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Friends  作者: リョースケ
7/10

Six Friends〜鍵開け師〜

そこに居たのは工藤だった。

彰+宏『……………』

工藤『何かあったのか?』

突如現れた工藤を見て2人とも思考停止状態になってしまった。

美鈴『あ、工藤様。先ほどはありがとうございました。』

そんな2人に何事もなかったかの様に話しかける工藤。その工藤の姿を見てさっきのお礼を言う美鈴だった。

工藤『なぁに、礼を言われる程の事ではない。ところで上下コンビは何を銅像みたいに固まっている?』

2人の肩を叩きながら言いはなつ工藤。

彰『何故だか分かるか?』

それに、冷静を装いながら質問する。が、

工藤『質問に質問で返してくるとは、お前も地に堕ちたものだな、上条よ。』

彰『――――!』

あっさりと、しかも倍以上のダメージを誇る言葉が返ってきた。彰は声なき叫び声をあげた。

宏(彰 HP10 MP30

 宏 HP120 MP10

 工藤 HP999+EX MP999+EX

……てところか。)

今の状態をゲームのように考えている宏の出した結論は、

宏『逃げるだな…。彰、とりあえず落ち着け。工藤相手にフライパンじゃ勝ち目は無いぞ。それから工藤はそんなとこにつっ立ってないでこっちに座れ。』

いつの間にかさっき宏が持ってきたフライパンを持って、今にも工藤に襲いかかろうとしている彰をなだめながら、宏は工藤に座るように促した。

………………

…………

……

机を挟んで彰と宏、工藤と美鈴が向かい合っている。

彰『で、どうして……と言うか、どうやって俺の家の鍵をあけた?』

一応お金持ちの彰の家はそこそこセキュリティーはいいはずだった。

工藤『俺に開けられない鍵はない。百円均一の南京鍵から日本銀行の金庫までな。』

宏『実際に試した事があるのか?』

工藤『………』

宏の問いに答えず黙りこむ工藤だった……が!微かに笑みを浮かべていた。

彰(これ以上この話題を話すのは危険だな。)

