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第57話 魔族迎撃戦(1)前編

 ドッ。 ドッ。 ドッ。 ドッ。

 カラカラカラカラ。


 「なるほど・・・。 大体の操り方は分かった。 ありがとう、ファブリ。 助かるよ。」


 「い、いえ・・・。 私の方こそ・・・。」


 竜車に乗り込んだ俺達は、ファブリに御者を任せて《ナミン》の村に向かっている。俺は御者台にファブリと2人で並んで座り、竜車の操り方を教わっていた。


 「ファブリは、今の内に俺達に聞きたい事とかある?」


 俺は少しでもファブリに俺達の事を知ってもらおうと思い、質問してみる。戦闘時の連携をスムーズに取れる様にしておきたい為だった。


 「そ、その~・・・。 カイトさんは冒険者のランクを10にするのに、な、何かやっていた事はあるんですか? 私、未だランク2000台なので・・・。」


 『・・・・・・。』


 『じゅうぅ!?』


 一瞬思考停止した様に静寂が走る。それから少しして、ファブリ以外の皆が一斉に驚いた声を上げた。俺も含めてだ。


 「えっ!? 俺ってランク10だったの!?」


 「ちょっ!? 何でカイトが驚いてるのよ!?」


 エメリィが、俺の発言に驚きの声を上げながら聞き返してくる。


 「あはは・・・。 実は俺、今初めてブレスレット見ました・・・。」


 『う、嘘ぉ~~~~~。』


 女性陣が皆一斉に苦笑いを浮かべながら、呆れた様に言ってくる。


 「あの時は、見る前に組合出たからなぁ・・・。」


 俺は少し遠い目をして、追いかけっこをする様に組合を出た事を思い出す。


 「ははっ。 でも、ファブリも突っ込みが出来る位には、気を許してくれたかな? 最初怖がらせちゃったから、何か嬉しい。」


 「あ、いえ、その・・・。」


 俺がそう言うと、ファブリは少し照れる様にして目を伏せる。


 「確かに・・・。 あれを初対面でいきなり見せられると、誰だってビックリするさ。」


 『光がキラキラ~って綺麗だったよ、お兄ちゃん。』


 ルビアルカはファブリに同情を示す様に、対してククル、クルルは俺があの時放った魔法の感想をそれぞれ口にする。


 「あっと、ごめん、話が逸れた。 俺はこの世界とは別の世界から来たみたいだから、その所為じゃないかな? 俺は、かなり魔力が高いみたいだし、この世界と、元の世界の知識を合わせて魔法を使ってるってのもあるかも。 ナユカには見せた事無かったけど、水で作った八又の竜の魔法とかがそれかな。」


 『あぁ、あれか~・・・。』


 今度は、エメリィとルビアルカ、リリィが遠い目をしながら《シャーストラの森》での事を思い出している様だった。


 「あ、あの・・・、カイトさん。 良ければ・・・あっ! 村が見えてきました!」


 ファブリが何かを言い掛けた時、進行方向に《ナミン》の村が見えて来た。何所からか、煙突などから見える人口の煙ではなく、物が燃えて上がる様な煙が複数見えている。


 『ワアァァァァァァァ。』

 『グォォォォ。』


 ドガァァァン。


 村に近づくにつれて戦いの喧騒が聞こえて来た。


 ドッドッドッドッ。

 ガラガラガラガラ。


 「皆、俺がもし吹っ飛ばされるような相手だった場合は、すぐに竜車に乗って逃げて。 これだけはお願い、良いね?」


 俺は穏やかに達観した様な表情で、優しく語り掛ける様に皆に言い聞かせる。


 「そ、その場合は私に任せなさい! カイト! えへへ。」


 「ありがとう、エメリィ。」


 エメリィは明らかに強がる様にして言ってくれているが、その気遣いに俺は感謝を伝える。


 「ファブリ、村の入り口に止めて!」


 「はい!」


 ダッ。 ダッ。 ダッダッ、ズザーーー。


 そうして村の入り口に竜車止め、全員竜車から降りた。


 「プロテクション!」


 念のため戦闘する前に、皆へ防御魔法を掛けておく。


 「よし、皆、気を付けて行こう!」


 『はい!!』


 こうして魁人達は《ナミン》の村へ入って行った。


 「ファイヤーボール!」

 「うわ!」

 「お父さ~ん!」

 「死ねぇ!」


 ボォォォォン!

 ガキンッ。


 「グルルルル。」

 「ガァァァァ!」

 「グルゥアー。」

 「トロトロ。トロトロ。」


 ザシュッ!

 ボグッ!

 ギーン。

 シュォォォォォ。


 通りで、冒険者らしき魔法使いと剣士が、《魔物》相手に戦っていた。何か変な鳴き声の《魔物》が1匹混じっていたが、戦える人数的に《ヒューマン》が劣勢だった。


 「まずい!」

 「ホーリーオブスフィア!」

 「ホーミング!」


 ヒュヒュヒュヒュンッ。


 それを見て俺は《魔物》の数に合わせ、光の魔力で作った4つの小さな魔力球を掌から誘導弾の様に飛ばし、《魔物》の体に張り付けた。


 「バースト!」

 ギュバンッ!!

 『ギャォォォ・・。』


 俺が掌を握り込むと、当たった小さな魔力球が音を鳴らし、一瞬でその中心部から元の何倍もの大きさの白い球体になり、《魔物》の一部を抉り取って消えた。どうやら4匹とも倒せた様だ。


 「大丈夫ですか?」


 こうして魁人達も《ナミン》の《魔族》迎撃戦に加わるのだった。

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