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第71話 部屋割り

 宿に着いた魁人達一行。宿ではカミーラが既に手続き等もしておいてくれた様だった。


 「すいません。 カミーラさんが手続きとかしておいてくれたと思うんですけど・・・。」


 俺は、カミーラが勧めてくれた通りに受付に行き、担当のお姉さんに声を掛けた。


 「ようこそ宿屋《銀の森》へ。 お客様方の事は、カミーラ様よりお聞きしております。」

 「勇者と愉快な嫁達・・・御一行・・・様・・・ですよね? フフッ。 こちらが、・・・お部屋の・・・鍵となります。 フフッ。」


 話始めは、宿屋ではありきたりな感じの対応だった受付のお姉さんが、次第に車両置き場で会った係りのおじさんと同じ様に、笑いを漏らしながらの対応になって行った。


 「まさかの、ここも!?」

 「はぁ・・・。 お姉さん、もう普通に笑っちゃって良いですよ?」


 「あははははははははっ!!」


 「本当に笑うの!? しかも大笑い!?」


 俺が、ため息交じりにとりあえず許可すると、受付のお姉さんは高らかな笑い声を上げる。冗談半分で許可を出したが、まさかあんなにも笑われるとは思っていなかった為、思わず突っ込みを入れてしまっていた。


 「ふふ。 もぉ、冗談でございますよ、お客様。 2階の大部屋を2部屋、ご用意させて頂きましたので、どうかごゆるりと。 もし何かございましたら、女中か私にお声掛け下さい。」


 「あ、ありがとうございます。」


 (パーティ名、街の皆に笑われるほど変なのか? ん~・・・ん? あぁ! 自分で勇者とか名乗っちゃってる恥ずかしい奴に見えるのか!? 何かそんな気がしてきた・・・。 カミーラさんの話を聞いた限りでは、街の人、勇者候補とか全く知ら無さそうだしなぁ・・・。)


 俺は部屋の鍵を2つ受け取り、受付のお姉さんにお礼を言いながら、内心ではどうしてこうなっているのかと、色々考えを巡らせていた。


 「カイト君、どうだった~?」


 ナユカが、受付を終えて皆の元に戻ってきた俺に、首尾を聞いて来た。


 「カミーラさんが、2階の大部屋を2つ用意してくれたみたい。」


 「おお~! 豪華だね~!」


 ナユカは、大部屋を2つも用意してもらえた事に対して、嬉しそうにしている。


 「けどこれ、結構宿泊料掛かるんじゃ・・・。 ホントに大丈夫、カミーラさん?」


 俺は流石に宿泊料が心配になり、お金に問題は無いのか、カミーラに確認してみる事にした。


 「ああ、問題無い。 騎士団の詰所に帰投後、今回の件を陛下にご報告に向かったのだが、掛かる費用は全て出して下さるとの事だった。」


 「すごい太っ腹だな、ここの王様。」


 ルビアルカが、少々驚いた様子でそう感想を漏らした。


 「それで皆。 部屋割りどうしよっか?」


 『・・・・・・・・・。』


 シェリーをそろそろ落ち着いた場所で休ませてあげたいと考えた俺は、部屋割りを決めるべく、皆にそう尋ねると、急に皆が一斉に沈黙し、その場に静寂が流れた。


 「カイト、私、ルビアルカ、ククル、クルル、リリィ、ナユカ、ファブリ、ミーネ、それにシェリーの10人・・いえ、アルカメリルも入れて11人? よね・・・。 まぁ、体の大きさ的にリリィとアルカメリルはセットとして、全部で10人ね! 1部屋の人数を、半々の5人として・・・、問題は、誰が、カイトと一緒の部屋になれるかだけど・・・。」


 『・・・・・・・・・。』


 エメリィが現状の確認と問題点を上げ終えると、再び皆が一斉に沈黙し、その場に静寂が流れた。


 「あはは・・・。 ど、どうしたもんかこれ・・・。」


 皆のこの沈黙が、俺と一緒の部屋になりたいと言ってくれている様なものである為、俺は嬉しくもあるが困ってもいる、そんな複雑な気持ちになっていた。


 「あの、カイト様・・・。」


 「うん? どうかした、シェリー?」


 そんな時、背中に背負われたままのシェリーが、ふと声を掛けて来た。


 「(わたくし)の介抱という名目で、カイト様と泊まれるお部屋を、もう1部屋お借りする事は出来ないでしょうか? (わたくし)の事をほとんど隠したままにも拘らず、この様な不躾なお願いを申してしまい・・・、我がままだとは重々承知しているのですが・・・。」


 「良いよ、シェリー。 何か話せないか、話さない方が良い事情があるのは、何となく分かってるしね。 それにシェリーが悪い()では無いのは知ってる。 だから気にしないで?」


 「ありがとうございます、カイト様・・・。」

 「婚約者候補の方が、カイト様みたいな方だと良いのですが・・。」


 「うん? シェリー、何か言った?」


 「い、いえ。 何でもありません。」


 「そう? なら良いけど、何かあれば言ってね?」


 俺は、シェリーがお礼を言ってくれた後に何か呟いたような気がしたが、本人が否定したので、特に追及はしない様にした。


 「はい。 ありがとうございます、カイト様。」


 「・・・。」


 「あ、お姉さん! もう1部屋借りたいんですけど、部屋の空きありますか?」


 俺は、お礼を言ってくれたシェリーに、ニコッと笑顔を向けて無言の返事をした後、再度受付のお姉さんに話しかけた。


 「ええ、ございますよ。 2階にもう1部屋だけ。 2人部屋ですが宜しいでしょうか?」


 「あ、はい。 それでお願いします。」


 「ごめん、皆。 今回は、シェリーと同じ部屋にするから、大部屋の方は半々で分けて、使ってくれるかな?」


 俺は、申し訳なさそうに苦笑いを浮かべ、皆に部屋割りについて、改めて提案した。


 『えぇぇぇぇーーーーー!? そんな~~~~~・・・。』


 すると、皆から、非常に残念がる声が大きく上がった。


 「つ、次こんな機会があれば一緒の部屋になろ? ね?」

 『それなら許す!!』


 「即答!? ははっ。 ありがとう、皆。」


 どうやら、皆もシェリーに気を使ってくれた様だ。皆は一緒の部屋になれずに残念がってくれているが、きちんと他の人の事を(おもんばか)って優しく出来る。そんな皆に、俺は、自然と笑顔が零れ、心からのお礼を言った。


 こうして、魁人達一行の、宿屋《銀の森》での部屋割りが決まっていくのであった。

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