Three Friends〜8年前(2)〜
二人が出会ってから9ヶ月。彰とサクラが小学校1年生最後の春休みに入っていた。ある日、彰は思いも選らない事を父親から聞いた。
彰『えっ?…今、なんて言ったの?』
彰は父親の言った言葉を信じられなくて、いや…信じたくなくて聞き返した。その言葉を静かな声で、何故か顔がにやけながら父親はさっき言ったセリフを繰り返した。
父親『だからな、最近彰がよく遊んでいる《サクラ》って子が死んだんだよ。』
彰『どうして……』
父親『さぁ〜どうしてだろ?お父さんもそこまでは知らないな。』
彰『そんな……』
父親『まぁ、これでようやく勉強に集中できるようになったな。』
彰『……』
父親『そう言う事だから彰。そんな所につっ立ってないで勉強しなさい。』
彰『…………』
父親『彰?』
父親の冷たい言葉を聞いて何を思ったのか、彰は急に外に飛び出し何処かに向かって一目散に走っていった。
彰(ウソだ。絶対ウソだ。サクラが死んだなんて……きっとお父さんは俺に勉強させたいからそんなウソをついているんだ。そうだ…そうに違いない!)
そんな事を考えながら向かった先は、サクラと初めて会った公園だった。
彰『いつもなら、もう来てる時間だけど…きっと遅れてるだけだよな。』
しかし、30分まっても1時間待ってもサクラは来なかった。彰はきっと風邪でもひいて寝込んでいるのだと思い込んだ。けれど、次の日もその次の日も待ってもサクラは来なかった。更には春休みが終わって学校に行ったらなんと、全てのクラス表を見たが《サクラ》の名前はなかった。
彰〔それ以来、俺はサクラと会うことはなかった。そしてその1年後に俺の両親は交通事故で死んだ。それから俺はあの家で一人暮らしをしていたんだ…お前が来るまではな、〕
宏〔へぇ〜、そんな事が有ったんだ。今まで聞いたこと無かったから知らなかった。〕
工藤〔ふむ、貴重な体験談を聞かせてもらった。〕
宏〔それでさ、なんでさっき桜が教室に入ってきたとき驚いてたんだ?あの時はまだ名前知らなかっただろ?〕
彰〔いや、名前じゃなくて顔が似てたから。しかも名前まで一緒なんてな。正直心臓が止まるかとおもったよ。〕
工藤〔時に上条。彼は…お前の言うサクラは転入生の桜と同一人物なのか?〕
彰〔それは無いと思う。サクラは何年も前に死んだし。それに、あいつがサクラなら俺を見たら何か反応するはずだから。〕
宏〔ふぅ〜ん。じゃあ桜は他人のそら似なんだ。〕
彰〔そう言う事だ。…ところで、まだ校長の話し終んねぇのかよ!長すぎだろ。聞くの面倒くせぇ〕
宏〔そうだな…って言った途端に終わったみたいだぜ。〕
校長先生が話しを終えて礼をした。そして入学式の司会が次のプログラムを言った。
司会『校長先生ありがとうございました。次は、新入生の挨拶です。柏原君お願いします。』
彰(早く終わってくれ)
…………………
……………
………
…
彰『ふぅ。やっと終わった。面倒くさかったな。』
宏『ああ、これで後は昼飯食って午後の新入生歓迎パーティーが終われば終了ってとこかな。』
彰『そうだな。ところで宏・工藤。今日の昼飯どこで食う?学食にするか購買部で買うかのどちらかだが…』
宏『朝メシ抜きだったからな、量の多い方がいいだろ。』
彰『工藤は?』
工藤『ふむ、今日は入学式があったから学食のメニューに《1日限定チラシ寿司定食》と言うのがあるらしいぞ?』
彰『それはが学食でいいと言ってるんだな?』
工藤『そう言う事だ。』
宏『そうと決まったらこんな所で話してないでさっさと行こうぜ?』
彰『それもそうだな。さすがに腹も減ったし……急ぐか。』
宏『おう。』
とりあえず今日の昼食を学食にすることに決めた3人は食堂へと走っていった。
彰『…こうなるとは思ってたけど……、やっぱりな。』
3人が食堂に着いた頃には、食券販売機の前に長蛇の列が出来ていた。しかも、ほとんどの席に人が座っていて3人だけで座れる所が無かった。
宏『仕方がない。俺と工藤で相席でもいいから3人分の席を探して確保しておくから、彰は食券を3人分買っといてくれ。』
彰『分かった。それで二人とも、何にする?』
宏『俺はいつもどうりで、工藤は?』
そう言って宏が振り返るとさっきまでいたはずの工藤の姿が無かった。
宏『あれ?あいつどこいった?………って、居たし。』
工藤はすでに10メートルくらい離れたところで席を探していた。
宏『しょうがない。あいつにはチラシ寿司定食と飲み屋と後は適当に買って来てやれ。』
彰『了解。じゃあ頑張って来い。』
宏『おう、それじゃあ早く並んでおけよ。』
そう言うと宏は人混みの中かをくぐりぬけて工藤の方に消えていった。それを見届けると彰も食券販売機の長蛇の列に入っていった。
―10分後―
彰(やっと買えたな。後はあいつらを探して券を渡すだけだけど……、あいつらどこいった?)
かなりの時間を使って買った食券を握りながら人混みの中を右往左往していると、後ろの方から呼ばれた気がした。
*『ぁ……ら…』
彰(?)
振り返るとそこには、宏が大きく手を振りながら彰を呼んでいた。
宏『彰〜。こっちだ。』
彰『分かった。』
再び人混みのをかきわけて、彰は宏と工藤のところまでたどりついた。
彰『すまんな。遅れちま………えっ!』
驚いた彰の目の前に居たのは―――――