第18話 ダークエルフの双子
「えぇっと、君達は何でこんな事してるのかな? 良かったら理由を教えてくれない?」
エメリィからの無茶振りから気を取り直した俺は、今出来る精一杯の笑顔で、2人の《ダークエルフ》の姉妹に理由を聞いてみた。
「そんなの見て分からないの? 私達が《ダークエルフ》だって事が理由の証明よ!」
2人の《ダークエルフ》、その姉の方が、悲痛な面持ちで言葉を絞り出してくる。
《ダークエルフ》はエメリィ達 《エルフ》と外見はほとんど一緒だ。ただ、肌の色が人が日焼けした後の様な小麦色をしているのが特徴である。
「エメリィ、何か知ってる?」
この世界に来て未だ間もない俺では分からない事ではあったが、もしかしたらエルフであるエメリィなら、何か事情が分かるのではと思い、そう聞いてみた。
「ええ・・・。 《ダークエルフ》は元々そう生まれてくる人も居るけど、《エルフ》だった人達が、故郷から追放される事で、光の魔力より、闇の魔力が強くなってしまって肌の色が黒くなるって、お母さまが言っていたわ。 だからこの姉妹もそれが関係してるんじゃないかしら・・・。」
エメリィは話しずらそうにしながらも、俺の問いに答えてくれた。
「そっか・・・。 ありがとう、エメリィ・・・。」
俺はエメリィにお礼を言った後、ダークエルフの姉妹に近づき、2人の視線に合わせて正面にしゃがみ込み、真剣な表情をする。
「これからきちんと君達の話を聞いて、どうするか決めたい。 君たちに何が遭ったのか話してくれる?」
「分かった・・・。」
魁人の真摯な態度にダークエルフの姉妹は閉ざしている心を少しばかり開いた様だ。
「私達双子が生まれて間もない頃、私達姉妹とお父さんと・・・お母さんの4人・・・。 お父さん達から理由は聞いていない、聞け無かったからから分からない・・・けれどエルフの里を追放されたの・・・。 その時に肌もこんな黒くなっちゃった・・・。」
「それに、《ダークエルフ》が落ち着いて住める場所ってほとんど無くて・・・。 こんな見た目だから、すぐ《ダークエルフ》だって事がばれちゃって、住む場所を転々としながら家族と一緒に生活していくしかなかったの・・・。 バレた・・・時はたくさん虐められちゃった。」
「けどお父さんとお母さんに《クルル》、あっ妹の名前なんだけどね。 ちなみに私は《ククル》。 家族が居てくれたからしんどくてもまだ楽しかった・・・。 お父さんとお母さんが死んじゃうまでは・・・。」
ククルは時々言葉に詰まりながらも、これまでの経緯を話してくれる。
「もうお父さんもお母さんも居ないから・・・、今度はクルルと2人だけで住む場所を転々としながらの生活。 そしてこの《ルミリア大陸》に来た時、エルフの住む場所があるって聞いたの。 これまで私達が嫌な思いをしてきたのが、私達家族を追放したエルフのせいだって思ったら、憎しみが沸々と沸いてきて、それで居ても立っても居られなくなって・・・。 オーク達を使って襲わせようと・・・思っちゃった・・・の・・・。」
最後まで自分達の過去を話してくれたククル。オーク達を使ってエルフを襲った事については罪悪感がちゃんとあるのか、声が尻窄みになっていた。
「最後まで話してくれてありがとう、ククル。 2人ともこれまでよく頑張ったね。」
俺は背筋を伸ばしてきちんと立ち、笑顔で2人の頭を優しく撫でてあげる。
『ふぇっ、うえぇぇぇぇぇぇん!』
そう魁人に言われ、優しく頭を撫でられたダークエルフの双子の姉妹は、これまで溜め込んでいたものを吐き出すように泣きじゃくった。
『すんすんっ・・・。』
「よしよし。」
こうしてしばらくの間、魁人は2人が泣き止むまで腕の中に抱き寄せ、背中を擦ってあげるのであった。




