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第20話 異変の解決

 『ふぅえぇぇぇぇぇぇぇぇん。』


 今まで、家族以外には一緒に居たいと言われた事の無かったククルとクルルは、魁人の優しさに触れ、涙を堪え切れずに泣き出した。


 「ねぇカイト・・・。 本当に良いところを邪魔して悪いのだけど・・・。 何か忘れてないかな?」


 エメリィは、今のククルとクルルにとって、この時がとても大切な場面だと思い、今までほとんど話さず静かにしていたが、ここで口を挟んできた。


 「何か・・・忘れて・・・。 あっ!」

 「そう!」


 「そう言えば俺自己紹介してなかった・・・。 ククルとクルル。 俺は《黒峰魁人(くろみねかいと)》。 一応《ヒューマン》かな? 別の世界から来たけど・・・。 好きな様に呼んでね!」


 「えぇぇぇぇぇぇー!? またキミはこんな状況で、まさかの自己紹介!?」


 そんな、のほほんとした様子で自己紹介を始める俺に対して、エメリィは、荒野で初めて会った時の状況を思い出しているかの様に、驚いた点について声に出して来た。


 「違うわよ! 周り! 周り見てカイト!!」


 エメリィは何か焦ったように、俺にそう促してくる。


 『ブキィィィィー。』

 『フゴォ。 フゴフゴッ!』


 俺達の周りを何十人ものオーク達が取り囲んでいた。その瞳は皆虚ろで、武器を持っている者、先ほど食べていたキノコを手に持っている者もいる。


 「ふ~ん。 あたしらを()ろうってのか!? 良い度胸だっ!」


 ルビアルカが臨戦態勢で拳を構え、飛び掛かろうとする。


 「待って! ルビアルカ!」


 俺は慌てて飛び掛かろうとするルビアルカの襟首を、後ろから引っ張って止めようとした。


 「うおっ!」

 ゴンッ!

 「()った~!」


 「あ、ごめん・・・。 ルビアルカ・・・。」


 飛び掛かろうとする勢いが強すぎたのか、俺に襟首を引っ張られたルビアルカはそのまま後ろへ倒れ、頭を地面に強打した。


 「カ、カイト~。 どうしたのさ・・・。」


 ルビアルカが痛みを堪えながら、俺に非難の声を上げた。


 「ルビアルカごめん。 今は出来るだけオークを傷つけないようにしたい。 だからちょっと待って。 考えがある。」


 「ククル、クルル、オーク達が食べていたキノコの効果を教えてくれ! エメリィはオーク達を魔法で足止めして!えっと・・・、木の蔦とかで縛るとかで! ルビアルカは待て! 止めきれなかったオークだけ気絶させるんだ!」


 『はい。 カイトさん。』

 「分かった! カイト。」

 「あたしはペットか!? はぁ仕方ないね。」


 俺がそう言って皆に指示を出し、それぞれに了承して行動に移していってくれた。


 「ククル、クルルお願い!」


 「オーク達が食べていたキノコは狂暴化の効果があるように作っています。」

 「依存性が高まる様に、オーク達の好物の木の実味だよ。』


 クルルとククルがそれぞれ息が合った様に、キノコの効果を伝えてきた。


 「そ、そうか分かった。 ありがとう2人共。」


 『はい。』


 俺はそっと2人の頭を撫でながらお礼を言うと、ククルとクルルは口数少なく嬉しそうに返事を返して来た。


 「えーっと、とりあえず状態異常は狂暴化だけだから、それを打ち消すアンチ魔法を使えばいいんだよな・・・。」


 俺は口に出しながら、使う魔法をどういったものにするか考える。


 「エメリィ! 今からアンチ魔法を使う。 もう数秒だけ持ち堪えて! ルビアルカもよろしく!」


 「わ、分かったわカイトッ!」

 「分かってるさ!」


 エメリィは足止めのために地面からロープの様な蔓を生やしてオーク達に巻き付け、ルビアルカはそれに漏れたオーク達に手刀を加えて気絶させていく。


 キィィィィィィィィン。


 そして俺は掌を空へ向けて(かざ)し、魔力を集中させて白く輝く球体を作り上げる。


 「よし! アンチライトヒーリング!」


 俺は自身のイメージを乗せ易い様に、呪文を唱えて魔法を発動させた。


 ヒューンッ! パーンッ!


 上空へ飛び上がった白く輝く球体は空で弾け、輝く光の粒子の雨がオーク達にキラキラと降り注いでいく。


 『フゴ?』


 魔法の効いたオーク達は、今まで暴れていたのが噓の様に、次々と正気を取り戻していく。


 『やったー!』

 「よっしゃー!」


 それぞれ自分達の役割行動に移っていた女性陣が、皆一斉に喜びの声を上げた。


 輝く光の粒子の雨がキラキラと降り注ぐ中、魁人達がこの場を収めた事により、これで今回のオークの異変騒動は収束を向かえていくのであった。

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