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第83話 メルサリア=ブラキュリウス

 メイド服の女性に案内されながら、《ヴァルグヘイム天空城》の内部へ入って行った魁人達一行。


 「あっ、《魔人族》の皆。 俺は《黒峰魁人(くろみねかいと)》。 魁人で良いからね。」


 『はい! カイト様!』


 《魔人族》だと聞いておいた俺は、後ろを付いて来ているメイドさんや、近代アニメで出て来そうな、肩と太股辺りの肌が露出している、シンプルで黒く、ピッチリとしたボディスーツ風の戦闘着を着た、女戦闘員達に向けて自己紹介した。

 皆、武器で、魔法で、俺への攻撃を試みて来た者達だが、自分達の攻撃が効果の無い様だと、最初にここで出会った者と、同様の反応を示して来たので、俺も同じ様に対応したのだ。


 「こ、こんなに増えちゃってるけど、大丈夫なの!?」


 エメリィが、俺に心配そうな顔を向けて聞いて来た。ここへ来て、最初に襲って来たメイドさんを含め、今では俺に付いて来ている《魔人族》は、既に10人になっている。エメリィが少々不安に思うのも、仕方ないだろう。


 「はは・・・。 甘い考えなのかもしれないけど、出来れば殺したくないからね・・・。 幸いな事に、エメリィ達は襲われず、俺しか襲われてないし。 エメリィ達を襲わない限り、俺としては問題無いかな。」


 俺はエメリィの疑問に対し、今の考えを皆に説明した。


 「しょうがないわね、カイトだもんね。」

 「ふふっ。 カイトちゃん、やっぱり優しいのね。」

 『ですね。』


 エメリィ達女性陣は、何か諦めた様であり、嬉しそうでもある、そんな表情をしながら、口々に自身の思いを伝えて来た。


 「ところで、ここには、メルサリアさんと、皆しか居ないのかな?」


 「いいえ。 この城にいる者は、ほとんどが私達《魔人族》ですが、《悪魔族》の代表、《リルドミナ=ブルミネリス》様と、その眷属の方々が居られます。」


 俺が《魔人族》の皆に、質問を投げかけてみると、そのうちのメイドさんの1人が、丁寧に答えてくれた。


 「へぇ~。 なら、メルサリアさんがここの代表なら、リルドミナさんはここの食客? みたいな感じなのかな?」


 「はい。 メルサリア様の友人で、戦闘力はメルサリア様に匹敵すると、聞いています。」


 「つ、強そうね・・・、その人も・・・。」


 「着きました。 ここが、メルサリア様の居る、玉座の間です。」


 そんな話をしている内に、俺達は玉座の間に通じる、大きな扉の前に辿り着く。そして、その扉をゆっくりと押し開き、玉座の間へ入って行った。


 「我が魔王城へようこそ、勇者達よ。 我は今世(いまよ)の魔王、《メルサリア=ブラキュリウス》。 さぁ、世界の命運を分ける、決戦といこうじゃないか。」


 玉座の間に入ると、ハッキリと聞こえる大きな声で、勇者と魔王の出会いシーンを演出して来た女性が居た。その女性は、アブリルに似て、妖艶な美人のお姉さん風の様相だが、アブリルの見た目と異なる点があった。肌が蒼く、胸元まである黒く長い髪。そして、その女性の頭部からは、無骨な黒い角が生えていた。


 『あんた誰?』


 明らかに俺達の知る《魔人族》の皆とは、姿が異なっていた為、名乗った本人がメルサリアでは無いと判断した俺達は、誰なのか尋ねた。

 

 「ふむ? 我は、何か間違えたのだろうか? メルサリアよ。」


 「貴方は、私の代わりに良くやってくれたよ、リルドミナ。 すまないね。 私はこういう派手な演出には、向かないタイプなのでね。」


 2人の会話を聞いていた俺達は、魔王と名乗った知らない人物と、目的の人物が、それぞれここに居る、リルドミナとメルサリアであると分かり、あえて再び聞く様な事はしなかった。


