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第33話 これから

 「カイト~・・・。」

 『お兄ちゃん・・・。』

 「ポッ。」


 「カイトさん。 《竜人族》の長様は今は空席なので、後は《一角族》の方に会いに行くと良いでしょう。」


 デートの日の後日、エメラルドと相談し、次の種族の長に会いに行く予定を考えていた。


 これまでの事については、残っていたエメリィ達が既に話しておいてくれたのだろう。そのため、スムーズにこれからの事について、話しを進められると思ていたのだが・・・。


 「カイトォ~・・・。」

 『お兄ちゃん・・・。』

 「ポッ。」


 エメリィは目に涙を浮かべて泣き出しそうになりながら、そしてククルとクルルは寂しそうな顔をしてこちらを見てくる。


 その上リリィは頬に両手を添え、恥ずかしがる仕草をして俺を揶揄(からか)ってくる。


 そんな様子の俺達をエメラ、エメラルド、ルビアルカが苦笑いしながら呆れ顔で見ていた。


 「はぁ・・・。 仕方ない・・・か。」

 「おいで。」


 俺がそう言って3人を迎えようとする。


 「カイト~!」

 『お兄ちゃん!!』


 「うおっと!」


 テーブルの席に座っていた俺をめがけて、3人が飛び掛かる様にして抱き付いてくる。ククルとクルルは左右の腰辺りに、エメリィに至っては向き合う様に俺の膝の上に座り、俺の首に手をまわして抱き付いてきた。


 「す、すいません・・・。 今回はこのままで話をお願いします・・・。」


 了承してしまった手前、今更退く様に言う訳にもいかずそう言った俺は、話を進めながら空いている両手で3人を交互にゆっくりと背や頭を優しく撫でてあげていく。


 この状態は決して苦しくは無い。苦しくはないが・・・、女の子の体の柔らかさや、女の子特有の良い匂いが俺へと襲い掛かって来る。理性を保つのも一苦労だ。


 「ルビアルカ。 今《竜人族》に長様が居ないのは、何か理由が?」


 俺は色々と気にしない様に努めながら、ルビアルカに竜人族の長が不在の理由を聞いてみる事にした。


 「理由ねぇ・・・。 強いて言うなら皆、面倒臭がってやらないってだけさ。 前、カイトとエメに初めて会った時にも言ったけどさ、皆自由人でね。 まぁ、あたしもだけど・・・。 纏まりも無いし、長が居てもねぇ・・・。 滅茶苦茶強いとかなら話は別だけどさ。」


 「そ、そうなんだ。」


 思っていたよりも、ずっと単純な理由だった様だ。


 「そんな理由で長をやらないなんて、どうかしてるわね!」


 「いや、あたしは今のエメの状態も、どうかしてると思うんだけどさ?」


 ルビアルカが透かさずエメリィに指摘してきた。


 「・・・。」


 エメリィは周りを見渡す。皆はニヤニヤであったり、仕方ないわねぇと言う様な様々な表情を浮かべて、こちらを見ている。


 「さて・・・。 ならとりあえず《一角族》の街まで行きましょうか!」


 『えぇぇ!? スルー!?』


 腰に抱き付き穏やかな表情を浮かべたままのククルとクルル以外の女性陣から、思わずエメリィへの突っ込みが入る。


 「ほんと、逞しく育っちゃって・・・。」


 エメラルドは、エメリィの成長をしみじみと感じながらも、今の状態のエメリィを見て苦笑いを浮かべている。


 こうして次の行き先が決まった。《一角族》の住む街《キリンの街》だ。


 「こ、こんなに簡単に決めちゃって良いのか・・・。 ま、まぁ行くつもりだったから良いんだけど。」


 「確か・・・、《キリンの街》から別の大陸へ渡る方法があるらしいから、もしかしたらそのまま出発するかもしれない。 このまま一緒に来るか、この大陸に残るか、今の内から皆、考えておいて欲しい。」


 俺はこれは大事な事だと思い、さっきのやり取りの時に緩んでしまっていた顔を引き締めて、真剣な顔で皆に告げる。


 『はーい!!』


 「軽っ!?」


 思ったより、否、想像より遥かに軽快な返事が返って来た。もしかしたら、もうここにいる女性陣達は、自分達がどうしたいのかを既に決めているのかもしれない。


 「だってカイトさん・・・。 エメねぇをそんな風に抱いたまま言われてもねぇ~。」


 エメラが尤もな指摘を、ズバリ言ってきた。


 そう、まだ俺の腰にはククルとクルルが、そして正面にはエメリィが抱き付いていたのだ。


 『あはははははは!』


 皆も可笑しかったのだろう、それを機に一様に声を上げて笑い出す。


 「今日は格好つかないな~。」


 そうして魁人は、3人をそのまま自身に抱き付かせた状態で、苦笑いを浮かべながら、恥ずかしそうに頬を掻くのであった。

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