ぼくたち(前編)
「おいクズども、4人で婚約しているのか」
「今日はホモの乱交会か?おまえちんこ立ってるぞ、ホモめが」
これがいつものおれたちの登校の様子。俺たち4人組はなんらかの糸でつながっている。いや4人でひとつなのかもしれない。自分の名前は當間という。あえて下の名前はふせさせてもらうが、そこらへんは許してくれ。
一人目がおれで、二人目がなんにでも関心をもち、S・キングを崇拝しているばかなやつ仲本だ。毎日のようにS・キング作品について批評してくる。「シャイニング」の話は100回以上も聞いた。だけど全然面白さが伝わってこない。いちどレンタルして見たが途中で飽きてその日に帰してしまった。
三人目は気が弱い金城。一度4人で深夜はいかいしようとなった時、金城は、「おねがいします、深夜はいかいだけは許してください」といって泣きながら、地面に倒れこんでしまった。もともと太っていた金城の倒れ姿をみて俺たち三人は金城のことを「曙」とよびようになった。本人自体は気に入った様子だった。なんか日本人って感じがするとかで・・・四人目は金持ちぼちゃんの太田君だ。彼の父親は上場企業で金づかいが荒い。それに加え子供には甘い月のおこずかいは100万円と豪語する太田君だが、彼が月100万円分使っている様子は見たことない。
この四人はなんらかかわりのないように思える。性格、趣味、社会的地位・・・まぁその他もろもろ。
しかし一つだけ共通点がある。それはみんな1994年12月25日の3時11分に久保病院で生まれたという点である。
たまたまで終わらせることもできるが、小学校、中学校、高校もすべて同じクラスで、みなお互いに神秘的なことを感じていた。そして自然に友達にもなった。
だけどやっぱり、他にも自分たちと同じ道を進んでいる子もいて、(生まれた日のことは教えてないが)
「太田が金を使って裏からなにかしてんじゃねーの」
「実は4人ともホモでつきあっているんじやねー」
・・・などデマがどんどんひろがっていきついにある事件が起きた。
一部のヤンキーが金城を体育館裏で真っ裸にして、胸から腹のあたりまでに「おれはホモで~す」と黒インクで縦書きに書いて、そのあと気を失うまでぼこりつづけ、運動場の登下校の門の前でつるしあげられていた。最初に発見したのはオレだった・・・ 続く