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第51話 港町アポトリカ

 この第51話から《ディレスティナ大陸編》となっています。

 魁人達は《ルミリア大陸》の《キリンの街》から4日間程船に乗り、《ディレスティナ大陸》南西にある港町、《アポトリカ》の船着き場に着いた。


 「流石に一番近い大陸とは言え、数日間も船に乗ってると疲れるな・・・。 地面に立ってるのにまだユラユラ波に揺られてる気がする・・・。 皆は大丈夫?」


 《アポトリカ》の町はヨーロッパにある様な石材やレンガで造られた建物。きちんと加工され、整えられた石材で敷き詰められている綺麗な道。街灯も建物に合う様にオシャレな感じに建っている。街路樹も外観を損なう事無く立っており、その町並みはとても綺麗だ。


 「あの・・・カイト様。 エメリィがどうやら船酔いしたみたいです。」


 船に酔って気分が悪くなっている可能性のあるエメリィに代わり、リリィが俺に報告を入れてくれた。


 「あれ!? デビルクラーケン討伐の時は大丈夫そうだったのに・・・。 ちょっと、そこで休憩しようか、エメリィ。」


 俺はそう言ってそっとエメリィの手を取り、見付けた座れそうな場所へ誘導しようとする。


 「ご休憩ですね、カイト様。」


 ニコッと周囲の雰囲気が明るくなりそうな程の何とも良い笑顔で、リリィがそう言って来た。


 「ぶっ!? な、何か丁寧に言うと変な意味に聞こえるんだけど・・・。 リリィさん・・・。」


 この世界にも大人の休憩所はあるのだろうか。リリィの言った言葉から俺はそんな想像をしてしまう。男だったら仕方ないよね!


 「ふふっ。 可愛いですね、カイト様は。」


 どうやら俺を慌てさせるのが目的で、意図してあんな言い方をしたらしい。リリィは動揺している俺を見てニコニコしている。


 「うぅ・・・、うぅ・・・、カイト~・・・。」


 傍から見て明らかに顔色の悪いエメリィだが、どうやら俺と戯れるリリィを見て、少し焼き餅を焼いてくれている様だ。か細い声で呼び掛けて来た。

 

 「ごめんごめん、エメリィ。 落ち着くまで背中擦ってるから、今は座ってゆっくりしよう。」


 そう言って、俺は腰を掛けられそうな場所にエメリィと一緒に座った。そして、背中にそっと手を当て、軽い回復魔法を練りながらゆっくりと、優しく擦ってあげる。


 「うぅ・・・えへへ・・・うぅ・・・えへへ・・・。」


 魁人が背中を擦ると、エメリィは苦しい様な表情と嬉しい様な表情を交互に変えて百面相する。


 「く、苦しんでるところ・・・ふふっ、わ、悪いんだけど、エメちゃん、顔、面白いよ?」


 そんな様子のエメリィを見て、ナユカが笑いを堪えながら指摘してきた。


 「良いの・・・。 今幸せだから・・・。 良いの・・・。」


 「あらら・・・。 何か本当に駄目っぽいね~。」

 「それなら、今の内にこの町でしておく事、相談しとく~? カイト君。」


 エメリィの具合が未だ余り良くない事を改めて確認したナユカ。現状、他の場所に行く事が難しいという事もあり、町での行動方針を決めるべくその様に提案して来た。


 「そうしようか。」


 側にいるエメリィに視線を向けながら、断る理由は無いかなと思った俺はナ、ユカの提案に同意した。

 

 「この大陸でやる事・・・と言うか俺がやりたい事は、お金を稼いで家を建てるか、買うかする事。 そして皆と結婚式を挙げる事が目標かな。 だから、この町ではこの広い大陸を自由に見て回るための、足と食料を先ず手に入れる事。 あわよくばお金も稼ぐ事・・・かな。」


 「そだね~・・・。 お金をいきなり稼ぐのは難しそうだけど、カイト君の言う通り足と食料をまず確保しよっか。」


 「足は・・・皆で乗れるような馬車とかあるのかな?」


 「馬車あるよ~。 後、他には竜車とかもあるかな。 1人だけの旅だと飛龍もありだと思うけどね。 もしかしたら私達のアルちゃんが大きくなったら、背に乗せてもらえるようになるかもね~!」


 「おぉ~! 竜車に飛龍!! ファンタジー世界っぽい乗り物! ただ、アルカメリルはまだ小さいから無理かな。」


 「ただ、馬車と違って、竜車は引っ張ってくれる竜に気に入ってもらえるかどうか、かな~。 馬より遥かに力が強い者や足の速い者もいたりするけど、気難しい気性・・・というか主を選ぶ感じかも。」


 「お~い、カイト。 エメ、そろそろ大丈夫そうだぞ・・・。 もうこいつ、顔がニヤニヤとしかしてないしさ。」


 この大陸で使えそうな乗り物について、俺とナユカがその話で盛り上がっていると、エメリィの様子に気付いたルビアルカが声を掛けて来た。


 「あぁ・・・、ルビアルカ言っちゃダメ~。」


 どうやらナユカと話している間に、エメリィはすっかり良くなっていた様だ。背中を擦っていてもらえて嬉しかったエメリィは、そのまま黙ったままでいた様だった。


 「よし! 皆、乗り物を買えそうな店でも探しに行こうか。」


 俺は最後にエメリィの頭を軽く撫でながら立ち上がり、皆にそう促した。


 『はーい!!』


 こうして魁人達一行は《ディレスティナ大陸》を旅する為に必要な乗り物を探しに、皆で船着き場から町へ繰り出すのであった。

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