にする。
さぁ、冒険者ライフの始まりだぁぁ!
凄腕冒険者に俺は──
「おい、いきなり冒険者カード忘れて行く奴があるか」
ボコッ!
なるまで道のりは遠そうです。
アイタタタタ
大まかな説明だけ、済ませました。
一応補足。
冒険者は上位・中位・下位のランクに分けられます。
大雑把に区分してしまえば、上位は凄腕、中位は熟練者~そこそこ、下位は慣れてきた~素人みたいな感じです。
そこから更に十級~一級で細分化します。
あくまでもこれは冒険者としてのギルドへの貢献度や力量に対しての目安で必ずしもその者のランクと実力が噛み合うとは限りません。
因みに主なランクの並びは以下の様な感じです。
上位一級
:
上位十級
中位一級
:
中位十級
下位一級
:
下位十級
分かりにくくてすみませぬ




