第37話 アルカメリル
「キュィィーーー。」
「この子背中に羽っぽいのも付いてるし、白龍の子かな? どうしようか? もう親っていないよね?」
「そうね・・・。 白龍なら何体かは他の大陸に個体が居ると思うけど、《ルミリア大陸》では白龍なんて見たことないよ・・・。 だからこの子の親となると・・・。」
「そっか・・・。」
「キュィ。」
その事を聞いた俺が、がっかりした様に言うと、小さく鳴き声を上げた白龍の子が、俺の足に擦り寄って来た。
「きっとメスね・・・。 その子・・・。」
エメリィがジト目で何故かそう言ってくる。
「な、何でそう思うのかな~?」
「メスは強いオスに惹かれるものだからね! 私もだし!」
俺の問い掛けに、中々豪快な回答をしてくれるエメリィ。
「エメリィ・・・、自分でメスとか言っちゃってるよ・・・。」
俺は苦笑いを浮かべ、エメリィに聞こえない程度に小さな声で呟いた。
「キュイキュイ。」
「・・・。」
俺はじっくり見ていると、懐いてくれている様子の白龍の子が段々と可愛く思えてきた。
「君も一緒に来る?」
白龍の子をそのまま放っては置けず、つい口に出して言ってしまった。
「キュ~キュ~、キュィィ~。」
ペチャペチャ。
「おっ、ふふっ。 この子かなり賢いね。」
俺の言った言葉が分かっている様な感じで、嬉しそうに鳴いたかと思うと、急に飛び跳ねて俺の腕に掴まり、頬を舌で舐めて来た。
「ほんと、キミってば優しいんだから・・・。」
エメリィは呆れている様な物言いではあったが、とても優しい目をして俺達を見てくれている。
「そう言えば、もう一個の方は割れて無いから、このまま置いておいた方が良いんだよね?」
「そうね・・・。 無理に起こしちゃうのは可哀想だし、このままにしておきましょう、カイト。」
「分かった。 ならこの子を連れて皆の所へ戻ろっか、エメリィ。」
そう話し合って俺とエメリィは祠だと思っていた物、実際は龍の巣だった物を後にする。
「連れて来ちゃた。」
龍の巣から出た俺とエメリィは、ルビアルカ達の下へ報告しに戻った。俺の肩には白龍の子がちょこんと座っている。
『・・・・。』
「マジかっ!? カイト・・・、あんた色々マジか!?」
『可愛い~!』
「私の特等席が・・・。」
待っていた皆は、束の間の間、茫然と白龍の子を見ていたが、その後三者三様な反応を見せた。
『ねぇ、お兄ちゃん。 その子の名前は?』
ふとククルとクルルが白龍の子の名前を聞いてきた。相変わらずこの2人は息がピッタリ合っている。
「さっき生まれたばかりだから未だ無いや。 名前付けちゃっても良いものなのかな?」
「名前、付けてあげてお兄ちゃん!」
「私達もお兄ちゃんに名前で呼ばれると、やっぱり嬉しくなるもんね!」
『ね~!!』
2人はニコニコと笑顔で、何とも嬉しい事を言ってくれる。
「折角だから、俺達の名前から一文字取って名前付けようか。 安直な考えだけど、俺達皆がこの白龍の子の親代わりの様な感じになるんだし、親しみ易い方が良いかなって。」
『賛成~!!』
白龍の子を見て驚愕していたルビアルカも含め、どうやら皆了承してくれる様だ。
「なら、⦅カ⦆イト、エ⦅メ⦆リィ、ルビ⦅ア⦆ルカ、クク⦅ル⦆、クル⦅ル⦆、⦅リ⦆リィからそれぞれ一文字かな。 それを弄って・・・、アルカ・・・メリル。 《アルカメリル》なんてどうだろう?」
「アルカナって神秘を意味してる単語の複数形だった気がするから、それをちょっと略してアルカ。 エメリィが言うにはこの子メスらしいし、女の子らしい名前でメリルっていう風に文字置いてみたんだけど・・・。」
「カ、カイトって頭良かったのね・・・。 名前可愛いじゃない!」
「カイトが何だか知的だ・・・。 名前のセンスも悪くない・・・。」
『お兄ちゃん賢い・・・。 《アルカメリル》、可愛いね!!』
「カイト様とは思えませんね・・・。 良いと思いますよ。」
「キュィィィ~~~。 キュイィィー。」
「あれっ!? 何かこの子の名前より俺の方に感心が向いてない!?」
そんな皆からの反応を他所に白龍の子だけが俺に擦り寄り、嬉しそうにしてくれている。
『あぁ・・・、やっぱりその子メスだ・・・。』
その様子を見ていた女性陣は一様に白龍の子の性別を察し、声を上げるのであった。




