第60話 カミーラ=クレッセント
隊長
ゴォォォォ。
魁人の放った魔法によって、ドレスイーターは断末魔を上げる事も無く、女性陣の服諸共、灰燼に帰した。
「た、倒せたかな? 皆、無事?」
恐らく今は皆裸だろう。うん・・・。裸だろう・・・。俺は未だ手で眼を覆ったままだ。そのため、作戦の結果と、皆の安否を今の状態のままで聞くしかなかった。
「はい、カイトさん。 どうやら成功です。」
「私達も無事・・・と言えるかは分かんないけど、服以外は無事よ、カイト。 安心して。」
そんな俺の問い掛けに、ミーネが作戦の成功を、エメリィが皆の安否を伝えてくれる。
『くしゅんっ。 寒い・・・。』
流石に裸のままでは寒いのだろう、ククルとクルルがくしゃみをして少し体を震わせる。
『お兄ちゃん・・・。』
ぴとっ。ぴとっ。
すると、俺を呼びながらククルとクルルは、あろう事か俺の左右の腰辺りへ、裸で抱き付いて来た。
『ちょっ!!』
抱き付かれた俺に加え、それを見ていた女性陣が驚きの声を出した。
『あったか~い・・・。』
ククルとクルルが自慢する様に、俺に抱き付いて来た事に対しての感想を、皆に告げている。
『・・・。』
それを聞いた他の女性陣が皆、自分の中でそれぞれに葛藤している様だ。
「まぁ、良っか・・・。 私も!」
ぷにゅん。
そんな時、エメリィが魁人の正面に抱き付き次への口火を切った。
「あたしらも寒いし、行くか。」
「はい。」
「うん!」
「キュウッ。」
ぷにゅんっ。ぴと。ぷにゅんっ。すとんっ。
さらにルビアルカと続き、最後には魁人の嫁候補の女性陣が皆魁人へと抱き付いた。
(あぁ・・・。 もう人生ゲームオーバーになっても悔いは無いかもしれないな・・・。 神様、この世界に連れてきてくれてありがとうございます!!)
俺は眼を手で覆い隠したままではあるが、皆に裸で抱き付かれているこの状況に、内心でそう思いながら1粒の嬉し涙を零していた。
『あわわわわわ・・・!!』
そんな魁人達の様子を少し離れた所から見ているファブリとミーネは、顔を両手で覆い隠しながら先程の青ざめた顔で言うのとは違い、今度は見ているのが恥ずかしいという様に、顔を紅く染めてあわあわ言っている。しかしながら、2人は顔を隠している手の指の隙間から、こっそり覗いていた。
カシャッカシャッカシャッカシャッカシャッ。
しばらくそんな状態が続いていた時、何所からか金属同士が軽くぶつかり合うような物音が複数聞こえて来た。恐らくこの広場に向かって来ているのだろう。段々と音が大きくなってくる。
カシャン。
「私は王都より参った、王国女騎士団、団長、《カミーラ=クレッセント》だ。 先程の・・・炎の柱は・・・いった・・・い・・・。」
どうやら先程から聞こえていた金属同士が軽くぶつかり合うような物音は、騎士の鎧などが動く度に音を立てていた様だ。そして、広場に来てすぐに堂々と名乗ったカミーラだが、俺達の姿を見ると段々と言葉が出なくなっていく。
『・・・・・・・・・・。』
そうして互いに見合いながら、しばらく沈黙の時が流れた。
『わぁっ!!』
互いに沈黙が続いた後、現在の状況を把握した皆が一斉に驚きの声を出す。
「こここ、この様な場所で何て格好を!! 不埒者共め! 皆、あの者達を捕縛せよ!」
カミーラが耐えきれず、頬を紅く染めて狼狽しながら俺達を捕まえる様、部下に命令を出してきた。
『はっ!! カミーラ様!!』
カシャッカシャッカシャッカシャッカシャッ。
カミーラの命により、部下らしき騎士の格好をした女性達十数人が一斉に走り寄って来る。
『ちょっ!?』
俺達は一様に驚きを表すが、女性陣が裸の状態では抵抗する事も難しく、皆大人しく捕まっていく。
「あれ!? ほんとにゲームオーバーになりそう!?」
こうして魁人はそう呟きながら、皆と一緒に女騎士達に連行されていくのであった。




