第10話 魔力と魔法(1)
「さて! 気を取り直して、今日は魔法の特訓をしましょうか! カ・イ・ト・さ・んっ!」
前日、魁人に抱擁を避けられたエメリィは、少し拗ねた様にそう言った。
「ごめんごめん、エメリィ。 エメリィにさん付けで名前呼ばれると、何だかちょっと悲しくなった・・・。」
俺はエメリィにさん付けで呼ばれた事が、思いの外ショックだった為に、素直に謝罪する事にした。
「ふ、ふ~ん・・。 そうなんだ~。 カイトさんてばさん付けで呼ばれると、悲しくなっちゃうんだ~。 ふふっ。」
エメリィは魁人に外方を向いて言っていたが、その顔は嬉しさでニヤけていた。
「あっ、もし魔法が上手く使えたら・・・。 もしかしたら嬉しさのあまり抱き付いちゃうかもなぁ~。 エメリィに。」
早く仲直りしたかったため、俺は釣り餌を撒くことにした。
「さぁカイト! 何してるの! 早速特訓よ! あそこの大きな池の畔に早く行くわよ! さぁ!!」
どうやら俺が狙っていた獲物は見事に釣れた様だ。
「ふふっ。 分かった! 今行くよ。」
俺はエメリィの様子を微笑ましく思い、笑みを零してエメリィの下へ向かった。
「改めて、魔法の特訓を始めます! 先ず最初にやる事、それは自身の魔力の種類の把握。」
「魔力と言っても、人によって持っているものは、それぞれ大きさや属性が違うんだよ。 ただ、例外として、同じ種族や家族であれば、魔力の系統が同じものになったり、双子とかだったら、魔力の大きさが同じになったりすることもあるからね。 例えば、エルフだったら木系の魔力が高い、とかね。」
「へ~。 他にどんな種類があるの?」
俺はここで聞きたい事が出来、少し口を挟む。
「魔力は大まかに分けて水、火、金、木、土の5種類。 それと光、闇、風の3種類があって、他には稀に、特異系の魔力を持ってる人もいるみたい。」
「ただ、高いと言ったように、他の魔力が全くないわけじゃないの。 もちろんこれにも例外があるけどね。 例えば・・・、そうね。」
エメリィは、これから魔法に関して何かをしてくれようとしているのか、腕を組んで思案している。
「よし! カイト、見ててね!」
そう言ったエメリィは、組んでいた腕を解き、近くに立っている木を見て集中を始めた様だ。
「ウッドアロー!!」
エメリィがそう叫んだ。
キィーンッ。
ビュンッ。
ドスッ!
木製の矢が空中で生成され、エメリィが見ていたであろう木に突き刺さった。
「おぉ~!」
俺はエメリィが放った魔法に、素直に驚く。
「これは木と風の魔力を合わせた魔法ね。 私はエルフで木の魔力を持っているけど、お母さまは木と風の魔力が高かったから、私にも風の魔力が少なからずあるの。 だから木の魔力で木製の矢を生成して風の魔力でそれを飛ばした、ってわけね。」
説明を兼ねて実演してくれたエミリィが話を終える。
「おぉ~! すごく分かりやすかったよ! ありがとうエメリィ。」
そう言った俺は、エメリィの頭を優しく撫でてお礼を言った。
「えへへ~。 じゃあ、とりあえずカイトの魔力の属性を調べてみようよ。」
エメリィは頭を撫でられて、嬉しそうな顔で言ってきた。
「調べ方は簡単。 カイトは目を閉じたら呼吸を整えて集中しててね。 最初だけ魔力を感じられやすくするために、私が魔法を少しだけカイトの掌に当てるから。 それに反応して頭の中に浮かんできたものが、カイトが持っている魔力だよ。」
「分かった。 よろしく頼む、エメリィ。」
俺はエメリィの手を取り、目を閉じた。
「いくよっ! カイト!」
「やっ!!」
エメリィは俺に合図を送り、掌に魔法を当ててきた。
「んっ。 これが俺の魔力・・・なの、か?」
掌に何かが当たった感触があった後、いくつかの魔力を示すものが、魁人の頭に浮かんだのであった。