そう判断した彰は話題を変えるために他の質問をした。

彰『まぁ…それはもういいとして、工藤はいつ俺達を追い抜いたんだ?』

工藤『追い抜いたとはどう言う意味だ?』

彰『いやだから、いつ俺達を追い抜いたんだよ。』

工藤『お前達など、追い抜いてなどいないが?』

会話がうまく噛み合わない。そこに、今まで黙っていた宏が口を開いた。

宏『彰、少し質問を変えるぞ。』

彰『ああ、分かった』

宏『工藤、お前いつ家の鍵を開けたんだ?』

工藤『今朝の6時45分36秒だが?』

彰『ちょっと待った!』

そこで彰が会話に割り込んできた。

彰『お前その時間にここに居たんだったら、どうして俺達よりも早く学校にいたんだ?』

工藤『何を言っているんだ上条。ここから学校まで最短ルートで行くと10分もかからんぞ。』

彰『し、知らなかった。』

宏『俺も。ま、これで全ての謎が解けたな。』

彰『まぁな。そう言えば美鈴。何でそんな朝早くに俺ん家に来たんだ?』

美鈴『えっあ、わ、私…ですか?』

今まで話に参加していなかったので、いきなり話しを振られて少し戸惑っていた。

彰『ああ、何でいきなり来たんだ?』

美鈴『えーとですね、実は明日から上条貴文(かみじょうたかふみ)様にお仕えする事になりまして、それを彰様にご報告をと思いまして。』

彰『なるほど。美鈴も一人前になったてことか。』

美鈴『はい。ですから家も近くなるのでよろしくお願いします。』

そう言うと、美鈴は座ったまま彰におじぎをした。

彰『おぅ!よろしくな、美鈴』

彰も挨拶をしたその時

宏『また俺達のことを忘れてるだろ?』

宏が会話に割り込んできた。

彰『再びすまん。』

宏『まぁいいけど、ところで上条貴文って誰?』

彰『貴文ってのは俺の叔父さんだ。親父の弟で……』

工藤『現在、上条財閥会長と同時に沢城コーポレーションの社長でもある人だ。』

彰『人のセリフとるなよ、てかなんでそんな事知ってんだよ!』

工藤『何を言っている上条。こんな事テレビを見ていればわかることであろう。』

彰『親族の情報なんて興味ないから。』

今まで黙って聞いていた工藤だったが、彰が油断した隙に台詞を奪う行動にでたのであった。

宏『ちょっといいか?工藤。』

工藤『なんだ、下条よ。』

何か引っかかるものがあったのか、宏は少し難しい顔をしていた。

宏『その貴文さんが上条財閥の会長ってのは分かるけど、なんで沢城コーポレーションの社長なんだ?名前が違うだろ。』

工藤『それは俺からではなく、上条からきいたほうがいいと思うが?』

そう言うと工藤は彰の方に顔を向けた。

彰『ああ、それはな、もともと沢城コーポレーションは沢城正隆(さわしろまさたか)つまり、俺の親父のものだったんだよ。それで、親父が事故で死んで急遽代わりに弟を社長にしたんだ、一時的にな。親父がもしもの時の為に書いた遺言書にそう書いてあったらしいから。』

宏『なんでお前の親父の名字が沢城なんだよ。お前は上条だろ?』

彰『両親が死んで身よりがいなくなった時に、叔父さんに引き取られたから、その時に俺の名字も沢城から上条に変わったんだよ。』

宏『って事は、お前の本名は沢城彰になるのか?』

彰『そう言うことだ。』

ようやく理解できたのか、宏はいつもの顔になり、そうだったのかと呟いたあと、座っていたソファーに寝そべった。

美鈴『あの〜、よろしいでしょうか?』

彰『ん?なんだ?』

美鈴『私そろそろ戻らないといけないので、今日はこれで失礼しますね。』

そう言うと美鈴は席を立ち、彰達に軽く会釈をすると玄関まで歩いて行った。それにつづいて彰と宏と工藤も玄関まで赴き美鈴を見送った。

工藤『さて、片桐殿も帰ったことだ。俺も帰るとするか。では、さらばだ上下コンビよ。』

その時、何故だか知らないが工藤の周りから煙りが立ち上り始め、完全に姿が隠れたと思うと、工藤はもうそこにはいなかった。

彰『さて、工藤も帰った事だし飯にでもするか。』

宏『そうだな。色々あって腹も減ったし。』

とは言うものの、時刻はまだ5時になったばかりだった。しかし、そんな事を気にせずに2人は夕御飯の準備を始めた。

…………………

……………

………

宏『あ〜、食った食った。ご馳走さん。』

彰『皿とかは流しに置いといてくれ。洗うから。』

宏『おぅ、悪いないつも。バイト出来るようになったらなんか飯奢ってやるな。』

彰『ははは、期待しないで待っていよう。』

会話をしながらも慣れた手つきで食器を洗っていき、あっと言う間に終わらせてしまった。

彰『よし、終わった。さぁて宏、ゲームでもするか?』

宏『いいだろ、今日こそ決着をつけてやる。』

彰『望むところだ。』

そう言いながら2人が始めたゲームは、今流行りの野球ゲームだった。先月に買ってから今日まで争ってきた2人の戦績は165試合165引き分け。しかも1試合を除いて、全てが0対0と言う驚異的な結果なのだ。そして今回も……

宏『チクショー!また引き分けかよ。』

彰『延長戦が30回までしかないのがこのゲームの痛いところだな。他は抜群にいいけどな。』

宏『全くだ。ここまでくるとギネスに登録出来るよな。』

その後も何度か勝負したのだが、結局引き分けと言う結果に終わった。


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