タイトル未定2026/02/16 04:45
翌朝ギルド内では昨日同様大勢の冒険者達により熱気あふれる空間となっており そこかしこでは様々な意見交換や作戦会議が行われていた。
その中央あたりにある一角ではいくつかのグループによって輪になって円陣を作っている姿があり この中へ入ることになるはずだった私たちであった……
「これが今回のオークの集落の位置図です」
地図上には大きな赤丸が描かれている。
そこから伸びる何本もの黒線が森の各方向へと続いていた。
「この黒線は偵察隊が確認した経路です」
中年の冒険者が説明する。「ただし……ここ1週間で何度か経路が変わっています」
「変化している?」小鈴が眉をひそめる。「まるで意識的に行動範囲を変えているみたいですね」
「そうなんだ」
中年の冒険者が深刻な表情で頷く。「我々が情報を集めるたびに、彼らも察知しているようで……」
ティナが手を叩く。「ねぇねぇ、つまり相手は賢いってこと?」
「その可能性が高い」
今度は若い女性冒険者が口を挟む。「通常のオークより知能が高いと思われます。普通ならここまで頻繁に移動しません」
「作戦としてはどうするの?」俺が核心に触れる。
リーダー格の男が立ち上がった。
「まず二つのグループに分かれる。主力チームと遊撃チームだ」
彼は地図上の赤丸を指差す。
「主力チームが正面から攻める間に、遊撃チームが側面から奇襲をかける。どちらがどの役割を担当するかは各自の判断による」
俺たちは互いに顔を見合わせた。正直、どちらでも良かった。大切なのは役割を最大限に果たすことだ。
「我々は遊撃チームに志願したいと考えています」小鈴が静かに言った。
リーダー格の男が頷く。「君たちは若手だが……昨日の薬草採取の際の連携を見た限り、機動力に自信ありかな?」
「えぇ、特に索敵に関しては」小鈴が控えめに答える。「ティナさんは斥候として優秀ですし、私も魔法でサポート可能です」
「ならば決定だ」
リーダー格の男が豪快に笑う。「我々のチームは正面から突入する。お互いの命を預け合う関係だ、しっかり頼むぞ」
「承知しました!」ティナが敬礼する。
ブリーフィング終了後、俺たちは一旦解散となった。明日の作戦開始まで自由時間を与えられたわけだが……正直言って気が抜けなかった。
ギルドを出ると、いつもの市場が広がっていた。しかし今日はなぜかいつもより賑やかだ。人々の表情も明るい。
特に商人と思われる人々がオークの素材が大量に手に入ると喜んでいる
様子が伺える。
「みんな嬉しそうだね」ティナが尻尾を振りながら言う。「オークの肉っておいしいものね!」
「でもそれだけじゃないだろう」俺は周囲を見渡しながら答えた。「肝とか貴重な薬の素材になるしな」
小鈴が静かに付け加える。「魔石も採取できますし……高値で取引される部位も多いです」
「それにしても」ティナが突然真顔になる。「なんで急にオークが増えたんだろ?どこからか移動してきたのかな?」
その疑問は最もだった。通常、オークは特定の縄張りを持ち、それほど大規模に移動することは稀だ。何か特別な理由があるはずだ……
「明日の討伐で何かわかるといいんだけどな……」
俺は雲一つない晴天を見上げながら呟いた。それが良い兆候なのか悪い前兆なのか、判断はつかなかった。
夜 俺たちは明日の確認をしていた。装備の最終チェック、食料の確認、必要な薬品の準備。まあ、ほどんどアイテムボックスに入っているのだが。
「みんな準備はOK?」ティナが部屋の中を駆け回りながら確認する。「忘れ物はない?」
「問題ありません」小鈴が静かに答える。「私はいつでも出発できます」
俺も頷いた。「俺も準備完了だ。いつでも行ける」
部屋の窓からは星空が見える。明日はきっと晴れるだろう。オークの集落の討伐という任務は危険を伴うが、同時にチャンスでもある。成長するために必要な経験だ。
「ねぇ、明日終わったら何する?」ティナが唐突に尋ねてきた。「ご褒美は何がいい?」
小鈴が小さく笑う。「そうですね……温泉旅行なんてどうでしょう」
「おお!いいね!3人で行こうよ!」
ティナが興奮気味に耳をびょこぴょこさせる。
その姿があまりにも愛らしくて思わず笑ってしまった。
「決めた!この討伐が終わったら温泉旅行に行くぞ!」
「やったー!」ティナが飛び跳ねる。「約束だよ、絶対忘れないでね!」
「あぁ、もちろんだ」俺は誓うように頷いた。「絶対に生き残って温泉を満喫するぞ!」
三人で笑い合っていると、なぜか不思議と明日への恐怖が薄れていく気がした。どんな困難が待ち受けていても、この二人と一緒にいれば乗り越えられる。そんな確信があった。
深夜 夜風が涼しく吹き抜ける中、俺たちは明日の作戦に向けて体を休めることにした。夢の中でさえも明日の景色が浮かんできそうだ……
翌朝 森の中は既に討伐隊の喧騒に包まれていた。我々遊撃チームは別の入口から潜入することになっている。
