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ジジイと幼女と神様

「という事は、ワシは0歳児ということなのかのう。」


ジブイ重低音が空間に響く。

推定70歳越えのジジイフェイスで無邪気に聞いてくる。

「・・・いや、流石に私ら成人は超えていたんじゃない?」

眉をひそめながら断片的な記憶から判断する幼女。

「というか、オイ急にキャラ付けしてきたなこのジジイ。」

自問自答というべきなのか、ジト目で呆れながら幼女が言う。

「大人というのはのぅ、誰かを演じ続けて初めて大人になるものなんじゃよ。(ニッカリ)」

「うわぁ・・・本当の自分が何歳なのかとか性別とかすら分からないのにジジイ面を押し付けてきたよ、このジジイ・・・。」

実際問題、「本当の自分」というものが本当におぼろげだ。

性別すら分からないとなると今の自分が性転換しているのかすら不明だ。


「まぁ幼女のワシよ、そう深く考えるでない。重要じゃぞ、なりきりは。どうせ本当の自分とか分かっても実感なんて湧かないだろうし。今から自分でキャラ作っていこうじゃないかい!」

「ふぅーむ・・・まぁ、一理ある。」

あっけらかんに言うジジイ。思考放棄に近いが否定できない程度に合理的だと幼女も思った。腕を組んで静かに考える。確かに断片的な記憶を探ると昔の自分っぽい記憶がある。でも、それはテレビ画面に映る他人事のように再生される。自分の根っこの部分が他人だ、と訴えかけるのだ。


「それに幼女と一緒に一人称が私だと、そのギャップが・・・キツイ。」

「あー、確かに・・・じゃあ、私も変えるか・・・うーん、幼女だし・・・アタイかな。」

「・・・・・・ワシ、良いとおもうぞい。」

「おい、ジジイ。今バカっぽいから良いと思っただろ。思考共有しているからバレバレだぞ。あぁん!」

「こうゆう時面倒じゃのう・・・」

いやいのやいの言い合っている最中、神様はこちらを蚊帳の外にて呆れ顔で見ている。


「いや、お前さん達はホント仲がよいの・・・」

信じられない感情を通り越して呆れているような表情だ。

「・・・・・・いや、自分だし当然じゃないかの?」

ジジイは神様の方を見ず、適当に言う。

「いや、そんな事は無いと思うのじゃが・・・。余はお前さん達以外に1つの人格を2つに分けるといった事をした事はありゃせん。よって推測に過ぎないが、所謂『同属嫌悪』みたいな状態に陥り、中々上手くはいかないと思うんじゃ。だが、お前さん達は記憶の大半を失っているため、さほど反発が無い状態なんじゃと思う。」

俯きながらポツリポツリと推理を語っていく。

それを見ながら幼女が問う。


「・・・てゆうか、ジジイ、アタイ神様の名前知らないんだけど。」

「あ、この話、興味なんじゃな・・・お前さん達は本当にのんきですねぇ・・・・ブツブツ・・・」

さほど興味ないのか、折角の神様の解説をスルーする二人。

「・・・名前、かの・・・そうさな。余に名前はないんじゃ・・・。」

なんとも言えない複雑な表情で語る。

「時々名前を勝手に呼ばれたりすることはあったが、基本的に必要が無い。だから名前は無いんじゃ。」

「・・・・・・でも、さっきから思っていたのじゃが呼びづらいのじゃ。必要じゃな。」

「ではでは、アタイが勝手につけてあげようかな!」

「いや・・・いいです。結構です。」

「神様だがらゴッド・・・後藤・・・神児童・・・神路、導・・・うーん」

「あぁ、もう聞いてないの。これ。」

あれこれとジジイと幼女が検討しあう。


「その前に、お前さんや」

だが、神様は二人が今まで気付いて無い点があると気付いている。


「お前さんたちの名前はどうするんじゃ?」


「「・・・・・・・・・あ。」」


一瞬の空白の後に素の声が漏れる。本当に気付いてなかったようだ。

「・・・どう、するアタイよ」

「・・・どう、なのんよワシよ?」

やっぱりと呟きながら神様は呆れている。

「一応、お前さんのスキルによって名前は変える事はできる。だが、名前は早々変えられるものじゃないじゃよ。周りが自分を認識しているほど名前は変えずらくなるじゃろう。」


「「・・・スキル・・・?」」

「ああもう!面倒じゃの!とにかく使ってみるがよい!」


そもそも余が下界の者と長く接触するのはあんまり良くないんじゃ!とか言いながら丁寧に色々と教えてくれた。優しい流石神ですね、優しい。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


どうやらスキルにも色々在るらしい。

主に4種類。

1、生まれ付いて既にある『先天性』のスキル。

2、環境や事故によって発生した『後天性』なスキル。

3、職業や学習による後付の『技術的』なスキル。

4、上記のモノを合わせた『複合的』なスキル。

これとは別に個々に「選択」(ヴァール)というモノがあるらしい。

その人自体の『方向性』を現す事らしい。

それはその人が心に決めている事であったり、戒めであったり、個々に大切だと思っている事らしい。

その気持ちや行動がスキルにも強く反映され、スキルの習熟に関わってくる。

例えば同じ軽戦士であっても「仲間を守る」という選択と「速く敵をしとめる」という選択ではぜんぜん違うスキルを覚える事になる。


ちなみに私の「やり直し」や「ステータス化」は①に当たる。

まぁ、詳しい内容は後にして、神様に教えて貰った通りにステータス化のスキルを使って自身のステータスを数値化していく。

以下が私の能力になる。


―――――――――――――――――――――――

名前:ナナシ

性別:女

種族:人間

職業:

