第19話 プロポーズ
この回では実際の法律とは異なる設定の事柄が出て来ます。なお、この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありませんのでご注意下さい。
「さて・・・これからの事だけど、俺は君達を捕まえる気は無い。 ましてや殺してしまうなんて事も無い。」
「えっ!? い、良いんですか?」
クルルが俺の言葉に思わず聞いてきた。自分達の処遇がどうなるか余程心配だったのだろう。
「ただし、俺と一緒に《ルミリア大陸》に居る、迷惑を掛けてしまった各種族の長には、きちんと事情を話して謝りに行こう。 幸いなことに君達が主犯だって事は俺達しか知らない。 だから、オーク達を元に戻して黙ってれば問題は無いのかもしれない・・・。 けれど、2人は自分達がやってしまった事は、悪い事だって解ってるんだよね?」
「うん・・。」
「はい・・。」
ククルとクルルは、自分達がしてしまった事への罪悪感からか、俯いて返事をする。
「なら、今後2人が生きて行く上で、この先も後ろ暗い思いを持ったまま人生を送ったって、ちっとも楽しくないさ。 2人はこれまで大変だったんだ。 これからの人生までも大変だなんて割に合わない事があってたまるか。 だからちゃんと謝り終わったら、俺と一緒に楽しい物、楽しい事を見付ける旅に出ない?」
『え・・・?』
そんな魁人からの意外な言葉に、俯いていたククルとクルルは顔を上げる。
「俺は別の世界から来た人間だから、正直《ダークエルフ》だ! って言われても特に何とも思わない。 寧ろ会えて嬉しい位だ。 それにククルとクルルのその小麦色の肌なんて、健康的で綺麗じゃないか。」
『・・・。』
ククルとクルルは自分達を肯定してくれる魁人に驚きつつも、嬉しさで目尻に涙を溜めながら頬を染めている。
「だから俺は種族で善し悪しを決めない。 個人個人で判断する。 それで相手と合わないなら嫌いになる事もあるかもしれないけどね。 だから種族であいつらは悪い奴らだと決めつけて、2人を排除しようとする者から俺が君らを守る! そして幸せにしてみせる! だから安心して?」
『へぅ!?』
「カ、カイト・・・あんた・・・。」
「・・・・。」
ククルとクルルは変な声を上げ、湯気が出てきそうな程顔を真っ赤に染める。また、その傍らではルビアルカが呆気に取られた表情をし、エメリィは口をパクパクさせて驚愕の表情をしている。
「あ、あれ? 俺何か・・・まずい事・・・言った?」
俺は皆の反応がおかしい事には気づいたが、理由がよく分からなかった。
「カカカカッ、カイトがっ、プッ、プロポーズしたーーーーー!? 少女に! しかも2人同時にー!!」
どうやらその理由を問わなくとも、驚愕しながら大声で叫んでいるエメリィが教えてくれた。
「へ!? プ、プロポーズなんて俺はして・・・」
(幸せにしてみせる! 幸せにしてみせる! 幸せにしてみせる!)
そう答えようとしたが、俺の頭には先ほどのククルとクルルへ言った言葉の1つが反響されていた。
「はっ!! してた!!」
理由に気づいた俺は、思わず声を上げる。
「えー、あー、えーっと・・・、この世界では結婚って何歳から? エメリィ・・・。」
ククルとクルルは見た目が割と小柄なため、少々年齢的に不安になった俺は、エメリィに決まりを聞いてみた。
「国とか大陸とかで若干違ったりするけど、結婚できる基本的な年齢は14歳以上よ、カイト。」
エメリィは俺からのそんな質問に、丁寧に答えてくれた。
「ククルとクルルは・・・、今・・・、何歳・・・かな?」
『じゅ、15歳です・・・。 カ、カイトさん・・・。』
俺は動揺を隠せないままククルとクルルに聞いてみたが、2人は照れながらも自分達の年齢を同時に答えてくれた。
「ふぅ・・・良かった・・・。」
俺は安堵のため息を突く。
「ククルとクルル。 こちらに居るエメリィとルビアルカみたいに嫁候補としてでも良い。 未だ良く知りもしない俺の嫁候補っていきなり言われても困るのなら、義理の兄妹とか、普通に友達とかでも良い。 俺と一緒にこの世界で楽しく生きよう!」
こうして、魁人は改めて自身の気持ちを言葉に込め、ククルとクルルの2人に伝えるのであった。




