Two Friends〜8年前(1)〜
彰『おっお前は‥‥まさか!』
転入生『?僕がどうかしましたか?』
彰『いや…、まさか…そんなはずない……。』
担任『どうした?上条。ちゃんと席に座りなさい。』
彰『‥‥‥』
担任『座りなさい!』
彰『ハイ』
彰が椅子に座ったのを確認すると転入生は自己紹介を始めた。
担任『この子が今話した転入生の木下桜君だ。仲良くしてやってくれ。』
木下『木下桜です。アメリカから来ました。なので、あまり日本語が上手く使えないので間違っていたら教えて下さい。これからよろしくお願いします。』
軽く自己紹介をしたあとに小さくお辞儀をした。その後に先生が木下の席を決めた。
担任『じゃあ木下君はあそこの席に座ってもらおうか。』
と言って空いている席を指差した。その席は彰の右隣りだった。
木下『分かりました。』
そう言うと自分の机まで行き椅子に座った。そして、手に持っていたバックを机の横に掛けた。すると、木下の席の右隣りだった宏が話しかけたてきた。
宏〔俺の名前は下条宏。よしくな、木下。〕
木下〔サクラ…〕
宏〔ん?〕
木下〔僕の事は桜って呼んで下さい。〕
宏〔お、おう…、分かった。ところでさぁ、桜は何年間アメリカに居たんだ?〕
桜〔今年で丁度7年間居ましたよ。〕
宏〔へぇー、結構長い間居たんだ。〕
桜〔そうですね…、ところで僕の左隣に座っている人は誰ですか?〕
そう言うと桜はチラリと彰の方を見た。
宏〔あぁ、あいつは彰。上条彰って言うんだ。〕
桜〔上条‥彰…君か。〕
宏〔どうかしたか?〕
桜〔いえ、なんでもありません。〕
………………
…………
……
―入学式―
全校生徒が体育館に集められ椅子に座って新入生の入場を見ていた。入場が終わると校長先生が舞台の上に立ち、新入生への挨拶を始めた。校長『えー新入生のみなさん、こんにちは。みなさんにとっては中学校と言う所は、まだ慣れない場所でしょうが1日でも早く慣れる為には…………』
彰(あの話し聞くの3回目だ…あの校長はよくおなじことを何回も言えるよな‥‥‥あー面倒せぇ。)
彰がそんな事を考えていると、横から宏が話し掛けて来た。
宏〔なぁ彰。さっきはどうしたんだ?〕
彰〔さっきって?〕
宏〔とぼけるなよ。さっき桜が教室に入って来たときの事だよ〕
彰〔ああ、あれね。〕
宏〔いったいどうしたんだ?〕
工藤〔ふむ。俺も気になるな。〕
彰〔………〕
宏〔………〕
彰+宏(どっからわいて出てきた!)
彰と宏が話しているといつの間にか工藤が会話に乱入してきた。
工藤〔どうした?二人とも。〕
宏〔いや、なんでもない。で、彰?どうしたんだ?〕
彰〔ああ、あれはな今から8年前の事になる。俺の両親は大企業の社長でな、俺を跡取りにしたいらしく小さい頃から勉強ばかりやらされてた。当然そんな俺には友達なんて居なかった。そんなある日、俺は勉強部屋を抜け出して近所の公園に行った時にあいつに出会ったんだ……〕
―8年前―
*『ヒック‥ヒッグ…』
彰『おい。』
*『うっうヒッグ…』
彰『おい!』
*『うっう…グスン』
彰『あーもう面倒くさい。泣いてたって分からないだろ。』
*『ごめん…なさい』
彰『謝らなくてもいいから。どうしたんだ?』
*『友達が…いな…い‥の。』
彰の前には小さく蹲って泣いている男の子がいた。歳は自分と同じくらいだったのでとりあえず話しかけた彰だったが男の子の言葉は泣いているせいで途切れ途切れでわかりずらかった。
彰『何?友達がどうしたって?』
*『うっうだから…友達が…いない。』
彰『あ゛ーもーいらいらする!いい加減泣くのは止めろ!』
*『だっ…て』
彰『だってもクソもあるか。そんなに友達が欲しいならこれからずっと俺が友達になってやる。』
*『本当にずっと?』
彰『ああ、本当だ。』
*『ありがとう……』
彰『ところでお前の名前はなんて言うんだ?』
*『僕の名前は…サクラ。』
彰『サクラか。俺は彰だ。俺達はこれから友達だ。』
サクラ『うん。ずっとずっと友達だよ!』
そういったサクラの顔は泣いてた時と比べて100倍輝いていると、その時彰は感じていた。
彰〔それでな、次の日にそいつが転入して来たんだ。後で話を聞いたら転校して友達に会えなくなって寂しくて泣いてたって言ってたんだ。〕
宏〔へぇー、面倒くさがりのお前も昔は優しかったんだな〕
彰〔まぁな。それでな、まだこの話しには続きが有ってな。あれはサクラが転入して来てから1年がたとうとした時だった………〕
彰は遠くを見つめる様な目で話し始めた。