第28話 出発そして帰還
「では、俺達はそろそろ行きます。 まだ、他の長の方にも、会いに行かないといけないので。」
「道中、お気を付けて・・・、カイト様。 とは言え、あれだけの魔法を見せられたら、心配は無さそうですが。 ふふっ。」
「は、はは・・・すいません・・・。 余りにも皆と過ごせたのが楽しかったので・・・、はしゃいでしまいました・・・。」
「いえいえ。 私もカイト様方のお蔭で楽しい時間を過ごす事が出来ました。 本当にありがとうございます。 これからは、リリィが私に代わってお手伝いをさせて頂きますので、もし何かございましたらリリィにお申し付け下さい。」
湖での一時を過ごした俺達5人。次の目的地へ向かう前に俺とリリムリアは和やかに会話をする。
「リリィ。 宜しくお願いね。」
リリムリアがリリィを呼び、笑顔でお願いした。
「はい。 リリムリア様。」
「改めまして宜しくお願い致します。 カイト様、並びにお嫁様候補の方々。 私はお嫁様候補という訳ではございませんが、従者として出来得る限りの事は、何でもさせて頂きたいと思っております。」
「何でも・・・。 ゴクリッ。」
男として綺麗なメイドさんにそんな事言われると、反応しちゃうよね!!
『じーーーー。』
「はっ!?」
『カイト・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
女性陣が皆ジト目で俺を見てくる。
「さ、さぁ! 行こうか皆! さようなら~、リリムリアさ~ん! また何所かで~!」
そう別れの言葉を言うだけ言って、俺は逃げる様にその場を後にした。
「あっ! 待ちなさい、カイトー!!」
「皆、追うわよ!」
「相変わらず仲が良いな・・あいつら。」
「お兄ちゃ~ん。」
「待って~。」
「カイト様~。」
「ふふっ。 楽しい方達・・。」
リリムリアは、そんな魁人達を見ながらニコニコと微笑み、楽しそうに見送ったのだった。
そうして魁人達一行は《シャーストラの森》を西に抜け、《トワイライトの森》に入った。
「思ったより長くなったな~。 今回の調査・・・。 エルフの皆元気かな?」
俺は少しだけ疲れた様にそう呟く。追いかけてくる女性陣から、走って逃げていた所為でもあったのだが・・・。
くいくい。くいくい。
『お兄ちゃん・・・。』
そんな時、ククルとクルルが不安そうな顔をして俺を呼び、前を進む俺の服の裾を後ろから引っ張って来た。やはり自分達が《ダークエルフ》であるという事で、エルフの皆に会うのは不安なのだろう。声には明るさが無くなってしまっていた。
「・・・。」
俺は、黙ってククルとクルルの方へ向き直って目線の合う位置でしゃがみ、腕を2人の背中にそれぞれ回して抱締めてから、優しく頭の後ろを撫でる。
「ククル。 クルル。 これからエルフの集落に入る。 ここの皆は優しい人達ばかりだから大丈夫。 素性の知れない俺なんかを助けて、親切にしてくれた人達だしね。 でもやっぱり今は未だ不安な気持ちの方が強いと思う。 だからしばらく俺にくっ付いていてもいいから。」
『うん、ありがとっ。 お兄ちゃんっ!!』
ようやく2人の声に明るさが戻って来た。
そうして俺達6人は、エルフの集落に向けて森の中を進んで行く。すると、集落の門が見えて来た。
『カイトさーーーーん!!』
そこには帰って来た事を未だ知らせていないにも関わらず、大きな声で俺を呼ぶエメラとエメラルドが笑顔で手を振って立っていたのであった。




