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第84話 女の子達?

 アルカメリルの体が光り輝いたかと思うと、女の子になり、そのうえ魁人をパパと呼んで、抱き付いて来た。そんな出来事に対して、その場に居る全員が、驚きの声を上げるのだった。


 「パパ~。」


 『このタイミングで、何これ!?』


 アルカメリルらしき女の子を抱き留めた俺は、とりあえずその頭を優しく撫でながら、皆と一緒になって、疑問を口に出した。


 「えっ!? 《龍族》って皆こうなるの!? 誰か知ってる?」


 『・・・・・・・・・。』


 更に俺は、敵味方問わず、原因を知る者は居ないか問い掛けたが、皆が黙って首を横に振った。


 「私達は、100年ちょっと生きているけど、《龍族》がこんな事になるのを、見るのは初めてだ。 もちろん《白龍(ホワイトドラゴン)》を見るのもね。」


 「うむ。 我も知らぬな。」


 少しして、メルサリアとリルドミナが、俺の問いに答えてくれはしたが、結局分からず仕舞いだった。


 「と、とりあえずアルカメリル? 裸のままじゃ寒いだろうし、俺の服でも着ておいて?」


 「はい。 パパ。」


 「おぉ、やっぱり賢いな、アルカメリルは~。 ははっ。」


 俺はそう言って上着を脱ぐと、アルカメリルに着せてあげた。すると、ニッコリと笑みを浮かべながら、俺を見上げて来るアルカメリルに、俺は、ニコニコと笑顔が零れてしまった。


 『何、だらしない顔して和んでるのよ!?』


 「はっ!?」


 エメリィとアブリルが、そんな俺に対して突っ込みを入れてくれた事で、俺ははっと気づいて正気に戻った。


 「アルカメリル。 今から、俺はあの人達と、勇者として戦わなければいけない。 危ないから、エメリィ達の所に行っておいてくれるかな?」


 「分かりました、パパ。」

 ペタペタペタペタ。

 「ママ~。」


 俺が、アルカメリルにエメリィ達の所に行っておく様に言うと、笑顔で返事をして俺から離れ、今度はエメリィ達をママと呼びながら、エメリィ達の所へ裸足で走って行った。


 『は~い!! ふふふ。』


 「エメリィ達も、すごくだらしない顔になってるけど・・・。」


 『はっ!?』


 アルカメリルに、ママと呼ばれたエメリィ達は、俺と同じ様にニコニコとした笑顔になっている。そして、俺も先程の仕返しとばかりに、エメリィ達に向けて注意すると、はっと気づいて、正気に戻った様子を示した。


 「も、もう良いかな? 勇者よ。」


 「あ、ああ。 ごめん。 じゃあ改めて・・・。 こほん・・・。」


 『・・・・・・・・・。』


 メルサリアがキリを見て、俺に伺いを立てて来た。それに対して俺は、謝罪を入れ、場を改めようと、一咳入れると、皆がそれを機に一様に黙り、その場に静寂が走った。


 「ロアギル陛下より任命されし、シルヴァリスの勇者、《黒峰魁人(くろみねかいと)》。 魔王メルサリア。 貴方を倒してこの国の平和を俺が守る!!」


 「はははははははっ。 かかって来るがいい、勇者カイトよ。 貴様を倒して、シルヴァリスを滅ぼしてくれる!!」


 俺はメルサリアにもらった魔剣を構え、また、メルサリアは両手を大きく広げながら、互いに勇者と魔王の決戦を演出する様にして、声高らかに叫んだ。そう、メルサリアも、初対面の時にはリルドミナに任せていた、魔王のセリフを、今はノリノリで言い放ったのだ。もしかすると、俺と勇者談義をした事で、メルサリアのテンションが上がっているのかもしれない。


 「はぁぁぁぁぁぁ!!」

 キィィィィィィィィィン。


 そして俺は、腹の底から振り絞る様にして出した掛け声と共に、魔剣に大量の魔力を込めて行く。


 ポンッ!

