訓練
「それでは新たな依頼をご紹介しましょう」彼女は書類をめくった。
「ユートさんたちが回復魔法を覚えたということで……」
一枚の依頼書が差し出された。
【Eランク依頼】
内容:西山脈の調査隊護衛
報酬:銀貨8枚
詳細:研究者が希少植物を採集する際の護衛任務
対象レベル:8以上推奨
「これは……」思わず息を呑む。
「難易度が高いですが」受付嬢は説明を続ける。「ティナさんと組めば達成可能かもしれません」
「やってみようか」ティナが目を輝かせた。
「うん」二人で頷き合う。
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ギルドの訓練所で精霊膜を試すことにした。先日の戦闘で無意識に使った感覚を再現したい。
まずは再度ステータスの確認だ。
意識を全身に巡らせると薄い膜が包み込む感触。走り高跳びをしてみるとすこし高く飛べた。
「すごい!」ティナが感嘆の声をあげる。
続けて防御テスト。木剣の一撃を腕で受ける。
「うっ」衝撃はあるものの痛みはない。精霊膜が緩衝材となっているようだ。
この状態で殴ったらパンチの威力もあがるのかな? よくあるマンガなら殴った瞬間ドーンと木がへし折れたりするんだろうけども。
ゴン!
「あたたたたたた」
手首を傷めました。
次に武器への適用。木刀に意識を集中させると刃がうっすらと光った。
「硬くなってる……」柄を握りしめる。
試し斬りで藁束を両断できた、いつもより鋭くなっている気がする。
【ステータス】
名前:ユート・エル
種族:ハーフ精霊
年齢:10歳(体のみ)
HP:15/15
MP:10/70
レベル:5
スキル:
・剣術LV1
・言語翻訳
・アイテムボックス
・生活魔法(発火、浄化、飲み水、照明)
・鑑定
・精霊膜LV2(New)
・回復魔法LV1
称号:
・異世界転生者
・小鈴の友人
・紅葉の友人
「レベルアップしてる!」ティナが羨ましそうに見つめる。
「一緒に訓練しよう」
「うん!」彼女は短剣を構えた。
ティナと対人戦をする
教官が前にでてくる
「双方構え」
距離は10mほど。一瞬とはいかないがすぐに詰められる距離だ。おれは詠唱をこっそり開始し、精霊膜を発動する
おれも木刀を構え、準備ができたとうなずく。訓練場には暇な冒険者がたくさんいて、何事かと様子を見に集まってきている。
「始め!」
まずは小手調べ。ファイヤアローだ。ひょろひょろとティナのほうに向かっていった
あ、避けた。そして見物人が大笑いした。
「おい、あいつ魔法使いだ距離取れ、距離、誤射するかもしれねーぞ!」
一気に人の輪が広がった。盾を構える人もいる。
だが、連打すればどうかな?
警戒しながらゆっくりと接近してくるティナさんにファイヤアローを連打する。
5発目でついに捉えた。がティナはかるく短剣で弾いた。
次を撃ったタイミングで斬りかかる。短剣で受け止められる。
降参したい。とてもしたい。しかしそれでは訓練にならない・・・
ちらりと見物人のほうに目をやる。冒険者たちは優しい眼差しでみている。
ティナの攻撃をかわそうとするがティナのほうが速い
なんどか攻撃を受けたが精霊膜のおかげであまりダメージを受けなかった
うおっ、精霊膜で随分とMPを使ったようで頭がふらふらする。これがMP切れの前兆なのかね。
戦闘中とか気をつけないと思わぬミスを生みそうだ。
結局ティナには負けた、やはり年齢の差は大きい。
どうやら精霊膜を使った訓練で筋肉痛になったようだ。宿にもどったらストレッチをしてゆっくり休もう・・・
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