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オレの忘れられない出来事。サイドストーリー、加藤 真美の気持ち。
私がアラタを気にし出したのは中学2年の春だった、体育館での全体朝礼でアラタは、クラスメートと二人、舞台でアカペラで歌を唄う姿でした。
私は人前に出るのが苦手で部活も入っていませんでした。
ある日、家に帰ろうと教室を出て音楽室の前に来るとトロムボーンを持ったアラタの姿が、……私は次の日からブラスバンド部に入部しました。
それから毎日練習の日々、……頑張って発表会の時アラタの隣で演奏出来た。演奏が終ったあとアラタが「先輩、お疲れ様です。とても良かったですよ」……私は「ありがとう」と、返すのが精一杯だった。
そして3年に進級、当然新入部員も入ってくる。アラタは新入部員のみんなに優しく、1年の女子部員はアラタに積極的に話し掛ける、私はそれを羨ましそうに見るだけだ、ーーアラタ、私に声を掛けてーー、当然、声に出せないので私にアラタが声を掛けて来ることは無い。
さらに、新入部員がアラタの隣に入り、私はアラタとの距離が更に遠くなった……最悪だ。
私はまた元気を無くし、自分のカラに閉じ籠もる事が多くなった。