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第2話 エメリィ=トワイライト

 「キャアァァァァァーーーー。」


 目の前で人に魔法が直撃したこと、その魔法であるメテオの衝撃の両方からエルフの女の子は悲鳴を上げた。


 エルフの女の子は、自身をレジストの魔法で守りつつ、目を瞑った。


 魔法の衝撃が収まり、辺りは一瞬静寂に包まれる。


 エルフの女の子は恐る恐る目を開け、爆心地を覗き、その中心部に魁人の姿を見つけた。


 「あぁ・・・。」


 悲嘆の表情を浮かべていたエルフの女の子。だが魁人の様子はどこかおかしい。


 「あれ? 何かおかしいよう・・な??」


 魁人の姿を見てエルフの女の子が疑問を口にした瞬間、すくっと魁人が起き上がった。


 「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーー!?」


 なんと、メテオが直撃した魁人は、着ていた衣類が少し焦げた程度で、ほぼ無傷だった。


 「あれ? 俺生きてる!? なんで!?」


 その場で起き上がりながら、今度は俺が疑問を口にする番だった。


 「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーー!?」


 エルフの女の子は、驚きの余りまだ叫んでいた。


 「ねぇ。 そこのエルフの君! ねぇってば!!」


 俺が驚いているエルフの女の子に、現状を尋ねようとした時、


 ヒューーン。


 ドスッ。


 戦場から飛んできた鋼の剣が、俺の体に当たった。


 「キャアァーッ。」


 その瞬間を見ていたエルフの女の子が、思わず悲鳴を上げる。


 カランッ。カランッ。カランッ。


 「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーー!?」


 傍から見て、俺に突き刺さった様に見えていた剣が、音を鳴らして地面に落ちた。そんな様子を見ていたエルフの女の子が、又も驚いて叫んだ。


 「もう! 邪魔だな! 話聞けないじゃん、かっ!!」


 質問がなかなか出来ず、少しイラッとした俺は、剣を拾い上げ、飛んできた方向に投げ返した。


 ビュンッ。


 ビュンッ。ビュンッ。ビュンッ。ビュンッ。


 「あれ?」


 俺が投げた剣は、ブーメランの様に、横に回転しながら予想よりはるか遠くに飛んでいく。


 バスンッ。


 ゴトッ。


 遠くで戦闘中だった猪の様な頭をした人、所謂オークと呼ばれる種族の首が飛んで落ちた。


 「・・・。」

 「・・・。」


 俺とエルフの女の子は、互いに声に出さず、見つめ合い沈黙する。


 戦闘中、そのシーンを見ていた者達も、驚愕のあまり戦闘を中断し、辺りがシーンと静まり返った。


 そんな、辺りが静寂に包まれた中で魁人だけは言葉を発する。


 「あっ、ねぇ君の名前は? 俺の名前は《黒峰魁人(くろみねかいと)》。 よろしくね、エルフの君!」


 俺はニコッと笑顔を浮かべてエルフの女の子に聞いてみた。


 「えぇぇぇぇぇぇー!? この状況で自己紹介!?」


 エルフの女の子は、先程とは別の意味で驚いた声を上げる。


 「タイミング位考えなさいよ!?」


 魁人の堂々たる態度にエルフの女の子は思わず突っ込んだ。


 「はぁ・・。 はぁ・・。 はぁ・・。」


 さっきから驚き続けているエルフの女の子は、息も絶え絶えになっている。


 俺は笑顔を崩さず、ニコニコしたままエルフの女の子を見つめた。 


 「はぁ・・。 可愛い顔して、なかなか肝が据わってるね・・・キミは。 エメリィ。 《エメリィ=トワイライト》よ。」


 困ったような笑みを浮かべながら、エメリィはそう答えた。


 「よろしくっ。 エメリィ!! 俺は魁人って呼んでくれて良いからね。」


 俺はニコニコしながらそう言った。


 「分かった。 カイトね。」


 エメリィも笑顔でそう返してきてくれた。


 「・・・。」


 「じゃっなーーい!」


 「そんなことよりカイト! あの森に逃げるわよ!! 付いてきて!」


 慌てた様にエメリィは俺の手を取り、《トワイライトの森》に向かって走り出した。


 これが魁人と《エメリィ=トワイライト》との初めての出会いなのであった。 

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