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魔装の冒険者~素材が採れねぇ、このスキル~  作者: うまひ餃子
冒険者になりま章
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到着

 どうやら着いたようです。

 それでは、どうじょ(/・ω・)/



 「こんちわー」


 「お、旅人か、よく来たな」


 目の前に居るのは街の入口に立つ兵士さん。

 挨拶した感じは問題なさそう。


 「それにしても、歩いて来たのか」


 「途中に幾つか村もあったので、特には問題なかったですよ?」


 なんだろう、普通は馬にでも乗るんだろうか。

 でも、さっきの暴走女子機関車的な乗りは勘弁したいのだが。

 つか、あの娘は無事に降りられたんだろうか。


 「あの~、俺より前にものすんごい速さで突撃して来た女の子っていました?」


 「サリネちゃんを見たのか。彼女は無事だ、いつものことだし気にするな、つっても難しいか」


 え、なに?

 あれが普通なの?

 日常の一コマ的なやつなの?

 通常業務的な乗りなの?


 「サリネちゃんとロデオ、乗ってたバトルホースのことな。あれはウチの名物なんだわ」


 ロデオでバトルホースとか、色々ツッコミたいが堪えるんだ、俺。

 「めいぶつ」って、やっぱり「名物」ってことだよなぁ、「迷物」じゃないよなぁ


 「おっと無駄話しちまったな。早速だけど、これに手を置いてくれ」


 そう言って目を向けると台みたいなものがあった。

 

 「これ、なんですか?」


 遂訊いてしまった俺は悪くない。

 無知は悪いことではないのだ、無知であることをちゃんと自覚しているのならば。


 「お、知らないか。これはな【真偽明台】っつうマジックアイテムでな、手を置いた者が尋ねられた質問に答えるとその真偽がわかるっつうスゲー代物さ」


 名前はかなりふざけてるが、性能については大真面目にスゲーな。

 

 「これはな、アヴィス王国の初代国王様が作り上げたマジックアイテムの一つなんだぜ?」


 初代国王か。

 初代ってことは当然国の名前決めたのはその人とかその周辺だよな。

 んで、【真偽明台】っつう親父も真っ青なネーミングのマジックアイテム。


 「あの~、付かぬ事を伺いますが、初代国王様のお名前って」


 「なに!知らないのか!」


 ひえっ、すんませんすんませんまことにもうしわけございませんでしただからゆるしてくださいおねがいします


 「あっ、すまねぇな。アヴィス国民なら農民の子でも知ってるってぐらいのことだからな。つうことは旅人さんは他国の出身か。いや、悪かった」


 はい、他国出身(異世界)です。

 にしてもアレか、日本国民が織田信長知らないってぐらいに名の知れた人物って事なのかね?


 「いえ、自分の無知が原因なんで。それで、初代国王様のお名前は~」


 「お、そうだったな!初代様のご尊名はな、アシュラ・グランド・アヴィスニア・ゴッドカイザー・ブラックホール様だ」


 「・・・・・・はい?」


 「なんだ、聞き取れなかったのか?


 「いえいえいえいえ、聞き取れました。じゅぅぅぶんに聞き取れたんですけど」


 これまた色々ツッコミどころが多すぎて困っている。

 アシュラって阿修羅だよな?

 で、ゴッドカイザーってのは何だ、造語か?神皇帝ってか?

 終いにゃブラックホールで全部ふっとばしてんじゃねぇか!


 「ああ、王族方は名付けに色々決まりがあるからな、戸惑うのも無理ねぇか」


 いや、単に滅茶苦茶な先輩(・・)のふざけた名付けに呆れてただけです。

 もうちょっと良い名付けは出来なかったのか、と質問したくなる。

 まぁ、勘で名を決めた俺も人のことは言えないのだが、それでもこの暴挙については突っ込まざるを得ないだろうよ。


 「ええ、凄いですね」


 営業スマイルとは正にこれだろう。

 そんな爽やかで機械的な微笑で顔面コーティング。

 

 「ま、俺ら庶民からするとそんなもんだよな。んじゃ、パパッと頼むわ」


 軽く笑いながら兵士さんが本題を進めようとして来たので、右手を台に置く。

 すると、手を置いた板が点滅しだす。

 その間隔が次第に短くなっていき、最後にピカンと青い光が付属していた電球のようなものに数秒点灯したかと思うとそれも消えた。


 「ん、問題ないみたいだな。それじゃあ、通っていいぞ。ようこそ、ミクラムへ」


 どうやらこの街がミクラムで合っているらしい。

 おっさんに教えてもらった通りだ。ありがたやありがたや。


 街に入ると一気に人気が増えた。

 今まで立ち寄った村がそれこそ何だったんだって言えるほどのものだった。


 道行く人は皆彫りが深く、心なしか顔面偏差値が現代日本より随分高いように思える。

 これが異世界クオリティーなのだろうか。


 ぽけーっとしているとトテトテトテと小さいものが寄って来た。


 「兄ちゃん、ミクラムは初めてかい?行きたい場所があるなら案内するぜ?」


 見た感じ精々小学校高学年ぐらいの短髪の少年だった。

 解れて色褪せた服装や所々汚れた肌色を見る限り、口が裂けても裕福とは言えないことは容易に想像できた。


 「んー、とりあえず歩き回ろうと思ってたんだけどな」


 遠回しに遠慮願いたいオーラを纏う。

 

 「そんなこと言わないでくれよー。銅貨5、えっと3枚で良いから!」


 思っていた以上に押しが強い。

 これは対処を誤ったかもしれない。

 しかし、俺は あ き ら め な い !


 「んー、悪いけど一人で大丈夫だからさ」


 悪いな、って感じで片手を上げて退散の構え。

 これぞまごうことなき日ノ本スタイル。

 では、さらば!


 速攻ダッシュで逃避行。

 俺は決して悪くない、と思うのだが、心が痛むのは何故だろう。

 あっという間に少年を置き去りにして気付けば景色がガラリと変わっていた。


 迷子でしょうか、いいえ、まだです。

  

 そんな声が頭の中に響くが気にしたら負けだ。

 とりあえず動くか、ということで歩いてみることにする。

 古き良き街並みと言うのか、何処か懐かしさを覚えるのんびりとした風情を感じる。

 現代風に表現するなら地元の商店街だろうか。


 「ったく、いつまで経っても直らないねぇ」

 「ふぇぇぇ、ごめんなさぁぁい」

 「まぁまぁ、無事だったんだから」


 つい先程聞いた覚えのある声が、気のせいか。

 

 「あ、さっき避けた人!」


 気付かれた。

 どうしようか。





 誰も知っている人がいない所で羽目を外す人、いますよね。

 しかし、程々にしないと意外な所に落とし穴ががが

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