STR():10

AGI(敏捷):10

VIT(耐性):10

INT(知力):10

DEX(器用):10

LUK():10

選択(ヴァール):怠惰

スキル:やり直し〔自己分解・収束・構成〕・ステータス化〔万物数値化・他能力補佐〕・感覚共有・理性強化

―――――――――――――――――――――――

名前:ゴンベエ

性別:男

種族:人間

職業:

STR():10

AGI(敏捷):10

VIT(耐性):10

INT(知力):10

DEX(器用):10

LUK():10

選択(ヴァール):怠惰

スキル:やり直し〔自己分解・収束・構成〕・ステータス化〔万物数値化・他能力補佐〕・感覚共有・理性強化

―――――――――――――――――――――――


「まぁ、アタイとしては色々と言いたいことはあるんだけどさ・・・」

「うむ、そうじゃの・・・でもまぁ・・・」


「「・・・・・・選択が、怠惰って・・・・・・」」


遠い眼をした幼女とジジイが虚空を見つめる。

「まぁ、あまり気にするでない。言ったであろう?選択(ヴァール)というものはの、この世界特有の方向性程度のモノだと。占術師などが個々の得意なものを判別する時に見るものじゃ。得意、不得意程度の物で特に強いしがらみで無ければ気にするでないぞ。」

ブツブツと二人とも俯いて神様の話を聞いているんだか聞いていないんだか虚ろだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「・・・そうさな。そろそろ潮時かの。」

「・・・・・・、どうしたの神様?」

今までの朗らかな雰囲気が消え、急に真面目な顔になった神様。

「いや、そろそろちゅーとりあるも十分じゃろう。しばしの間お暇するかの。」

「・・・、そう、か・・・ねぇ神様。一つ聞いていい?」

幼女が俯いた顔を上げ、初めてかもしれないほど真摯に神様を見つめてきた。

思えば、この二人は神様の目を見ようとしなかった。

それはきっと、二人が人見知りなのだからだったのかもしれない。

1人が好きで自分を2人にするような人間だ。

そんな二人が、今この瞬間に初めて真っ直ぐに目を見つめてきた。

微かな心の機微なのかもしれない。

でもその行動に神様は暖かい気持ちになった。

親心に似た気持ちなのだろうか。


「ああ、なんでも聞いてくれ。」

朗らかに聞いた。

そして・・・


「ナナシとゴンベエって名づけたの神様?・・・・・・ださ。」


笑顔から怒りがにじみ出て、親心は直ぐに消滅した。


「あのな・・・・っ!これは適当にやった訳で、余とて・・・っっ!」

「あー、悪いのう!これ幼女のワシ。お主の方が口が悪くてイカンのう!」

あわててジジイが幼女との間に入ってきた。

「違うんじゃ、ただ(自分)は名づけ親が知りたかっただけじゃ!・・・そうさの、別にワシらは自分で名前を付けても良かったんじゃが、出来れば神様に名前を貰いたかったんじゃ。だから、その照れ隠しというか、まぁ、ありがたくこの名前は貰っておこうかと思うんじゃ。」

「・・・え?」

ツーンとした態度で視線を外している幼女。

「いや、でもそれはどうじゃろう。余、相当適当に名づけたぞ?今だったら別の名前にできるぞい?」

「・・・別に名前なんてどうでもいいし・・・アタイはこれで、良い。」

「そう、かの・・・」

釈然としない表情ではあるが、嬉しさがにじみ出ていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「では、ナナシ、ゴンベエ。本当にそろそろ消えるとするの。」

「そうだ、最後にワシからもプレゼントさせておくれ。」

二人は特に聞いてはいないが、きっと神様は一度消えてしまったら魔力を貯めるため早々に会えなくなると気付いている。呼べばまた、現れてくると言っていたが少なくとも数日、数ヶ月、もしくは数年は合えなくなるのかも知れない。だからこそ、明確に聞き出せないのだ。この異世界にて初めて善意を持って接してくれた人物、親と言っても過言ではない。

「神様、貴方に感謝の意味をこめて名前を送りたい。」

ほう、と少しだけ驚いた表情になる神様。


「神様、いえ・・・・・・ミカさんと。」


ミカ・・・カミ・・・くくっ・・・と神様、ミカから笑みが零れる。

「そうか、そうだの。意趣返しか。うん、まぁ、いいだろう。私はこの世界でミカだ!」

足元から輝く粒子が立ちあがり、少しずつミカが消えてゆく。

「ミカさん、また(・・)・・・。」

「うむ、またの・・・」

・・・しゅばっ

音とともにミカは光の固まりとなり霧散していく。

二人は寂しげな顔をしながら見送った。

まぁ、もっとも死んだわけではない。

また、いつか会えるだろうと思いを馳せて。


「・・・あ、ミカさんにこの周辺の地理聞いておけば良かった・・・」

「・・・ワシ、お腹減ったんじゃが・・・どうしよう・・・」


感傷に浸った顔は見る影も無く、今は絶望によって顔は真っ青になっている。

前途多難を確定した二人であった。

読んで下さり有難うございます。

感想・意見・誤字脱字報告等受け付けております。


1話はいろいろとふわふわしている感じなので変更が多い予定。

もうちょっと小説っぽい書き方ができるように頑張りますね。

3話は今後の方針とか周辺についての話かと思います。

更新予定日は5月22日です。

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