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第43話 ナユカの提案

 「ここ《ルミリア大陸》から比較的に近い大陸は、ここから北東にある、《パンテオン》で恐らく最も大きな大陸、《ディレスティナ大陸》。 次に東にある《ティルビナ大陸》。 そして、北にある《ノースビナ大陸》という感じかな~。 運賃もこの順番に高い物になってるよ。」


 魁人に頭を撫でられて立ち直ったナユカ。実際はリリィに(そそのか)されてやった芝居だった訳だが、本人にはきちんと効果があった様だ。軽快に渡航に必要なものについての話を始める。


 「ただ、近いと言っても、距離はそれなりになるから、資金や食料の準備は必要かも。 乗る船とかによっても、お値段変わっちゃうしね。」


 「なるほど・・・。 結構テオンが必要になりそうだな・・・。 ナユカ、この街でアルバイト・・・じゃない、えーっと・・・、働き口とかってあるのかな?」


 渡航の資金を貯めるためにも、この街でアルバイト的な事が出来ないか尋ねてみた。


 「もちろんあるよ~! けど、結構長い間働かないと難しいんじゃないかな? そこで、カイト君に提案があるんだけど、良いかな?」


 「俺達で出来る事なら良いんだけど、何かな?」


 返事を聞いたナユカは、これから提案の内容を話してくれるのだと思うが、いつもよりもちょっと真面目な顔になっている。


 「実は・・・。 私が長代理をする事になっちゃってる原因でもあるんだけどね~。 近海の海で最近、《海魔族》のデビルクラーケンが出没するようになって・・・。 別の大陸に渡航している両親が、今はこちらに戻ってくるのは危険だから用心して帰れなくなってるんだよ。 もちろん遭遇しないこともあるし、帰って来れない事も無いんだけど、私もやっぱり心配でね・・・。」


 ナユカは、こちらへ提案した内容についての詳細を話し始めるが、いつもの抑揚あるノリの良いお姉さんの様な話し方では無く、不安そうであまり元気のない話し方だった。


 「それで討伐できる人を、今この街で募集してるんだけど、私が長代理権限でこれに懸賞金を掛けたんだよ。 もちろん私の両親を帰れるようにするためでもあるんだけど、他の船舶もデビルクラーケンに襲われることもあったし、このままじゃ、犠牲者がもっと増えてしまうかもしれないからね。」


 「だから、カイト君! デビルクラーケン討伐をお願いできないかな? ちなみに、この討伐の懸賞金は100,0000テオンだよ。 本来ならもう少し高額になってもおかしくないんだけど、さすがにこれ以上は出せないって議会の皆に言われちゃってね~。 けど、この額なら船の渡航代を払っても、結構資金は残るから。 それで・・・、どうかな? 今のところ、カイト君位しか倒せそうな人がいなくて・・・。」


 出会ってから、今までのナユカはノリの良いお姉さんという感じだったが、提案について話し終えるまでの間はどこか不安そうなままだった。


 「本当なら、困ってるナユカからの頼みなら、報酬なんて無くても良いよ、と言いたいところだけど・・・、正直その提案は助かる。 この大陸では皆のおかげで特に問題無く過ごせたけど、他の大陸ではどうなるか分からないしね。 旅の資金が無くて皆につらい思いをさせるのは忍びない。 是非俺にやらせて欲しい。」


 こうして、ナユカの提案に乗ることを決めた。


 「ありがとう! カイト君!!」


 提案を受ける事を伝えると、ナユカはようやく元気一杯の笑顔に戻ってくれた。


 「それじゃあ、デビルクラーケンの出る海域までは船で行く必要があるから、船の手配はしておくね。 出発は明日の夜明け前からで良いかな? カイト君。」


 「うん、構わないよ。」

 「ただ、今回はククルとクルル。 そして、ルビアルカはここに残っていて欲しい。 良いかな?」


 「なっ!? 何であたし達だけ!!」


 いきなり残る様に言われたルビアルカは、やはり不満があるのだろう。俺に突っ掛かる様に、強い口調で声を荒げる様に聞いて来た。


 「今回は海の上で戦う事になる。 倒しきる前に万が一船を破壊されたら、俺が抱えて帰って来れるのは2人位までだと思う。 空を飛べるリリィさんとアルカメリルは、自力で何とかなると思うけど、ナユカとエメリィは難しい。 2人はそれぞれ船の事全般と、壊された時の修復時に必要な能力を持ってるから、連れて行かないといけないしね。」

 「それに、俺の居ない間、ククルとクルルを守れるのは、ルビアルカ、強い君しかいないと思ってる。 だから頼めるかな?」


 『宜しくお願いします。 ルビアルカお姉ちゃん。』


 意図はしていなかったが、ククルとクルルがルビアルカに頼んでくれる。2人共、俺の言い付けを守ろうとしてくれているのだろう、とても良い子達だ。


 「そ、そう言う事なら仕方ないな。 カイト。 2人はあたしに任せて行ってきな!」


 どうやら、俺から頼んだ事に加え、ククルとクルルの2人からのお願いがとても効いたのだろう、ルビアルカが頬をひくひくさせて嬉しそうに了承してくれた。


 (ルビアルカ・・・。 ちょろいわね。)

 (ルビアルカ様・・・。 ちょろ過ぎです。)

 (ちょろいな~、ルビちゃん。)

 「キュィィィ~。」


 エメリィ、リリィ、ナユカは心の中でルビアルカの懐柔され易さを嘆き、アルカメリルまで同じ様に思っているのでは無いかと思わせる様な、そんな鳴き声が部屋に響くのであった。

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