 「マスター。」


 『・・・・・・・・・。』


 『えぇぇぇぇぇぇぇ!? またー!?』


 すると、俺が手に持っていた魔剣が、ポンッと音を立てて、女の子になった。それを目撃した全員に、しばらくの間沈黙が走り、そして再び皆が驚きの声を上げた。


 「勇者カイトぉぉぉ! 貴方は、そうポンポンポンポン女の子を作って、何がしたいのだ!?」


 「言い方!!」

 「色々誤解されそうだから止めて!?」


 先程の魔王のノリを引きずったままなのだろう、今抱いている感情を前面に出すかの様にして、勢いのままに俺を問い詰めて来た。そして、若干の事実も含まれているそんな言い回しに対し、俺は文句を言う様に突っ込む事しか出来なかった。


 「カイト・・・。」

 「カイト様・・・。」

 『師匠・・・。』

 「カイトちゃん・・・。」

 『カイト様・・・。』


 『じーーーーーー。』


 後ろに居る皆が、俺の名を口々に呼ぶので、振り返ってみると、皆がジト目で俺を見ていた。


 「ほらー! 皆に変な目で見られた~! 《魔人族》の()達にまで!!」

 「もうこのままで良い! 俺が勝ったら、メルサリア。 貴方を俺のモノにするから!!」

 「あっ、一先ず、皆の所に行っておいてね、魔剣ちゃん。」


 「はい。 マスター。」

 トットットットッ。


 俺は、メルサリアに文句をぶつけた勢いのままに、今回の目的をさり気無く挟んで言い放った。そして、魔剣の女の子には、エメリィ達の所に行く様に、指を差しながら指示を出すと、魔剣の女の子は了承の言葉と共に、エメリィたちの元へ走って行った。


 「な、ななな、なんだっ!? 私は・・・、勇者にプロポーズされたのか・・・。」


 「ほほ~。」


 俺が魔剣の女の子に指示を出している内に、メルサリアは、俺の言葉によってだろうか、かなりの動揺を表していた。その傍らでは、リルドミナが何故か感心した様な顔をして、感嘆の声をもらしている。


 「確かに私も年頃の女だし? 伴侶を持っても良いかな、とは考えていたけど? ゆ、勇者に私を嫁に貰ってもらう・・・。 ふふ・・・。」


 「だが、勇者カイトよ。 我等は力在る者にしか、なびく事は無い。 メルサリアが欲しければ、その力を我等に示して見せろ。」


 メルサリアは、両手の人差し指をツンツンと突き合わせながら、モジモジしつつ、時折ニヤニヤとした顔を見せている。そんな様子のメルサリアに代わり、リルドミナが、要求を呑む条件を出して来た。


 「ふはははははは、良いだろう。 行くぞメルサリア! 俺の魔法をとくと見よ!」


 「ふふっ。 なんだかカイトの方が悪役みたいね。」


 俺が悪役の様なセリフを言うと、エメリィが、何故か子供を見ている大人の様に、微笑ましそうな顔を見せながら、俺に感想を伝えて来た。


 「業火を統べる、大いなる炎の精霊イフリート。 我が呼び掛けに応じ、ここに顕現せよ!」

 「精霊召喚!!」


 そして、俺の力をメルサリアたちに証明するべく、初めて召喚魔法を唱えてみた。


 『・・・・・・・・・。』

 『うん?』


 しばらく黙って、事の成り行きを見ていた皆だったが、何も起こらない事に疑問を感じ始めている様だった。


 「あっ、やっぱり出ないかな?」


 『えぇぇぇぇぇぇぇ!? はったり!?』


 そして俺は、さすがに召喚魔法を使用する事は出来なかったかと、諦めた様に声に出すと、皆は驚きの声を上げた。


 『お?』


 しかしこの時、突如として、俺の立つ少し前方の黒いクリスタルで出来た床に、紅く染まった円が浮かび上がった。更にその上、その円の内部に紅い線で複雑な紋様を刻んでいく。いわゆる魔法陣が描かれていっている様だった。


 『うわっ!?』

 『きゃっ!?』


 すると、紅い線が、魔法陣を全て描き終えた瞬間、その魔法陣が眩いばかりの紅い光を発した事で、皆一斉に顔を自身の腕で覆い、目を瞑った。


 『んっ・・・。』


 「・・・。」


 そして光が収まり、皆が目を恐る恐る開けると、その魔法陣の上には、轟々と燃え盛る紅い炎をその身に纏う、1人の女性が立っていたのであった。

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