森の木々の隙間から朝日が差し込み、鳥たちの囀りが心地よいリズムを刻んでいた。
「よし、準備完了」
俺は武器を確認しながら小鈴の方を見る。「小鈴ちゃん、準備はいい?」
彼女は三本の狐耳を忙しく動かしながら魔法陣を展開させていた。
「はい、いつでもいけます」
小鈴が魔法陣の確認をしてから答える。
ティナは周囲の匂いを嗅いで警戒している様子だった。
「じゃあ行くよ」
俺はティナに声をかけた
「了解!」と元気よく返事をする彼女の姿に勇気付けられた
いよいよ出発となる瞬間 今までずっと黙って見守ってくれていた老齢の男性冒険者が俺達三人を見つめ
「気をつけろ 若造達!」と言葉少なげではあるものの心強い励ましの言葉を受け取ることができたことで更なる決意へと導かれる瞬間だったのであった・・・・・・・・・
「みんな準備はできたか?」
俺は三人を見渡した。小鈴ちゃんは魔法陣を展開し、ティナは剣を整えていた。
「ばっちりですよ!」
小鈴ちゃんが頷く。彼女の三本の狐耳が忙しく動いている。
「よし、出発だ!」
俺たち三人は森の奥へと進んだ。
しばらく歩くと前方に何かが動く影が見えた。
「止まってください」
小鈴ちゃんが小声で言う。「魔物です」
前方には数体のオークがいた。周囲を警戒しているようであたりを確認していた。
「ここで攻撃する?」ティナが聞いてきた。
ここでオーク達と戦闘を行えば他のオーク達に気づかれるかもしれない、俺たちの目的はオークへの遊撃、特に後衛であるオークアーチャーやオークメイジへの対処だ。
「いや、迂回して目的の地点へと進もう」
俺たちは周囲に生い茂っている茂みに紛れながら慎重に進んでいく。
俺たちは茂みの中に身を潜め、呼吸を整えた。オークメイジとオークアーチャーが少し離れた岩陰に立っている。アーチャーは鋭い眼光で周囲を警戒し、メイジは杖を構えながら何やら詠唱しているようだ。
「まずアーチャーから片付ける。接近戦になったら厄介だ」
俺は小声で指示した。オークの矢は防具越しでも致命傷になり得る。
「了解です」
小鈴が魔法陣を調整しながら答える。三本の狐耳が風もないのに細かく動いている。
「ティナ、任せたぞ」
「任せて!」
ティナが素早く姿勢を低くし、滑るように茂みの間を進み始めた。彼女の猫耳が左右に動いて警戒を促す。
俺たちは一定距離をおいてティナの動きを追う。彼女はまるで地面の一部になったかのように気配を消し、徐々にアーチャーへと迫っていった。
アーチャーのオークが突然振り返る——警告が遅れた。オークの嗅覚は侮れない。
「来るぞ!」
叫ぶより先に小鈴が魔法陣を完成させた。
「光狐!」
眩しい光をまとった狐が疾走する。同時にティナが跳躍。刃が月光を反射した瞬間、アーチャーの喉元に深々と突き刺さる。悲鳴をあげる暇もなく巨体が崩れ落ちた。
「メイジに注意!」
俺の指示が飛ぶ前に、小鈴の次の魔法が放たれていた。氷狐!——氷でできた狐がが一直線上に迸り、慌てて反応しようとしたメイジの足元に命中し氷柱が噴き上がる。
「グオォッ!」
メイジが杖を掲げたまま凍りついた。小鈴ちゃんが二度目の魔法陣を完了させる。
「風狐!」
風の狐が疾走する。風を纏い速度が上がっている。高速でメイジに飛びかかり、風の刃でメイジを切り裂く!
「ギャァァァ!」
俺はメイジに向かってウィンドランスを投げつけた。
鋭利な風の槍がメイジの胸を貫通し、命の灯火が完全に消える。
二人のオークは短時間で討伐された。血の臭いが冷たい森の空気に溶け込んでいく。
「クリア」
俺が周囲を見回して安全を確認する。
ティナが剣についた血を振り払いながら戻ってきた。
「ふぅ~!メイジの魔術来ると思ったけど小鈴ちゃん速すぎてビビったよ!」
「恐らく詠唱途中だったのでしょう。魔力量を感知しました」
小鈴ちゃんが淡々と言う。彼女の呼吸はほとんど乱れていない。
俺は慎重に死骸に近づき、メイジの持っていた魔導書とアーチャーの弓、そしてオーク達をアイテムボックスに仕舞う
「これで目的は達成したな。二人ともよくやった」
「ユートさんの指示が正確でした」小鈴ちゃんが微笑む。「特にメイジの動きを予測されたのが大きかったです」
「まあね。小鈴ちゃんが相手の魔力を読み取りやすくしてくれたおかげだけど」俺は素直に認めた。
「でも油断しちゃダメだよ!」
ティナが突然耳を伏せて言った。周囲を見回している。「この血の臭い……すぐに仲間が来てもおかしくない」
小鈴ちゃんの耳も緊張でピクッと動く。
「この調子で、オークの前衛はあっちに任せて俺たちはオークの後衛を攪乱しつつ排除していこう」
「了解です」
俺たち三人はさらに森の奥へと進み、オークの後衛とその周囲にいるオークの護衛達を排除していく。
途中でアイテムボックスにオークの死骸と所持品などを仕舞っていく
その頃 前線ではメインパーティが激戦を繰り広げていた。
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