第75話 詰所へ訪問
カミーラとカナリーのセリフの一部を訂正しました。(2017/3/21)
翌朝、魁人達はルビアルカ、ククル、クルルを除き、王国女騎士団の詰所の前に来ていた。
「すいませ~ん。」
「あっ、カイトくん! どうしたの、こんな所に?」
正面入り口から入ったロビーの様な所で、俺が声を上げて訪ねると、気付いて声を掛けてくれた団員が居た。その団員には見覚えがある。《ナミン》の村から、一緒にこの街に向かった女騎士団の団員だ。団員の方も覚えていたらしく、気安く話しかけてくれた。
「ちょっとだけ、こちら側に勇者候補関係で問題になるかもしれない事案が発生してしまって・・・。 カミーラさんとカナリーさんに相談したいんだけど、取り次いでもらえますか?」
「うん、良いよ。 ちょっと待っててね。」
俺が取り次いで欲しい理由を伝えると、団員は笑顔で対応してくれた。
「カイト殿! すまない、待たせた。 私達の執務室で話を聞こう。 こちらだ。 付いて来てくれ。」
しばらくその場で待っていると、カミーラとカナリーが2人で足早に来てくれた。俺はカミーラの指示に従い、2人に付いて行く。
「カイト殿、貴殿がこちらに来た、という事はそれなりに重要な案件なのだろう。 早速聞かせて欲しい。」
「分かりました。 アブリル。 魔法を解いて?」
『っ!?』
宿屋から透明化の魔法で隠れたままついて来ていたアブリルに、俺は魔法を解く様にお願いする。すると、急に表れたアブリルに、カミーラとカナリーは一瞬驚きを見せる様にビクッと反応した。
「き、貴様は!?」
『でかっ!?』
カミーラは、急に表れたアブリルが《サキュバス》だった事に驚いていたが、その豊満な胸元を見て、カナリーと一緒により大きな驚きを見せていた。
「こ、この方、え~っと・・・、セ、セクシーですね。」
「カカカ、カイト殿!! こ、この破廉恥《サキュバス》は一体!?」
「ま、まさに、ボンッ! キュッ! ボンッ! なスタイル・・・。」
カミーラとカナリーは、アブリルを見た事で大きく動揺している様だ。2人はアブリルに対して、各自が抱いた感想を口々にしている。
『はっ!! ま、まさか!?』
「カイト殿、初めてを奪われたのか!?」
「カイトさん、初めてを奪われちゃったんですか!?」
「ちょっと待って? 何で皆、俺を童貞だと決め付けるのかな!?」
俺は先日のエメリィに加え、カミーラとカナリーまでもが、俺が童貞だと決め付けた様に言って来た為に、思わず聞き返してしまった。
『えぇぇぇぇぇぇっ!? 違うの!?』
その場に居る女性陣が、皆一斉に俺を見たかと思うと、ショックを受けた様であり、驚いている様でもある、そんな複雑そうな顔を見せながら、詰め寄って来る。
「ち、違わないです・・・。」
『ほっ。』
皆が詰め寄りながら質問して来た事に対して、俺は認める様にしてそう小さい声で答えると、見るからに安心した様に、皆は一息ついた。
「こ、こほん! それで実は・・・」
そして、この話を終わらせるべく、俺はアブリルとの関係をカミーラとカナリーに話した。
「なるほど・・・。 事情は分かった。 陛下にお伺いを立ててみよう。 しばし、ここで待っていてもらえるだろうか?」
「分かりました。」
こうして俺達は、しばし執務室でカミーラからの報告を待つ事になった。その間は、俺を含め、皆執務室の中で自由にしていた。
「はぁはぁ。 カイト殿。 それに皆も待たせたな。 陛下からのお言葉を伝える。」
それからしばらく経った頃。カミーラは帰投後すぐに、国王からの言葉を伝えに来てくれた様だ。カミーラは、ほんのりと息を荒げたまま、話し始めてくれる。
『ごくっ・・・。』
俺を含め、皆が固唾を呑んで、カミーラから言葉の続きが発せられるのを待つ。
「「なんと!? カミーラよ。 そやつらを即刻、ここ、謁見の間へ連れて参れ。」との事だ。」
「王様の反応、微妙な所ね・・・。」
「これ、王様の言葉の後に、何か言いたい言葉が隠されてそうだよね~。 首を撥ねてやる! とか、磔にして火炙りだ! とか~。」
エメリィとナユカが、カミーラが伝えてくれた国王の言葉から、感じた事をそれぞれに口にする。
「う~ん・・・。 カミーラさんから見て、王様どうだった?」
俺は念の為、カミーラにも国王の様子を聞いておく事にした。
「私から見て・・・か・・・。 そうだな・・・。 この表現が当てはまるかは微妙なところだが、何だか少しウキウキされている様だった。」
『ウ、ウキウキ!?』
想像していた国王の様子と、大分異なった様子の表現が出た事で、皆で驚いて言葉を漏らしてしまった。
「皆、とりあえず王様に会いに行こうか。 カミーラさんが感じた王様の様子なら、危ない事にはなら無さそうだし。 ルビアルカ達も呼んで会ってみよう。」
「そうね。 カイトの言った通り、とりあえず王様に会ってみましょうか。」
カミーラから聞いた国王の様子から、否定的な感じでは無いのではと考えた俺は、その様に提案すると、エメリィが真っ先に賛同してくれた。
「エメリィ、皆様。 いざという時は・・・。」
「ええ。 リリィ。」
「万が一、向こうがカイトに失礼な事して来たら、ぶん殴って逃げる!」
「万が一、向こうがカイト様に失礼な事して来たら、ぶん殴って逃げる!」
「万が一、向こうがカイト君に失礼な事して来たら、ぶん殴って逃げる!」
『万が一、向こうが師匠に失礼な事して来たら、ぶん殴って逃げる!』
「万が一、向こうがカイトちゃんに失礼な事して来たら、ぶん殴って逃げる!」
リリィとエメリィがそう言った事を皮切りに、俺とカミーラ、カナリーを除くその場に居た皆が一斉に笑顔を作り、拳を鳴らす仕草をしながらそう言って来た。まさかのファブリとミーネもだ。
「めっちゃ物騒!? だ、大丈夫。 たぶん大丈夫だから。 ね?」
『あは、はは・・・。』
そんな女性陣の様子を見ていた俺は、少々嬉しくもあったが、慌てて女性陣をなだめようとする。また、その傍らではカミーラとカナリーが、困った様に苦笑いを浮かべていた。
こうして魁人達一行は、明日国王と謁見する予定だったものを繰り上げ、すぐに《アルシェント城》へと向かう事となったのであった。




