第50話 新天地へ
2017年3月2日町人の年配の男性と若い女性が襲われるシーンを一部改訂しました。
魁人達一行が、目的地の《ディレスティナ大陸》へ船で向かっている頃、そこでは大きな異変が起き始めていた。
「《魔族》だ!! 大量の《魔族》が急にこの町に押し寄せて来たぞー!!」
町の外壁で見張りをしていた傭兵の1人が、大きく叫ぶ様にして町の人々に注意を促し始めた。
この日、《ディレスティナ大陸》極東に位置する1つの町、《ファスト》に、突如として大量の《魔族》による大規模侵攻が始まったのだ。
この世界の《魔族》とは、《魔獣》、《魔物》、《魔人族》、《淫魔族》等、この他にもいくつかの種族を加えた、複数の種族の総称である。
ドグオォォォォォォォン。
ガラガラガラガラガラ。
「グゥオオオオオオォォォーーーーー!」
あっさりと町の石造りの外壁を破壊して突破してきた、強大な力を持つであろう、巨大な《魔獣》の咆哮が、町中に響き渡る。
『ひぃっ!?』
『に、逃げろーーーー!!』
「お、女、子供を守れ!!」
『撃てー!! 撃て撃てー!!』
その咆哮を聞き、怯えて身を竦ませ動けないでいる者。恐怖で逃げ惑う者。《魔族》を弓や魔法で撃退しようと戦いを挑む者。それらが町中で入り混じり、混乱の様相を呈している。
《魔族》と《ヒューマン》、それぞれの種族の個体の総数は《ヒューマン》の方が《魔族》よりも圧倒的に多い。だが逆に、《魔族》のそれぞれの個体の強さに比べ、一般的な《ヒューマン》の個体の力では遠く及ばない者が多い。その上で今回の侵攻では、《魔族》の数の方が町で戦える者達の戦力よりも圧倒的に多いのだ。結果は火を見るよりも明らかだった。
「ひぃ! た、助け・・」
ザシュッ。
「ギャッ。」
ある所では、命乞いをしていた年配の町の男性が、《魔物》の鋭い爪によって切られ絶命する。
ビリッ、ビリビリッ。
「い、嫌!! お、お願い! た、助けてっ!」
『グルルルルルルル。』
「嫌ー!」
またある所では、若い町の女性が《魔獣》に襲われている。
そんな光景が至る所に蔓延っている。
こうして極東の町、《ファスト》は瞬く間に《魔族》達によって蹂躙された。
これが、《ヒューマン》と《魔族》による種族間での戦の始まりとなるのであった。
一方その頃、《ディレスティナ大陸》で異変があった事など知る由もない魁人達は、向かう船の上で言葉の勉強をしていた。
「ありがとう、エメリィ。 ルビアルカ。 助かるよ。」
俺は眠っている様子のアルカメリルを膝に乗せ、この世界の言語を2人に教えてもらっていた。
「気にしないで、カイト。」
「そうそう。 エメの言う通りさ。 いつもカイトはあたしらに色々なものをくれてる。 それをちょっと位返させろって。」
「あーっ! ルビアルカにカッコイイセリフ取られた~~。」
「はははっ。 ありがとっ! 宜しくお願いします。 エメリィ先生! ルビアルカ先生!」
俺のためにと思ってくれている2人に、改めてお礼と、一生徒としての体裁を示す。
『・・・。』
「なんか・・・。 先生って響・・・、良いな・・・。」
「そうね・・・。 カイトに言われるってのが、特に良いわね・・・。」
2人は顔を見合わせたかと思うと、互いにヒソヒソと話し始める。魁人に言われた先生という敬称に、何か感慨深いものがあった様だ。
「狡いですよ、お2人だけで・・・。」
『そーだ! そーだ!』
リリィにククル、クルル、ナユカが、エメリィとルビアルカに対して不平を漏らしながら、俺の言葉の勉強会に交じって来た。
「ははっ! 先生達、宜しくお願いします!」
『はーい!!』
こうして魁人達一行は何時も通り楽しく、そして賑やかに海を進んでいく。果たして、魁人達一行は、これから《ディレスティナ大陸》の異変にどう直面し、どう関わっていくのか、新天地での旅がもうすぐ始まる。
ここまで読んで頂きありがとうございます。この第50話で《第1章ルミリア大陸編》は終わりとなります。次の51話からは《第2章ディレスティナ大陸編》となる予定です。引き続き、読んで面白い!と思ってもらえる様な作品にしていきたいと思いますので、良ければ続きも読んでもらえると嬉しいです。




