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第79話 シェリア=ルナ=シルヴァリス

 ロアギルが雑談する許可を出した事で、和気あいあいと話していた魁人達。すると、謁見の間の扉が開く音がした。


 「皆、待たせたなぁっ。」

 ガッ。 ドザァァ。


 そして、ロアギルがそう発言すると共に、何かに躓いて転んだ。


 『・・・・・・・・・。』


 そんなロアギルを見ていた皆が、国王が転んだ時にどの様な対応をしたら良いのか分からず、黙って考え込んだ。


 「どうやら、楽しく談笑出来ていた様じゃな。」


 ロアギルは、すくっと立ち上がり、何も無かったかの様に振舞い始めた。


 『えっ!? スルー!?』


 俺を含めた数人が、そんなロアギルを見て、驚いた表情をしながら一様に突っ込みを入れた。


 「今発言した者は皆、処刑じゃ。」


 『嘘ーー!?』


 そんな俺達の発言を聞いたロアギルが、冗談だとは思うが死刑宣告を出して来た。


 「もう。 お父様がお間抜けな事なんて、どうでも良い事ではありませんか。 早く皆様を紹介して下さいませ。」


 「そうですよ。 いつもの事なんですから。 私達の、婚約者候補の方々もいるんでしょ?」


 「ふふっ。」


 そんな時、ロアギルに次いで、ここでは初見の3人の女性が謁見の間に入って来た。そして、俺達とロアギルの遣り取りを見ていた3人は、各々に反応を示している。3人共煌びやかなドレスに身を包み、佇まいも優雅だ。ロアギルをお父様と呼んでいる事から、どうやら、ロアギルが言っていた3人の娘達の様だ。


 「ワシの娘達が冷たい・・・。 まぁ、先程の発言は冗談じゃが・・・。」

 「こほんっ! 知っている者も少なくは無いであろうが、ワシの娘達じゃ。」


 ロアギルが項垂れながら、1人呟く様にそう言った後、王女達を紹介して来た。


 「皆様、お初にお目に掛かります。 わたくしは第1王女、《レティナ=ソラ=シルヴァリス》でございます。 宜しくお願い致しますわ。」


 「初めまして。 私は第2王女、《フィオネ=サン=シルヴァリス》です。 宜しくお願いします。」


 「皆様、お初にお目に掛かります。 (わたくし)は第3王女、《シェリア=ルナ=シルヴァリス》と申します。 どうか、宜しくお願い致します。」


 「シェ、シェリー?」


 第3王女が自己紹介を終えた時、俺はその容姿と言葉使いからシェリーを思い出し、驚きを露わにしながら、第3王女へ確認する様に名前を呼んだ。


 「はいっ。 カイト様。 こんなにも早く、また貴方様にお会い出来て、大変嬉しく思います。」


 シェリーは自身の発言の通り、嬉しそうな顔をしてくれている。


 『えぇぇぇぇぇぇぇぇ!? な、なんてベタな展開!?』


 アブリルを除く嫁候補の皆が、思わず驚きの声を上げた。


 「シェリー、あっ、いえ、シェリア姫殿下、貴方は王族の方だったんですね。」


 「カイト様。 どうか畏まらずに、普段のカイト様の口調でお願い出来ないでしょうか・・・。 シェリーとして、初めて貴方様とお会いした時の、あのお優しいカイト様で、どうか・・・。」


 俺が王族であるシェリーに対して敬語で話すと、シェリーは少し寂しそうな顔をしながら、そう言って来た。


 「分かった。 昨日ぶり、シェリー。 あっ、シェリアの方が良いのかな?」


 「カイト様には、シェリーとお呼び頂きたいです。 ふふっ。」


 俺がどちらの呼称にすれば良いか、普段通りの口調で聞くと、シェリーは頬をほんのり赤くと染めて、嬉しそうにそう言って来た。


 「え、えーっと・・・、そろそろ説明してはくれぬか、カイトよ。」


 「あははは・・・。 はい・・・。」


 ロアギルが、訳分からずといった顔をしながら、何だか申し訳なさそうに俺に尋ねて来た。


 こうして魁人は、シェリーと出会った経緯を、その場に居る皆に話した。


 「なるほどの。 それで、シェリアはどうなのじゃ? カイトは気に入ったのか?」


 「はいっ。 お父様。 見ず知らずの者だった(わたくし)に、カイト様は誠実に、そして、とても優しく接して下さいました。 短い間の触れ合いでしたが、(わたくし)は、カイト様をお慕いしております。」


 「そうか・・・。 ワシもカイトの事は気に入っておる。 シェリアがそこまで言うのであれば、婚約を了承しようかの。」


 「レティナと、フィオネはどうじゃ? 勇者候補の者で、気に入った者はおるのか?」


 「私は、このガッチリした男性がタイプです、お父様。」


 ロアギルが、2人の王女にそう尋ねると、フィオネはジルの側に行き、ジルの逞しい腕を触りながら、そう答えた。


 『まさかのミラクル!?』


 そんなフィオネの言葉から、俺達とジルは、思わず互いの顔を見合い、ジル本人でさえ信じられないといった表情をしながら、驚きの声を上げた。


 「お父様。 わたくしは、あの方が気に入りましたわ。」


 俺達がジルの件で驚いていると、最後の1人、レティナがその様に言いながら、ある者に手先を向けた。


 「へっ!? あたし!?」


 そう、レティナが指差していたのは、なんとルビアルカだった。ルビアルカは自身を指差しながら、目をパチクリさせて、ポカンとしている。


 『あの王女様、まさかの百合(ゆり)趣味!?』


 今度は別の意味で、俺達とジルが再び驚きを露わにしながら、口を揃えて驚きの声を上げた。


 「ところで、同性婚は、この世界大丈夫なの?」


 「ちち、地域によるわね・・・。 た、たぶん・・・。 こここ、ここなら、大丈夫なんじゃ・・・ないかな・・・?」


 エメリィは大変な動揺を見せながらも、俺が聞いた事について教えてくれた。


 「異議を申し立てさせて頂きたい、陛下! 冒険者の神父ジルは、屈強な体躯に、これまでの実績もあり、勇者候補としては申し分無いでしょう。 しかし、そこの陛下や姫殿下に失礼な態度をとる、女性を侍らせるしか取り柄の無さそうなカイトとか言う男と、姫殿下がご婚約される事は納得できません!」


 すると突然、声を荒げて俺を非難してきた男性がいた。どうやら、勇者候補の最後の1人のレイルと言う男だろう。


 「それは、やっかみってやつよぉ、お兄さんっ。」


 『そ~だ! そ~だ!』


 レイルが俺を非難して来た事に対して、アブリルがそう指摘すると、それに同調する様に、他の嫁候補の皆もそれに加わった。


 「う、煩い!! 黙れこの売女共め!!」


 「おい・・・。 お前今、何て言った?」


 レイルの悪意ある発言よって、俺の内に、怒りの感情が沸々と湧き上がって来た。


 「聞こえなかったのか? 売女共と言ったのだ、小僧!」


 「そっか・・・。」


 再度のレイルからの悪意ある発言に対して、魁人は一言だけ静かにそう返すと、手を眼前に翳し、意識を掌に集中し始めたのであった。

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