プロローグ
雨がしとしと降っている
ここは何年も前に寂れ既に誰も居ない町
傘も差さずに歩く少女と
彼女から鼠の如く逃げ惑う男を除いて
少女の名はロリー
歳は14歳位
背丈は170cm位で年齢より年上に見える
黒々としたゴスロリのドレスを纏い
腰まである澄み切った金髪を波打たせる
恐ろしく整った容姿の彼女は
その手の者を好む人間にはとても魅力的だった
男の方は目深にフードを被り
背丈は低くもなく高くもなく
何の特徴も無い
男は息を切らし暗い雨の中を逃げ
ロリーはどこからともなく傘を取り出し
口元に笑みを浮かべ男の逃げる道を確実に歩いている
男はもう逃げられないと判断し
コートから双剣を取り出し構える
ロリーは男に追いつき
戦闘態勢に入った男を見てにっこり微笑んだ
「やっと殺される気になったんですか 感心しました」
「けっ!それが貴様の遺言になっぞ!今ここで土下座して謝れば
許してやらんこともないけどぉ?」
ロリーは括れた腰に手をやり、何か考えるとまたどこかから鎌を取り出した
しかもただの鎌では無く、鎖の付いた所謂鎖鎌という代物
鎖の両方に付いている鎌をロリーはヌンチャクの様に器用に振り回す
今度は左手で鎌右手で鎖の方を持ち投げ縄の様に頭の上でぐるぐると回す
パッと右手を離すと回っていた方の鎌が男の方に飛んだ
不意を突かれた男は動けずにいた
その男の頬に鎌がぶっすり突き刺さる
「え?」
すぐにロリーはもう片方の鎌も離した
まだ勢いのあった鎌は男の方の飛んでいく
すると鎖がぐるぐると男に巻きつき
最後に刺さっていない鎌が男の足首辺りに留め金のようにまた突き刺さった
「!!」
男は叫ぼうとしたが巻きついた鎖が猿轡の様になっている為声が出ない
ロリーは男に近寄る
「お造りにしてあげます」
そっと男に囁きフードを上げる
紅いマニキュアの長い爪で男の目尻を甘く引っかく
「瞼を剥いで・・・全部見られる様にしてあげる」
少し力を入れつうっと瞼のラインをなぞる
指先でその瞼を摘み上げるとぺロッと剥がれた
もう片方も同じようにした
その姿はなんともグロテスクだった
次はペンチを取り出す
指先を出させペンチで爪を挟み
慣れた手付きで生爪を剥ぐ
両手両足全ての爪を剥ぎ
爪の無くなった手を男の目の前に晒す
男は声にならない悲鳴をあげる
ロリーはクスッと笑う
ちょっとベタだが持ち歩いていた塩の瓶を出し男の足の指に掛けてみた
激痛に身を捩り逃げようとする男の姿につい口元が緩む
・・・次はどうしましょうか?
目を抉るとか(笑)
それじゃ見えなくなってつまんないか・・・
指先切り落とし?
あ でもせっかく爪取ったんだからやめとこ・・・
・・・首チョンパ・・・?
いやいや勿体無い勿体無い
やっぱ烏に任せるか・・・
ロリーは鎖を外し鎌を抜いた
栓だった鎌が抜け血がどっと吹き出す
男の使っていた双剣を拾い上げ男の腹に突き立てた
・・・死なない程度に。
ピッと20cmほど切り込み傷を開いた
男は何とか今まで立っていたが
ついに地面の泥濘に倒れた
血がだくだくと溢れているが狙ってやったので
致死量には至らないはず
ロリーは開いた所の皮膚を糸とピンで閉じないようにし
鎖鎌を拾い上げ立ち上がった
そしてその場を後にする
2、3羽の烏が降り立ち男を見つけた。
まだ生きている新鮮な人間。
烏は男の開いた腹部に嘴を突き立てた。
男が何か言ったが気にせず烏は内臓を啄ばみ続けた。
その光景を廃屋の屋根の上からロリーは見ていた
そして満足げに笑ったと思うと
どこか悲しげに「ハズレか」と呟いた
男の血涙は雨に混じり
少女と供に消えていった
御見苦しい作品で申し訳御座いません。
次回もありますので(多分・・・)宜しくお願い致します
ジャンルはホラーなんですが何か違うと思います(汗)