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ハイオークと遭遇


「いたたた、体中が痛い……」


宿屋のベッドに倒れこみながら呻く。全身が鉛のように重い。特に指先は痺れを感じるほどだ。



昨晩の訓練で気づいたことがある。

精霊膜を発動させるだけならMP消費はごく僅かだが、持続的に消費MPが発生するのだ


「これじゃ長時間戦えないな……」


ティナが心配そうな顔で部屋に入ってきた。

「大丈夫?」

「ああ」どうにか起き上がる。「ちょっと疲れたみたい」

「無理しないでね」彼女は椅子に座り込んだ。


---


翌日、ギルドの訓練場で作戦会議を開くことにした。教官も交えて3人で円陣を組む。

「精霊膜を生かすためには」教官が話し始める。「必要最低限の使用が肝要でしょう」


「具体的には?」質問する。

「必要な時にだけ使うんです」ティナが発言した。「例えばここぞの時の使用に纏えばMP節約になる」


試してみることにした。

精霊膜を腕に集中させて木剣を振るう―スポンと音が聞こえるような感じで風切り音と共に木刀が飛び去った。

やはり俺には前衛での才能はないようだ・・・


【ステータス】

MP:70/70 → 65/70(-5)


「五秒程度の使用で五減りました」

「予想より少ない」教官が頷く。


続いて移動時の精霊膜試験。

訓練場を一周走る間に少しずつMPが減っていく。


【ステータス】

MP:65/70 → 60/70(-5)


「移動で5か」思ったより早い消費ペースだ。

「でも一定速度での移動ならコントロールできそうですね」ティナが観察結果を述べた。


---


翌日からは実戦形式で練習を始めた。ティナが前衛を務め相手を引きつけ、俺がサポート役に回る。

「行くよ!」ティナが敵役の教官の1人に突進する。

「了解!」俺は距離を取りながら状況を見守る。


敵の攻撃がティナに当たる瞬間を狙い、タイミングよく精霊膜で防御。そして反撃の機会を伺う。

「今だ!」


ティナがタイミングよく攻撃をする

「やった、攻撃があたった!」ティナがポーズをとる。


教官から合格の印をもらい依頼当日を迎えた。

ギルドで研究者一行と合流し西山脈へ向かう。

「危険地帯ですので注意して進みましょう」白衣の女性が警告する。


登山道は想像以上に過酷だった。岩石が剥き出しになった斜面を慎重に登っていく。

「あと少しです」研究者が励ます。

そこに色違いのオークが現れた、そのオークはこちらをチラっと見たが何もしてこなかった。

「あのオークはこちらから何もしなければ、襲ってきたりはしません、むしろこのあたりの魔物を追い払ってくれています」

オークのステータスを見てみた

【ステータス】

名前 オッティ

種族:ハイ・オーク

年齢:315歳

HP:350/350

MP:100/100

レベル:35

スキル:

・物理軽減

・魔法軽減

・自然治癒能力

・生活魔法


称号:

・ドM

・ロリの守護者


・・・・・なんだこれは、襲ってきたら勝ち目ないぞこれは

「ぶもぉぉぉ(オークだって、ロリに無茶苦茶にされたいんだよぉおお)」

オークの言葉が翻訳された



そんな言葉を耳にしたのは人生で初めてだった。

思わずその言葉の主であるオークの方を振り向いてしまう。


「……今なんて?」


思考が完全に停止した状態で問い返す。


「ぶもぉぉ(ロリにお尻ぺんぺんされたいんだよぉおお)」

オークの声は興奮したようなテンションで続く。


「…………」

あまりの衝撃的な内容に返す言葉が見つからない。

どうリアクションすればいいのか、まるでわからない。


「はぁ……」


思わず溜め息をつくと、その場にいたティナが小声で囁いてきた。


「ねえ、大丈夫?」

「いや、全然大丈夫じゃない」

「ユートさん!」研究者の声が聞こえた。「この植物を採取できますか?」


ハイ・オークから逃げるように樹の前に立つ。

ナイフを使い慎重に枝を切断する。

「綺麗に切れましたね」研究者が感嘆の声をあげる。


標高の高い場所まで来てやっと目的の植物が見つかった。深い緑色をした葉が特徴的な薬草だ。


「これを丁寧に……」研究者が採取道具を取り出す。

護衛をしながら崖下をみたら先ほどのハイ・オークが魔物を群れを蹴散らしていた。どうやら話は本当のようだ、こちらを魔物の群れから守ってくれている。

あれはお礼をしなければいけないんじゃないだろうか?

採取作業の手伝いをしながらのんびりそんなことを考えていた。



「終わりました」研究者が最後の一株を袋に入れる。

「無事に完了ですね」安心して息をつく。

「ありがとうございました」依頼主が丁寧にお辞儀する。

「いえ、お役に立てて嬉しいです」


下山する際にも周囲を警戒する。山頂近くは魔物の数も少ない。

「あとは安全に帰るだけです」研究者が呟く。


突如遠吠えが響き渡った。狼系の魔物だ。


「前方に狼が三頭」ティナが小声で報告する。

その時、ハイ・オークが現れた、狼を蹴散らしてくれるようだ。俺やティナをチラっと見ながら声を上げた

「ぶもおぉぉぉ(ロリやショタに手を出すやつはゆるさーん!!)」

・・・・あのオークはショタにも気があるようだ

「めずらしいですね、ここまであのオークが護衛をしてくれるのは・・・」と研究者

「そうなんですか?」

「ぶもぉおお(ぼくのロリィいいいい)」

オークが叫び声をあげた

「今なんて言ったんですか?」


オークの言葉を翻訳してあげた。

「『ロリの前でいいとこ見せるからな!』とのことみたいです」

なるほど。そういう理由があったのですね、と研究者


「ねえユート」ティナが小声で囁いてくる。

「オークって私たちのことロリやショタだと思ってるみたいよ?」


「まあ……見た目は子供だからな」


オークは満足したのか、去っていった。

その後は何事もなく帰還し依頼は無事終了となった。


受付嬢に聞いた話、あのオークがいるおかげで推奨ランクは低いそうだ。



冒険者たちからの信頼も厚く護衛役として評判なのだという。


宿に戻ると安堵感から全身の力が抜けた。

「今日はお疲れ様」ティナが声をかけてくれる。

「お互いにね」

「でも精霊膜のおかげで楽に依頼をこなせたわ」


ベッドに横になりながら考える。

「精霊膜」ステータス画面を確認する。


【ステータス】

名前:ユート・エル

種族:ハーフ精霊

年齢:10歳(体のみ)

HP:15/15

MP:70/70

レベル:5

スキル:

・剣術LV1

・言語翻訳

・アイテムボックス

・生活魔法(発火、浄化、飲み水、照明)

・鑑定

・精霊膜LV2

・回復魔法LV1



称号:

・異世界転生者

・小鈴の友人

・紅葉の友人


あとは本格的に魔法を使えるようになれば戦えるようになるだろうか?と

結論を考えていたら眠気が襲ってきた

明日からまた頑張ろうと思いながら眠りについた。



ご購読ありがとうございます

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