第67話 王都レルムンガルド
ドッドッドッドッ。
ガラガラガラガラ。
《ナミン》の村を出発してから数日。《レルムンガルド》へと続く整備された街道を、北へ向かってラナドの竜車で移動してきた魁人達一行の眼前には、《レルムンガルド》の街の高い外壁からでもハッキリと見える大きな城が聳え立っていた。
「おぉ~~~~~~!! これこそファンタジーっぽい城!!」
俺は今まで見た事も無かった光景に感動を覚え、自分の年を忘れて童心に戻ったかの様に思わずはしゃいでいた。
『テンション高っ!?』
そんな何時もと違った俺の様子を見ていた皆が、驚きの余り思わず突っ込んできた。
「ふふっ。 カイトってば、子供みたいに目を輝かせて、はしゃいじゃって~。 何か可愛いな~。」
「・・・・。」
「カイト、お城よ! お城! お城って、あんなに大きいのね!!」
「おぉい! エメもか!?」
どうやらエメリィも城を見るのは初めてだったのだろう。城をみてはしゃいでいる俺を温かい眼差しで見て来たかと思うと、俺と同じ様にはしゃぎ始めた。そして、そんな様子のエメリィにルビアルカが思わず突っ込みを入れてしまっていた。
「し、師匠。 こ、このまま、正門から入場すれば良いんでしょうか?」
今は俺に代わって、御者台でラナドを操ってくれているファブリが、街へ入る方法を聞くために声を掛けて来た。
「うん。 カミーラさんがそう言ってたよ、ファブリ。 御者役代わってくれて助かったよ。」
「あ、いえ。 ずっと御者されてると、いくら師匠でも疲れてしまいますからね。 そ、それに、私でお役に立てるのならこの位は。」
「ありがとう、ファブリ。 俺が御者役やってたら間違いなく事故ってただろうしね!」
『お城! お城! 大きなお城! お城! お城! 白いお城!』
そんな事をファブリと話していると、ククルとクルルが楽しそうに歌を歌い始めた。2人も城を見て、街に入るのが楽しみになって来たのだろう。
『お城! お城! 大きなお城! お城! お城! 白いお城!』
ククルとクルルの楽しそうにノリ良く歌う姿に、俺達も釣られる様にして歌を歌い出す。
「これから、あたしら《魔族》と戦争しに行くんだよな!? 大丈夫かこれ!?」
「少々不安ですね・・・。」
そんな魁人達を見ていたルビアルカとリリィが、心配げに眉間に皺を寄せ、眉を歪めながらそれぞれに思いを口に出していた。
やがて、魁人達が城の歌を歌いながら竜車を走らせて行くと、《レルムンガルド》の正門の前に着いた。そこには1人残って魁人達を待っていたカナリーが居た。
「カイトさんに皆さん。 長旅お疲れ様でした。 この後の予定ですが、正門から入って左に向かって少し進んだ所に、馬車や竜車等を預かる場所がありますので、先ずはそこに竜車を預けに行きましょう。 この街の中では、定時で決まったルートを走る馬車がありますので、もし移動で必要ならその馬車を使って下さいね。 預けて頂いたら、一度皆様に泊まって頂く宿にご案内します。 宜しいですか?」
「分かりました。」
どうやらカナリーは、俺達を案内する為に1人で待っていてくれた様だ。聞いた予定は特に問題も無かった為、俺は了承の言葉を伝えた。
「では、こちらです」
ドッ。 ドッ。 ドッ。 ドッ。
カラッカラッカラッカラ。
こうして、俺達はゆっくりとラナドの竜車を走らせながら、少し先を歩いて案内してくれているカナリーに付いて行った。
『『ヒヒ~ン!』』
『『グルゥ!』』
「おぉ~、凄い数!」
しばらく進んで行った先には、凄い数の馬車や竜車が並んでいた。それでも尚、まだまだ駐められるスペースはあり、この街の広さが窺える様だった。
「勇者と愉快な嫁達御一行・・・様・・・ですね。 プフッ。 確かに・・・お預かり・・・しました。 ククッ。」
ラナドの竜車を預けた俺達だったが、登録した名前がおかしかった所為で、係りの人が笑いを漏らしながら俺達に対応する事になってしまっていた。
「おぉい! 笑ってるよ、おじさん!? 堪え切れてないから! もういっそ普通に笑って!?」
俺は笑いを堪えようとしながらも、堪え切れずに笑いを漏らす係りのおじさんに突っ込みを入れた。
「ちょ! めっちゃ笑われてるよ!? 何でこの名前で預けちゃったの!?」
エメリィはこの名前で登録した張本人であるミーネの方を向きながら、理由を問い詰めようとする。
「いや~。 このパーティ名、私気に入っちゃったんですよ~。 だからつい・・・。 てへっ。」
ミーネは頭を掻きながら苦笑いを浮かべてはいるが、悪びれもしない様子で理由を言って来た。
「ごふぇんなふぁい、ひひょう。」
俺はお仕置きがてら、ミーネの頬を両手で軽く引っ張ると、その状態でミーネが謝罪を言って来た。
「はぁ~・・仕方ない・・。 まぁ分かり易いと言えば分かり易いからこれで良いか。」
「えへへ~。」
俺は苦笑いを浮かべながら、ミーネの頬を引っ張っていた手を放し、今度は軽く頭に乗せて撫でた。すると、ミーネは嬉しそうにニコニコしている。
『良いなぁ、ミーネ・・・。』
ドドドドッ。
そんな様子のミーネを見ていた女性陣達から、羨む声が聞こえて来たと共に、何やら大型の生き物が複数匹走っている様な足音が聞こえて来た。
ドドドドドドドドドッ。
「うん?」
しかも段々と近づいて来ている様だ。
「こ、このパターンは何処かで・・・。」
迫り来る何かの足音から以前の記憶を呼び起こし、そう1人呟く魁人なのであった。




