第58話 魔族迎撃戦(1)中編
「助かった! 君達は一体・・・?」
「俺達は冒険者です。 彼女に助けを求められ、ここまで来ました。 他に《魔族》は?」
助けた剣士風の男性冒険者の問い掛けに、俺はサッとブレスレットを見せ、別の援護に向かおうと紹介を手早く済ませる。
「ここを真っすぐ行った所にある広場と民家が密集している地域に《魔族》が集中しているみたいだ。 あの煙が多く上がっている所がそうだ。 村に住む俺達の様な冒険者達は、《魔族》と戦う者と、戦えない者達を村の集会所に避難さる者に別れ、事に当たっている所だ。」
「なるほど。 なら、俺達はこのまま《魔族》を倒す様にして行きます。」
俺はここの冒険者達にこのまま村人達を任せ、俺達は《魔族》を倒していく方が良いと判断し、自らそう提言する。
「頼む。 俺達はこの人達を集会場まで連れて行く。 君達も気を付けて。 武運を。」
「ありがとう! 冒険者のお兄ちゃん!」
助けた村の少女からお礼を言われた俺は、その返事として笑顔で手を振りながら民家の方へ向かって走って行った。
タッタッタッタッ。
「リリィさんとナユカは水系の魔法で消火を。 エメリィとククル、クルルは動けなくなってる人の手助け。 ルビアルカとファブリは俺と一緒に《魔族》を倒しながら進もう。 良い?」
『了解!!』
俺達は走りながら、戦域での対応の打ち合わせを手早く済ませる。
タッタッタッタッ。
ガシャンッ!
「グルォォ!」
「ギュァァ。」
民家の密集している辺りを走っていると、急に側の建物の窓から《魔物》が飛び出してきた。
「ハァッ!」
ドゴッ。 ドズン。
『グギィ。』
ルビアルカはすぐさま掛け声と共に《魔物》の1匹に接近し、拳を腹に抉り込む様に食らわせる。そして、即座に2匹目に接敵し肘鉄を食らわせ、ファブリの攻撃の射線上から直ぐに飛び退いた。
「ス、ストーンストリーム!」
ドドドドドッ。
『グギャーー。』
そして、ルビアルカが飛び退くのを確認したファブリは、石の飛礫を複数飛ばす土系の魔法を放ち、止めを刺した。
こうして魁人達は、民家の密集している辺りをこの様な戦闘を数度繰り返して進んで行く。
「2人共良いコンビネーションだね。 ルビアルカはやっぱり咄嗟の対応力が凄いし、ファブリは前衛、後衛でのコンビの戦いに慣れてるみたいだ。」
「と、友達が前衛で身軽に戦う娘なので、素早い動きのルビアルカさんだと合わせやすいみたいです、私。」
「だ、だろ~? ははっ!」
ルビアルカは魁人とファブリに褒められ、嬉しさを隠しきれずに顔に現れている。
「あっ! ルビちゃん、前!!」
「へ?」
ゴィィィン。
「ぶっ!」
「つぅ~・・・。」
ナユカの注意虚しく、ルビアルカは前方不注意で街灯の様な物に頭を強打した。
『ルビアルカお姉ちゃんは可愛いね~。』
「あぁ・・・、まさかのククルとクルルに言われた~。」
『あはははは。』
こうしてルビアルカのドジにより、未だ戦域にも拘らず、皆少し和やかな雰囲気になってしまう。
「そろそろ広場に出そうですね。 皆様ご注意を。」
前方に広い空間が見えて来た事で、リリィが皆に注意を呼び掛けてくれた。
こうして魁人達は民家の密集している辺りを走り抜け、広場に出る。
「オラァァ!!」
「ヤァァァァァー!」
ガキンッ!
ガキッ!
『グォォォ!』
『シャァァァー!』
『ガァァァ!』
「トロトロ。トロトロ。」
広場では剣士風の冒険者5人に対して、《魔物》が10匹位での乱戦となっていた。またしても、何か変な鳴き声の《魔物》も混じっている様だ。
「ミーネ!」
皆で戦場の様子を探っていると、戦っている冒険者の中の1人の名を、ファブリが呼んだ。
「ファブリ!?」
キンッ!
「くぅ!」
ファブリにミーネと呼ばれた少女は、ファブリの名を呼び返しながら《魔物》の攻撃を両手の短刀で受け止める。
「カ、カイトさん、ミーネを、皆を助けて下さい!」
それを見て今にも泣き出しそうな顔をしているファブリが、俺に助けを求めて来た。
「分かった!」
「ホーリーオブスフィア!!」
「ホーミング!」
ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュンッ。
今度は両掌に5個つづの光の魔力で作った小さな魔力球を掌からそれぞれ誘導弾の様に飛ばし、《魔物》の体に張り付ける。
「バースト!」
ギュバンッ!!
『ギャォォォ・・。』
『グォォォ・・・。』
俺が掌を握り込むと、当たった小さな魔力球が音を鳴らし、一瞬でその中心部から元の何倍もの大きさの白い球体になり、《魔物》の一部を抉り取って消えた。
『おおおおぉぉぉぉ!!』
すると、先程倒した魔物と戦っていた冒険者達から、大きな歓声が上がった。
「トロトロ。トロトロ。」
しかし、変な鳴き声の《魔物》が1匹逃げて行ってしまった様だ。
「1匹逃がしてしまった・・・。」
どうやら、乱戦であったために数え逃しをしてしまっていた様だ。
魁人が放った魔法は誘導操作が難しく、今の魁人がコントロール出来るのは自身の手の指の本数分の10個までだっだ。
「ミーネ!」
「ファブリ!」
こうして、ファブリとミーネはお互い無事に再会を果たし、互いに抱き合うのであった。




