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第59話 魔族迎撃戦(1)後編

 「君がファブリが言ってた冒険者の友達かな。 無事で良かったよ。」


 広場で助けた剣士風の冒険者達は、ミーネを残して他に《魔族》が未だ残って居ないか捜索に向かった。今は俺達7人とアルカメリル、ファブリ、ミーネだけが広場に残って居た。


 「助かりましたよ、お兄さん。 それにしても強いですね!」


 「ミーネ。 カ、カイトさんはランク10の冒険者なんだよ。」


 「じゅ、じゅうぅぅ!? すごい! すごいですね、お兄さん!」


 「ははっ。 ありがとう。」


 ファブリとミーネが俺の事を笑顔で楽しそうに話している。そんな仲の良い2人を見て楽しさが湧き、俺も笑顔になって返事をする。


 「あっ。 それよりも、1匹だけ魔物を逃がしちゃったんだけど、大丈夫かな?」


 「どんなのですか?」


 「特徴は・・・、あっ! なんか「トロトロ。トロトロ。」とかって変な風に鳴く奴かな。 ははっ、鳴き声おかしいよね。」

 

 『あわわわわわ・・・。』


 逃げた《魔物》の情報を伝えると、ファブリとミーネの様子が傍から見て、明らかにおかしくなった。2人は青ざめた顔をして、何か焦る様にあわあわ言っている。


 「ど、どうかした!? 2人共。」


 俺はそんな尋常じゃない2人の様子から、質問せずにはいられなかった。


 「その《魔物》はドレスイーター・・・。 い、衣服を溶かして食べるんです! 女性物だけ・・・。 しかも一度逃げたら仲間を呼んで戻ってくるんです。 逃げた時に居た女性の人数の倍の数になって。 素早さも倍になってです!」


 ミーネが青ざめた顔のまま逃げた《魔物》の習性について話して来た。


 『なっ!?』


 『何だって~~~!?』

 「なんて夢のある生き物!!」


 俺達は一斉に驚きの声を上げるが、俺と女性陣では驚いたポイントが全く異なるものだった様だ。


 『カ・イ・ト・さ・ん~?』


 「皆、怖っ!?」


 ここに居る女性陣が、皆笑顔で詰め寄って来る。しかし、そんな表情とは裏腹に、その背後には魔王が居たらあんな感じなのかな、という様な恐怖を誘う幻が見えた気がした。


 ビチャ! ピチャ!

 シュォォォォォォ。


 ふるるんっ。


 『キャーー!!』


 そんなやり取りをしていた時、エメリィとナユカの上半身の服に、先程言っていたドレスイーターだろう。その《魔物》が吐いた液体が掛かり、どんどん融けていく。2人は白い肌と形の良い胸が露わになり、慌てて自身の手で覆い隠した。


 「ぶっ!! マ、マジか!?」

 「み、見ちゃ駄目だ! 見ちゃダメだ! 見ちゃだめだ!」


 俺は少しの間、思わずエメリィとナユカの胸に目が釘付けになるが、自分に強く言い聞かせる様にして、目を手で覆い隠す。


 「み、皆。 ドレスイーターは何匹いる!? それと、何か目を瞑ってても倒せる方法無い!?」


 ビチャ! ピチャ!

 シュォォォォォォ。


 ふるん。


 『わっ!!』


 「ク、ククル? クルル? どうした? ま、まさかやられた?」


 皆に今の状況の打開策が無いか問いかけた時、急にククルとクルルから小さな悲鳴が聞こえて来た。そんな2人の小さな悲鳴と現在の状況から、ドレスイーターにやられたのではないかと推測し、2人に問い掛けてみる。


 「うん、お兄ちゃん。」

 「今、裸です。」


 ククルとクルルが目を手で覆い隠している俺に、自分達の状態を伝えてくる。


 「ぶっ! ふ、2人は何か落ち着いてるね・・・。」


 『男の人お兄ちゃんだけだし、お兄ちゃんになら見られても良いよ?』


 「これはあかん!!」


 思わず関西弁が出るほど、俺はこの状況に混乱している様だ。


 「じゃあ、私達の無事な人の服を1か所に全部集めましょう! 服を食べに群がるドレスイーターをそこに誘導して、お兄さん・・・いや、カイトさんの魔法を叩き込んでもらうんです!」


 「マ、マジか!?」


 ルビアルカがミーネの立てた大胆過ぎる作戦に驚きの声を上げる。

 

 「このままではどの道、服は全滅です! ならせめて服諸共、あいつらを()っちゃいましょう!!」


 『分かった。』


 カチャッ。

 シュルシュル。

 パサッ。


 そうして、未だ服が無事な女性陣が、皆一斉に服を脱ぎ出す。


 「・・・。」


 (3.14159265358979・・・あ~・・・この先って何だっけなぁ・・・。 と言うか合ってるかな?)


 俺は心の中で円周率を数え、何とか無心になろうと試みる。


 「カイトさん!」


 「は、はい!」


 「私が「今です!」と合図したら、カイトさんの立っている状態そのままに、前方10歩先位の所にでっかい魔法をお願いします。 跡形も残らない位のを・・・お願いします。」


 「はい・・・。」


 ミーネの有無を言わせぬ物言いに、俺ははいとしか言えなかった。


 「じゃあ、作戦開始です!」


 バサァ。


 ミーネは作戦開始の合図を出すと、所定の位置に残りの服を全て投げ込んだ。


 『トロトロ。トロトロ。』

 ペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタ。


 「今、ドレスイーターが全て私達の服に向かっています!」


 ペタペタペタペタ。


 「今です!」


 「インフェルノサークル!」


 ミーネからの合図が来た。そして俺はそれを元に、呪文を唱え魔法を放つ。


 キィィィィィィィィィン。

 ゴバァァァァァァァン!!


 地面に小さな炎が出現したかと思うと、その始点から地面に大きく円を描く様に素早く進んで行き、終点へと辿り着く。すると、描かれた円から灼熱の業火が円柱状に、地面から上空へと向けて吹き上がったのだった。

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