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第7話 黒峰魁人(2)

 がやがやがやがやっ。


 翌日、この集落にいるトワイライト親子以外のほとんどのエルフの若い女性達が、何故か扉や窓の所に集まり、騒いでいた。そう、1つのテーブルを囲んで座っている俺たちが皆から見られているのだ。その中でも特に見られているのは俺だった。


 ちなみに先日のエメリィの一緒に寝よっ!という誘いは断った。こ、断ったんだからなっ!と内心での葛藤をそのまま胸に秘め、俺は流石に前を向いて座っているだけでは居心地が悪くなったので、辺りに視線を移した。


 「あのヒューマンがエメリィ達の嫁かな?」

 「可愛い顔してるね。」

 「オーク吹っ飛ばしたんだって。」

 「私もアタックしちゃおうかな!」

 「キャー。 抱いて!! カイトー!!」

 「もしかしてエメラルドさんも?」


 すると、色々な発言が俺の耳に飛び込んでくる。というか、発言の1つはエメリィからのものだった。


 「ちょい、エメリィ! 危ない! かなり発言が危ないよ!」


 俺は驚き、苦笑いになって慌ててエメリィを制止する。


 「しょうがないな~。 カイト・・・また後で、ねっ!」

 

 エメリィはウインクしながらそう魁人に言った。


 「はは。」


 俺はもうそう返すしかなかった。


 「それで・・・、カイトさん。 あなたは今後どうするの?」


 キリの丁度良いところで、エメラルドが色々な含みを持たせた様な質問の仕方で聞いてきた。


 「そうですね。 俺は先ず知りたいと思っています。 色々なことを。 この世界の事を・・・。」


 俺は姿勢を正し、真剣な表情で真面目にそう答えた。


 「先ず、俺の世界では・・・、というか、俺がいた国では結婚は男性1人に対して女性が1人、の結婚しかありませんでした。 けど、この世界では何人もの女性と結婚・・だったり、交際したりするのはいいんですよね? その様な常識の事だったり、ここはどこなのか、どんな国、地域・・・みたいな地理の事だったり。 俺に当たった魔法の事だったり・・・、俺はこの世界で知らないことが多過ぎる。」

 

 「そして、最初にエメリィやエルフの皆と出会えて本当に良かった。 失礼な言い方だけど、もし最初に出会っていたエメリィやエルフの皆が悪人だったら・・・、この世界や皆の事を、もっと知りたいとは思わなかったかもしれない。 1人絶望していたかもしれない。」


 「だから・・・、ありがとう! 皆!!」

 

 俺は心よりの言葉を、とびっきりの笑顔で伝えた。


 『・・・・・・・・・。』


 魁人からの言葉を聞いたエルフの皆は一様に沈黙した。


 「・・・。」

 「ごめん・・。 ちょっと恥ずかしくなってきた・・・。」


 そう口に出し、俺はほんのりと顔を紅くさせ、自身の頭を軽く撫でて恥ずかしさを誤魔化そうとする。


 『キャーーーー! カワイィィーーーー!!』


 エルフの女性たちが皆一斉に黄色い悲鳴を上げた。もちろんトワイライト親子もだ。


 『なにこの子!?  超萌えるわ!!』


 複数人のエルフの若い女性達から、そんな言葉が飛び出す。


 「超萌える!? えっ!? 萌えるって言葉この世界にもあるんだ!? まさかの異世界共通語!?」


 そんな言葉が、この世界でも聞けるとは思っていなかった俺は、思わず突っ込んでしまった。


 「だめだ・・・。 俺にもエメリィ達のノリがちょっと移ってきた・・・。」

 「・・・。」

 「ははっ。」


 そう言った俺から思わず笑みが零れてしまう。


 『あははははははは!!』

 

 するとエルフの皆からも笑みが零れ、笑いが巻き起こった。

 

 そして、その日集まった皆は魁人を中心に一緒に笑い、一緒に騒いで楽しい時間を過ごすのであった。

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