第62話 弟子
「カ、カイトさん。 わ、私達を助けてくれて、ありがとうございました!」
「ありがとうございました!」
翌日、《レルムンガルド》に出発する直前の俺達の竜車の元に、ファブリとミーネがお礼を言いに、会いに来てくれていた。
「俺達で、役立てたかな?」
「も、もちろんです! 強いカイトさん達が居なかったら、ミーネも危なかったかもしれません・・・。 だ、だから、その私達を・・・。」
ファブリが恥ずかしそうにもじもじしながら、俯きつつ何かを言いたそうにしている。
「あ、あれ? ルビアルカ・・・なぁ~んか、あの娘の表情・・・どこかで見たことある様な気がするんだけど・・・き、気の所為、かな?」
竜車の御者台に座りながら魁人を待っていたエメリィだが、ファブリの様子が気になり、竜車の中にいるルビアルカに尋ねていた。
「う~ん・・・。 いや、エメ・・・あたしもそんな気がするぞ・・・。」
エメリィに尋ねられたルビアルカが、車両から首を出して様子を見ながら、エメリィに返答する。
「でっ・・」
『で?』
エメリィとルビアルカがファブリの言葉を繰り返す様に言葉に出した。
「弟子として、連れて行って下さい!!」
『やっぱりか~!!』
『・・・・。』
『あ、あれ!? 違った・・・って!?』
『で、弟子~~~!!?』
どうやら、エメリィとルビアルカの予想は外れた様だったが、俺も思ってもみなかったファブリの頼みに、3人で一斉に驚きを露わにする。
「な、何でまた・・。 と言うか俺で良いの?」
俺はファブリからの頼みに対し、慌てて理由を聞く事にした。
「は、はい! その・・カ、カイトさんみたいに強くて、皆に優しい魔法使いの冒険者になりたいんです。 カ、カイトさんを見ていて、すごく憧れました。 ま、魔法の発想もすごかったです。 だ、だから側で見ているだけでも良いので、私達も連れて行ってはもらえませんか!?」
「あっ、私は大親友のファブリのおまけですが、私ももっと強くなりたいです。 カイトさん強かったですから。 だからお願いします。」
2人は真剣な顔をして、俺に頼み込む様に頭を下げて来た。
「分かった。 俺が2人に教えられる事は少ないかもしれないけど、頑張ろうとする2人の力にはなりたい。 だから俺も出来る限りの事はするよ。 ファブリ。 ミーネ。 これから宜しく!」
『は、はい!! 師匠!!』
2人は俺の答えに対し、嬉しさ溢れる様な良い笑顔でそう呼んでくれた。
「と言う訳で、これからこの2人もこれから一緒に旅する事になるけど、良いかな、皆?」
俺は竜車の方に顔を向けて、皆に呼び掛けた。
「分かったわ、カイト。 これから宜しくね、ファブリ。 ミーネ。」
『宜しく!!!!!』
俺達3人の話を聞いていた皆が、ファブリとミーネを歓迎する言葉を口々にする。
「さぁ皆、早く乗って乗って~!」
エメリィが頃合いを見て、未だ竜車に乗っていない俺達3人に声を掛けてくれる。
ピシンッ。
『あっ・・・・。』
しかし、エメリィが未だ竜車に乗っていない俺達3人においでと手招きした時、ラナドに付けている手綱を思わず引っ張ってしまい、その場を見た者が皆、察した様に声を上げる。
「グルゥ!」
ドッ。 ドッ。 ドッ。 ドッ。
カラッカラッカラカラ。
そして、誰もが咄嗟に行動出来ず、成す術無く竜車が出発してしまう。
『・・・。』
ラナドの竜車が走り去って行ったのを見ていた俺達3人は、呆けた様にキョトンと口を半開きにしていた。
「はっ! エ、エメリィ~!?」
「カ、カ~イト~~~~!」
走っていくラナドの竜車の御者台で、エメリィが涙目になりながら俺の名を呼び、叫んでいる。
「ふ、2人共! 追うよ! ちょ~っと抱えるね。」
『えっ!? は、はい!』
俺はそう言って、ファブリとミーネの腰に手を回し、抱き寄せる。
「フライ!」
ヒュォ~~。 フワッ。
魁人が呪文を唱えると一陣の風が吹き、魁人達3人の体が空中に浮いた。
『えっ、えっ!? えぇぇぇぇぇ~!?』
「あわわわわわわ!」
「う、浮いてますよ!? カイトさん、浮いてますよ!?」
ファブリとミーネが驚きの余り、思わず驚嘆を表す言葉を口々にする。
「ははっ。 これは飛行魔法。 魔力球を飛ばしていた時に思い付いたんだけど、ぶっつけ本番だから・・・落ちたらごめんね・・・?」
『えっ!?』
ビュンッ!
『キャーーーーーーーー!!』
こうして俺はファブリとミーネを抱えて、先に走って行ってしまったエメリィ達の乗る、ラナドの竜車を追いかけて飛んでいくのであった。




