第21話 妖精族の少年
『ごめんなさい! オークさん達! 私達が皆にひどい事を・・・。』
正気を取り戻したオーク達にククルとクルルは謝罪を行っている。
「フゴフゴフゴフゴブキィ。」
2人の言葉に対して、オークの長らしき者が左手を軽く上げて前後に振っている。
「フゴフゴフゴッ、フゴフゴブキィフゴフゴフゴ。」
オークの長は表情を笑顔にして、ククルとクルルへ右手を差し出してくる。
2人はそれを右手で握り返し、握手した。
『何を言ってるのか全く分からない!!!』
そんなやり取りを黙って見ていた俺達だったのだが、ついつい叫んでしまった。
「オークの長の方は「きにするな。」、「こんご、なかよくしよう。」と言ってくれています。」
クルルがそんな俺達の叫びを聞いて説明してくれる。どうやらオーク達は見た目に反してかなり温厚な種族の様だ。
『それではまた!』
『フゴフゴブキィー。』
そうしてオーク達に謝罪を終えた俺達は互いに手を振り合って別れる。
『あの・・・。』
《ヴァストゥ森林》を南の方から出て《妖精族》の住む森、《シャーストラの森》に入ろうかという所でククルとクルルが立ち止まり、声を掛けてくる。
『色々とありがとう。 エメリィお姉ちゃん、ルビアルカお姉ちゃん、そして・・・、カイトお兄ちゃんっ!!』
俺達に向け、2人は笑顔で感謝の言葉を伝えてくれた。
『・・・。』
そう呼ばれた俺達3人は口を開けたまま固まった。
ガッ。
3人が円陣を組むようにして肩を抱き合う。
「やっべーよっ。 何あの可愛さ・・・?」
「エメラに呼ばれるのとは全然違った嬉しさがあるわね・・・。」
「俺、この世界に来れて本当に良かった・・・。」
三者三様に、それぞれ噛み締めるものがあった様だ。
「エメリィ、ルビアルカ。 じゃあ、せーのっで2人に笑顔で言うよ。」
俺達をキョトンと見ているククルとクルルを尻目に、小声で打ち合わせを入れる。
「せーのっ。」
『どういたしまして!! これからよろしく2人共!!』
俺達は笑顔で感謝の意を受け取った事、そしてこちらから2人を迎える歓迎の言葉を伝える。
「よし! じゃあ、改めて行こうか皆!」
「お~い!」
俺達5人で《シャーストラの森》に入ろうかという所で、その森の方から誰かを呼ぶ声が聞こえてきた。
「お~い! そこの5名の・・・旅の・・・一座様?」
声を掛けてきた少年は、俺達5人を見てから芸人の集まりか何かなのだと判断したようだ。
「ちょっと! そこの《妖精族》の少年! 私達芸なんて出来なっ・・・カイトなら魔法で出来そうね・・・。 前花火ってやつ見せてくれたし・・・。 いざって時は、あれでお金稼ぎも・・・。」
どうやらエメリィは芸と結び付けて、俺のプロデュース方法を考え始めてしまっている様だ。
「エメリィさん!?」
「って、違う! 突っ込んでる場合じゃなかった・・・。 どうかしたのかな? えっと、《妖精族》の少年。」
俺はエメリィにもっと言いたい事があったが、急を要する案件かもしれないと思い、ぐっと堪えて目の前にいるとても小さな体の少年に聞くことにした。
「実は・・・長が病で倒れてしまい、薬を作れる人か、光属性の高位の魔法で治癒できる方を探しているのですが、さすがに居られませんよね?」
妖精族の少年は、未だ俺達を芸人の一行だと思っているらしく、苦笑を浮かべて諦めムードで聞いてきた。
「俺が光属性の魔法使えるけど? 俺達も長に話したい事があるから、良ければ案内してくれる?」
「ありがたいですけど、それって本当ですか~? そんな強力な光属性の魔法使える者など数少ないんですよ?」
強力な光属性の魔法を使えるのが、嘘だと決め付けているかの様な物言いで、妖精族の少年は真偽を確かめようとしてくる。
「え? そうなの皆。」
『うん。』
皆に真偽のほどを確かめてみると、全員から肯定の返事が返ってきた。
「今更だけど、カイトの光属性の魔力って、《勇者》とか《光の巫女》とか呼ばれる人位有るんじゃない? たぶん。」
エメリィがサラリととんでもない事を口にした。
『えっ!?』
『えぇぇぇぇぇぇぇ!?』
その場に居る妖精族の少年や魁人を含め、エメリィを除く皆が衝撃の告白に驚くのであった。