 メルサリアは、肩から胸にかけてがぱっくりと開いている、メリハリのあるボディラインにピッタリとした黒のドレスに身を包み、足元まであろうかという長く綺麗な黒髪を持つ美人だ。


 「ところで、どれが勇者なのであろうか? 我は会うのが楽しみだ。」


 「う~ん。 勇者と言えば、大抵の者は男性であるはず。 なら、そこに居る女性達の先頭に立つ、可愛い顔をしたあの男の子ではないかな?」


 リルドミナが、メルサリアに勇者に会える事を楽しみにしていると伝えると、メルサリアは、俺に視線を向け、腕を軽く上げて指を差して来た。


 「勇者も何も、あれは丸腰ではないか? 勇者とは伝説の武器を持って、魔王に挑んで来る者であろう?」


 「ちょっと待った!!」


 リルドミナが、メルサリアの指先を目で追う様にして来ると、俺と目が合った。そして、俺を見た上で抱いた感想を口にして来たが、俺はそれに異議を申し立てた。


 「な、何だ?」


 「今時の勇者って、伝説の武器とか持って無い人も居るけど?」


 「ほほぅ。 そうなのか? なら、勇者とはどの様な者か、聞かせてくれないかな?」


 こうして、小一時間程、俺とメルサリア、リルドミナは勇者について、熱い議論を交わした。


 「ふむ。 お蔭で、なかなか有意義な時間を過ごす事が出来た。」


 「ふふっ。 こちらこそ。」


 俺とメルサリア、そしてリルドミナは、いい試合を終えたスポーツ選手達の様に、相手を称え合いながら、握手を交わした。


 『握手してる場合!?』

 『握手してる場合ですか!?』


 『おぉ!?』


 そんな様子を、ハラハラしながら見ていた俺達3人以外の者達が、一斉に突っ込みを入れて来た事で、俺達3人は、その様な場合では無いと気付いた。


 「ふふっ。 これだけ熱く語り合ったのだから、勇者なら分かってくれるだろう。 やはり私は、最低でも勇者には、剣を持っていて欲しいと思う。」

 「という事で、これをあげよう。」


 「これは?」


 「魔剣だよ。 それは、剣の形であれば、所有者の魔力で剣身を自在に変化させられる代物だ。 それを持ってくれ。」


 「おぉぉぉぉぉぉぉ!! 良いの!?」

 『えぇぇぇぇぇぇぇ!? 良いの!?』


 勇者へのこだわりを話して来たメルサリアは、俺に魔剣の柄についての説明をしながら、その柄を渡して来た。その行動に対して、俺は嬉しさから、そしてエメリィ達女性陣は驚きから、それぞれ大きく声を上げた。


 「ふふん。 《ヒューマン》の魔力など、たかが知れているからね。 構わない、ハンデだよ。」


 『あ~あ・・・。』


 自分の力が勝っているという事を、全く疑っていないメルサリアは、俺に対して、その様に言って来た。それを聞いていた、エメリィ達女性陣は、落ちが見えたと言わんばかりの声を上げた。


 「そして、さっそく勝負だ! と言いたいところだけど、その《白龍(ホワイトドラゴン)》の子。 何故か光っているのだけど・・・?」


 「えっ!?」

 『えぇぇぇぇぇぇぇ!? アルカメリル!?』


 メルサリアからの突然の忠告であったのにも拘らず、それを素直に聞いた俺達は、すぐにアルカメリルに視線を向けた。すると、アルカメリルが、本当に体を白く光り輝かせていた。


 「大丈夫なのこれ!?」


 俺は、アルカメリルに何が起こっているのか、全く分からず、さすがに心配になり、周囲に問い掛けた。


 しかし、俺の心配を他所に、光は段々と濃く、そして大きくなっていく。そして、アルカメリルの姿が目視できなくなった時。


 ガバッ。

 「パパ~。」


 その光の中から、1人の白く長い髪をした、裸の女の子が飛び出して来て、俺の事をパパと呼びながら、抱き付いて来た。


 『えぇぇぇぇぇぇぇ!?』


 そんな様子を見ていた、魁人達や《魔人族》達、《悪魔族》達を含めた全員が、盛大に驚きの声を上げたのであった。

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