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第13話 出発の日

 『カイトー! 気を付けてね~!』


 先日、俺を見物に来ていた若いエルフの女性達が、俺が調査に行くことを聞きつけ、送り出そうと門の近くまで来てくれた。


 「エメリィ~! 必ずカイトを守りなさいよ~!!」


 その中の1人がそんな事を言ってきた。


 「えっ!? まさか私が守る方!?」


 若いエルフの女性の1人が、冗談半分で言ったことではあるものの、魁人の強さを目の当たりにしているエメリィだからこそ、そう言われたことに驚きを露わにしてしまう。


 「ははっ。 送りに来てくれてありがとう皆! エメリィと一緒に必ず原因を見付けて、無事に帰ってくるから待ってて!」

 「それと、これは送りに来てくれたお礼!」


 俺はそう言って腕を前に出し、掌を上に向けて集中を始める。


 「・・・。」


 キィィィィィィン。


 魁人の掌から少し離れた空間上に魔力が集中し、黒っぽい小さな球体が複数個出現する。


 「カカカカカ、カイト!? そそ、その魔法って!?」

 

 それを見ていたエメリィは、かなり動揺しながら俺に聞いてきた。


 「はぁっ!」


 エメリィの問い掛けにあえて答えずニコッと笑った俺は、気合いを込めて黒っぽい小さな球体を順次上空へ放っていく。


 ヒュ~ンッ。 ヒュンッ。 ヒュンッ。


 「キャッー!」


 これから起こるであろう惨状を想像したのか、エメリィは悲鳴を上げて頭を抱えしゃがみ込む。


 パーンッ。 ポンッ。 パーンッ。


 魁人が放った魔法は空中で音を鳴らして破裂し、カラフルな花の様な軌跡を残してスゥーと消えた。


 『キレー!』


 それを見ていたエルフの皆が感嘆の声を上げた。


 「え? 嘘?」


 その声につられてエメリィも立ち上がり、上空を見上げる。


 ヒュ~ンッ。 ヒュンッ。 ヒュンッ。


 パーンッ。 ポンッ。 パーンッ。


 「・・・。」


 それを見たエメリィは言葉を発さず感動し、空中に咲くカラフルな花の様子を見つめ続ける。


 「どう? 驚いたエメリィ?」


 そんなエメリィの様子に、俺は嬉しくなり声を掛ける。


 「うん・・・。 カイト・・・。 すごく綺麗・・・。」


 いつも元気なエメリィが、この時ばかりは口数少なく素直にそう言ってきた。


 「これは、俺の国の伝統的な芸術の一つ。 花火を模した魔法なんだ。 本当は夜にやるともっと綺麗なんだけどね。 2人で無事に帰ってきたら、今度は夜に見せるよ。」


 俺はエメリィの肩を抱き寄せながら、約束の言葉を伝える。


 「うん。 ありがとう、カイト。 楽しみだなぁ・・・。」


 花火のサプライズは、エメリィの心にとても響いた様で、しおらしく俺にそう言ってきた。


 『あーーーっ! エメリィが抜け駆けしてるー!』


 花火が終わった時、ふとこちらを見た数人の若いエルフの女性達が、同時に声を上げた。


 『へっ!?』


 皆からの声に、俺とエメリィは驚きの顔を見せた。


 『私達も!!』


 そんな声を上げ、魁人とエメリィを送りに来ていた若いエルフの女性達が、一斉に駆け寄ってくる。


 「エメリィ! 行こう!」


 そう言った俺は、サッとエメリィの背と両膝の裏に手を当てて抱き上げる。所謂お姫様抱っこをして駆け出していく。


 『あーーーーー!!』

 「皆! 行ってきまーす!!」

 「うっ、嬉し過ぎて鼻血出そう・・・。」


 2人のお姫様抱っこを見て叫びながら駆け寄ってくる若いエルフの女性達。そんな皆にエメリィを抱きかかえながら挨拶をして駆けていく魁人。嬉しさのあまり興奮して鼻血を出しそうなエメリィ。2人の調査への旅は面白可笑しく逃げ出す様にして始まるのだった。

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